勿論,何をされても“蛙の面に小便”みたいな,海千山千の政治家というのも考えものです。しかし…。
先日の夕方,外出先から戻って地元の駅に降り立ったら,駅の出入口の辺りから,拡声器を通した演説の声が聞こえてきました。 そこには,スーツ姿に,自分の名前と所属政党名が書かれた襷(たすき)を掛けた,車椅子の青年がいました。演説していたのは彼で,周囲では支持者がビラ配りをしていました。来月行われる区議会議員選挙に立候補するつもりなのでしょう。 「私は,車椅子としては初めて都立○○高校(同じ区内の高校です)に入学し,車椅子として初めて早稲田大学法学部に入学し…」…そこで多くの仲間と出会う中で政治の道を志した…とかいう内容を,丁度その時は喋っていたと思います。 私は「早大法学部って,そんな最近まで車椅子の学生がいなかったのかねぇ…」などとぼんやり考えながら,駅前のスーパーに入りました。
しばらく経ってスーパーを出ると,さっき演説をやっていた辺りから,異様な叫び声が聞こえます。喧嘩などで理性を失った人間がわめき散らしている様な,ただごとでない雰囲気です。通行人が足を止めて,その方をじっと見ていました。 よく聞くと,わめき声は「××党と△△党が同じって(以下聞き取り不能)」と聞こえました。 選挙シーズン直前なので政党の実名は伏せますが,××党はこの人の所属政党,△△党は別の政党の名前です。私の区は××党の支持者がかなり多いのですが,それにも増して,また別の□□党--この党と××党が犬猿の仲なのは有名な話である--の支持者も多いのです。 私は,□□党の馬鹿な支持者が,××党の名前で演説しているこの青年を罵(ののし)っているのだろうと想像しました。
ところが…違いました。わめき散らしていたのは,この青年自身だったのです。当然スーツに襷姿のまま,車椅子から身を乗り出し,完全なヒステリー状態で,前述の言葉を何度となく叫び続けていました。そして,ビラ配りをしていた女性の1人--ひょっとしたら青年の母親?--が青年に覆いかぶさり,これまたヒステリックな裏返った涙声で「お兄ちゃん! 止めて! お願い! お願いだから! もう止めて!」と叫び続けていました。
何なんだ,この人達は。
やがて青年の錯乱状態は鎮まりましたが,拗ねた子供の様にぷいと横を向いてしまい,演説は再開されませんでした。
アンチ××党の人間が,この青年に何か絡んできたのがきっかけだったのは,間違いないと思うのですが…。 この人がもし車椅子に乗っていなかったら,曲がりなりにも大政党の1つである××党の名前で政治活動をする事ができたでしょうか。そう考えると,“政治家の適性”というより“人間性”の問題かもしれませんが…。 |
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