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[107] 20年後の邂逅
投稿者:びっぐ
投稿日:2005年05月27日 (金) 02時11分
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あるカルト教団の狂信的な幹部が、逮捕された教祖の奪還を目指して拘置所への襲撃を企てる。しかし途中で計画が狂い、追い詰められた一味は手近の会社のビルに逃げ込み、そこの従業員を人質に取って立てこもる。周囲を包囲した警官隊との睨み合いが続く中、緊張の度を高める一味と、恐怖に怯える人質。しかし、その人質の一人が、突然、一味のリーダーである幹部に、「久し振りだな、田中」と話しかける。最初は相手が分からなかった幹部も、その男が大学時代の級友であることを思い出す。とはいえ、それほど親しくは無かった男が、こうした状況の中で話し掛けてきたことに戸惑いを隠せない。一方で人質の男の方は、大学時代自分より遥かに優秀だった男が、道を踏み外してこうした行動を取っていることに、怒りとも憐れみとも哀しみともつかない感情を抱いている。こうして、才能はあったのにそれを活かさずに反社会的な方向に進んだ男と、才能の無さから学問の道を諦めて平凡なサラリーマンになった男との微妙な確執が、籠城が長引く中で次第に浮き彫りになっていく。極限状況で一味と人質の双方に疲労と焦燥が募る傍ら、ぽつりぽつりと2人の間で交わされる会話のシーンでは、大学時代のたわいのないエピソードを思い出して共に笑う場面もあれば、人質の男の言動に怒った幹部が銃を向ける場面もある。そして、遂に警官隊がビルに突入する瞬間が訪れる・・・。
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