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[110] 続・キングダム・オブ・ヘブン
投稿者:びっぐ
投稿日:2005年08月27日 (土) 10時42分
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オーランド・ブルーム&リドリー・スコットが描いたキングダム・オブ・ヘブンの時代から40年後。度重なる失敗にも懲りず、バチカンは第6回となる十字軍の発動を神聖ローマ帝国皇帝フリードリッヒ2世に要請する。しかし、疫病などにより手間取っているうちに、フリードリッヒはぐずぐずしているとローマ教皇に破門されてしまう。1228年、破門にも関わらずフリードリッヒはついに十字軍遠征に乗り出す。ところが彼は軍事的手段によってエルサレムを奪回するつもりは毛頭無かった。この地方を支配するエジプトのアイユーブ朝が内紛でてんやわんやの状態にあることを知っていた彼は、スルタンのアル・カーミルと条約を結び、1229年3月、戦わずしてエルサレム王の地位を手に入れる。しかし、血に飢えたバチカンはこうした平和裡の成功を喜ばず、あろうことか諸侯を糾合してエルサレムのフリードリッヒ軍に対して兵を差し向ける。が、その兵がフリードリッヒに撃破されると、已む無くフリードリッヒの破門を解くに至る。こうして、血塗られた十字軍の歴史の中で特異ともいえる理性の勝利がもたらしたエルサレムの平和は、条約の期限である10年間続くことになった。また、フリードリッヒは条約締結後すぐにドイツに帰国したものの、お互いに尊敬する仲となったアル・カーミルとの友情は終生変わることが無かった。宗教よりも科学を優先したフリードリッヒは、彼との文通などを通じて進んだイスラム文明から貪欲に知識を吸収し、ゼロの概念の西欧に紹介するといった啓蒙活動にも力を注いだ。
・・・NHKスペシャルの「文明の道」第7集を見て素直に感動した話。未だに紛争の絶えないキリスト教VSイスラム教の歴史の中でも、800年近く前にこんなに偉い人がいたということで。
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