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小説2 |
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にゃお
(1706)投稿日:2004年03月19日 (金) 00時03分
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一体どれくらいの時間眠っていたのだろうか。目の前に広がるのは白い天井。 嗚呼、そうか。ここは病院か・・・。あそこでは色々ありすぎて疲れた、まだ もう少し眠っていたい。何も考えずに、ただただ、ゆっくりと。 何も考えない、で?いや、考えなきゃいけないんだ、俺は・・・。あの時見た 光景も、真実も。何一つ目を逸らしちゃいけないんだ。真理から目を背けられ なかったように・・・。 何かを犠牲にして、新を得る、それが等価交換。しかし、命を代償にしてまで 得られるものがあるというのだろうか?分からない・・・。アルの身体と俺の 左足を代償にしても、かあさんは還ってこなかった・・・。俺の右手を代償に しても、アルの身体は還ってこなかった・・・。その魂の存在さえ、アルは疑って 已まない。
結局何も解決しないままでは、何も始まらないのだ。俺の機械鎧がそれを 語っている・・・。嗚呼、重い・・・奈落の底に落ちるほどの手枷足枷だ。しかし、 重いのは本当にこの機械鎧のせいなのか?それとも俺の心にあるのか? どうしたら辿り着けるというのだろうか?
何を代償にしたら、俺の求めるものを得られるのだろうか?どうしたらいい? 誰が教えてくれる?「真理」は教えてくれるのだろうか?何をもう一人の 「俺」に与えたら教えてくれる?分からない、分からない・・・。苦痛という 名の時間が流れる。 手を伸ばしたら届くのだろうか?いつになったら届くのだろうか?
いつまでこの鋼の翼を俺は背負わなければならないのだろうか?
そう、飛べない翼を・・・。
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