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ヘンデル(10)
グッキー (29)投稿日:2003年02月17日 (月) 08時18分 返信ボタン

 カストラートの血筋は、現在知られている限り、アレッサンドロ・モレシ(1858〜1922)
の死によって絶えた。モレシはシスティナ礼拝堂(バチカン)合唱団の一員で、
20世紀の最初の10年代に実際にいくつかのレコードを残している。このレコードを
聴く者は、誰もが全身に震えを生じる。その声は男でも女でもない音色のアルトで、
得たいの知れぬ、物悲しい、人の心に切々と訴えかける性質を持っている。
 声楽面でカストラートに求められたものは、コントロールと柔軟性である。
ヘンデルのオペラの楽譜を拡げれば、32分音符が際限もなく続き、歌手に
息継ぎの機会を与えないコロラトゥーラ楽節がいくらでも目に飛び込んで来る。
このパートは特に高音部を使って書かれているわけではなく、それにいずれにしろ、
当時の聴衆は高音部になど関心がなかった。テノールの高いハ音は、ロマンチック
(空想的)な発明物で、事実、テノールが主役になること自体が大いにロマンチック
だった。バロック・オペラではテノールは通常、脇役だった。
 カストラートが容易に高音度のハ音を歌えたのは事実である。そしてフルート奏者
兼作曲家のヨハン・クワンツ(1697〜1773)の言葉を信じるなら、ファリネリは
高音のハ音よりも上のヘ音を完全に歌いこなせた。しかし、カストラートは普通、
そんな曲技にはのめり込まなかった。彼らが誇りとしたのは、信じがたいほどの
息の長さと、音域を乱したり、声に無理を強いられている様子を見せたりすることなく、
複雑な修飾部を楽々とこなす能力だった。
 ヘンデルの時代には女性歌手も同じ能力を持っていた。中でも最も有名だったのが、
フランチェスカ・クッツォーニとファウスチナ・ボルドーニだった。二人はともにロンドンで
ヘンデルのオペラを歌い、しばしば同じ役を演じた。クッツォーニは背が低く、太って、
醜く、意地悪で、演技力は皆目なかった。それはちょうどカストラートが長身で、肥満し、
ぶかっこうで(第二次性徴の欠如によりヒゲが生えず、しばしば女のように胸が
ふくらんでいた)、演技力を欠いていたのと同じだった。これに反しボルドーニは
魅力的な容貌で、当時としては完全な演技力を持ち合わせていた。当然のことながら
二人は互いに憎み合い、その争いは1727年6月6日、ボノンチーニのオペラ『アスティアナッテ』
の上演時に頂点に達した。
 バーリントン派のお気に入りのボルドーニと、ペンブローク夫人のサークルの一部を
支持者とするクッツォーニは、聴衆内の応援団にあおられて、金切り声を上げ、髪を
引っ張り合い、爪を立て合う大喧嘩を舞台の上で演じた。新聞はこれを大々的に書き立て
「ファウスチナ、クッツォーニ両夫人による恐るべき血みどろの戦いの完全な真相」
と題して、取っ組み合いの手順の一部始終を記録したパンフレットまで印刷され、
編集者は二人に対し「公開の席での再戦」さえ提案した。この永遠に銘記すべき晩に、
偶然にもこの劇の興行主だったヘンデルは、クッツォーニを「女悪魔」、ファウスチナを
「魔王の甘えっ子」、さらにはどちらも「あばずれ」だと怒鳴りつけた。




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