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五巻が出ました。
連載時に見ていないせいもあると思う、ここの話は重すぎる。
ファントムの口から発せられた言葉としてまとめられているため、どちらかというと軽いテイストで仕上げられているトム、ジャガー、ミラージュ三名の過去。そして、回想という事で、かなり考え込まさせるイーグルの過去…。戦士たちも人の子なのです、それぞれに消化できないトラウマを何時か昇華すべく足掻き、今現在を生きているのです。
今日の秋山、ファントムに集中して考えてみました。
小部隊の指揮官たる器とは…？
SORTIE:14 Mask SORTIE:15 Missile、この二話こそがプライドの戦いから欲の戦いに変容した瞬間なのだな…と、単行本を読んでやっとこ理解しました（この部分は完全なブランクでした）。
装備上逃げた方が得策と判断するファントム、とぼけたやりとりで誤魔化されている感がありますが、この時彼の頭の中でどれだけの情報が走り回ったのでしょうか。チャフディスペンサーを持たない機体で、IRシーカーを持つであろう誘導弾から逃れる術はあるのか？タカシの耐Ｇ能力…、その辺のデータは駆けめぐったはずです。で、「逃げるぞ…」となる訳です。…最初から逃げるとキメ打ちしている訳ではないでしょう。
タカシの悲鳴と、己が決意
SORTIE:15 Missileでのファントムは、かっこいいと言うより悲痛です、秋山としては。
フランを永久に失った事…、自分が守るべきであった存在を失ってしまった事は、彼にとってぬぐい去る事の出来ない「最大の心理的重圧」でしょう。ミサイルが接近するのが早かったとは言え、ここでタカシを失ったら彼の精神は間違いなく崩壊を見たのでしょう。
SORTIE:14からの流れで、間違いなくファントムもかなりの緊張を強いられています、その上「タカシ」という言い換えればお荷物すらあるのです。でも、そのお荷物はファントムにとって「必要不可欠な存在」として、すでに認識されているのです。だから、彼はあれだけの事をやってのけたのでしょうし、自分だけではなく、タカシの心理も考えたのでしょう。
「覚悟キメよーぜ！！相棒！！」
ああ…、ファントムはタカシを信用しているし頼る部分すらあるのだな…。
タカシが上げた悲鳴、それは紛れもなく自分自身の奥底にある事、口に出す事をはばかれる「Private opinion（個人的見解）」です。「嫌だ」「怖い」「なぜ自分がこんな目に…」………解ります、それ。軍人たちもそれと戦いつつ任務を遂行するのです、ファントムは自分もそれを考えつつもいかにタカシの意識を恐怖から、目の前の事態を捉える方向に導くために発した言葉が、当然の事でありながら、ものすごく怖いし、悲しいし、ある意味崇高なものに見えるのです。
戦場の涙は死神を呼び寄せるものだ…、だからどれだけ追いつめられてもうるうるしてません、ファントム。…でも、うるうるのタカシを怒鳴りつけることもなく、静かに諭して、明るく…あくまで明るく促すのです。引きつりかけた…でも小狡い微笑みで。
最後の手段と後に残すタカシの事
死を覚悟したであろう、ファントム。ちらっとタカシに話した過去…、それの真偽は問いますまい。秋山が小説でよく使う「ふわりとした微笑み」とは、「偉そうな事は言えない」と自嘲した後のあれが一番近いでしょうか…、どアップのあれ。死を覚悟した者は、異常と言っていいほど冷静で、しかもすべてを悟りきったかのようです。まあ、秋山は病気で間違いなく死んでしまう…そんな友人に感じただけですが。
あのシーンは、物理的に考えたら妙なんですが…、良しとしましょう。リボルバーを構えた時のファントム、死を覚悟した彼が思う事はすでに死したフランへの思いではなく、今自分を頼ってくる弟分「タカシ」です。すでに、割りきっているんですよ、ファントムは。タカシのおかげもあるのでしょうけれど。（一方イーグルは、未だ過去にとらわれています。笹本さんのいる所に…って、天国で笹本さんに怒られますよ、あなた。）
フランたちをなくして色をなくしてしまった世界に、一条の光を投じたのは紛れもなくタカシ。タカシによって自分が救われている事もファントムは解っているのでしょう、はっきりとした形ではないかもしれないけれど…。
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NAME:秋山 / / /
2003年09月22日 (月) 20時50分
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