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[49] 梗概:金融ドラマ編:LTCM破綻 投稿者:びっぐ 投稿日:2002年09月26日 (木) 17時40分
1998年に発生したLTCM破綻を、NY連銀での銀行家の会合をクライマックスに描く
ハリウッドがこれだけの題材を今まで放って置いているのが不思議なのですが(あるいは誰か既に企画を進めているのかもしれないけど…もしくはTVシリーズで既に映像化されているのかしらん)、この破綻劇は特に脚色せずに事実を追っていくだけで充分サスペンスフルな映画になると思います。ともするとノーベル賞学者2人が参加していたことに焦点が当たりがちですが、やはりNY連銀でのLTCM救済策を検討する主要金融機関首脳の2日間に渡る会合がこの破綻劇のクライマックスでしょう(この会合をゴッドファーザーのマフィアのボスの集会になぞらえる人もいるようですが)。ここは「12人の怒れる男」や「天国と地獄」(の前半のシークエンス)のようにカメラを室内に限定して、集まった証券、銀行、およびNY連銀の首脳同士の密室での駆け引きを描きたい。このシーンだけで映画全体の4分の1(30分くらい)を使っても良いのではないか。もちろん、この間にも外部(弁護士、LTCMトップのメリウエザー、そして資産家バフェットetc)との電話、FAXでのやり取りはあるのですが、その間はそれら外部の相手は一切画面に見せずに、声だけの登場に限定する。

この場面での主なシーンは…

・ゴールドマンCEOのコーザインがバフェットにLTCMを買収させようと画策する。バフェットのオファーの期限は12:30。しかし、コーザインはここでシカゴ・ビジネススクールの同期だったメリウエザーに選択権を与えるというミスを犯す。その結果、メリウエザーの顧問弁護士にオファーの契約書の粗を突かれ、バフェットによる買収計画は失敗に終わる。

・ベア・スターンズCEOのケインが協力に難色を示し、モルガン・スタンレー会長のパーセルを始めとして皆が非難する。NY連銀総裁のマクドナーがケインとその部下を別室に招いて説得しようとしたところにメリルCEOのコマンスキーが入ってきて、ケインに掴み掛かる。

・メリルCFOのアリソンが密かにウォール・ストリート・ジャーナルに電話を入れ、会議が行われていることを漏らす。一方で、会議の参加者には記者が嗅ぎ付けたと伝え、合意に達しないとまずいと警告する。

・6時過ぎに救済の最終案がまとまり、拍手が会議室の外に響く。ここで初めてカメラが外部に戻る。LTCM本社でも皆が歓喜に包まれ、ある者は泣き崩れる。一方でイエローストーン国立公園では、旅行先から電話で進めていた買収話が破談に終わったバフェットが、同行者に「この旅行は数十億円についた」とつぶやく。その同行者とは誰あろう、ビル・ゲイツだった。

・記者の一人が、13年前の同じ日、すなわち1985年の9月23日はゴマキの誕生日、もとい、プラザ合意が発表された日であったことに気付く。「あの時始まった金融のドラマが、今こういう結末を迎えるとは…」と独りごちる。

この後、エンディングに入る。ラストで登場人物の「その後」を描くところで、コーザインは失脚したことが示される。

ところで、順番が逆になりましたが、この映画のファーストシーンは1995年のフィッシャー・ブラックの葬儀にしたいと考えています。LTCMに参加していたマイロン・ショールズとロバート・マートンが1997年にノーベル賞を受賞しましたが、ブラックは彼らとブラック・ショールズ式を始めとするオプション理論を築いた一人です。しかし、必ずしもLTCMのやり方を快く思ってはいなかったと言われています。葬儀にはマートンやコーザインが出席しましたが、ショールズが出席しなかったことでそのことを暗示します。

<参考文献>
ロジャー・ローウェンスタイン「天才たちの誤算(WHEN GENIUS FAILED)」日本経済新聞社
ニコラス・ダンバー「LTCM伝説(INVENTING MONEY)」東洋経済新報社
ボブ・ウッドワード「グリーンスパン(MAESTRO)」日本経済新聞社




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