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舞台には、いわゆる緞帳でもカーテン様の幕でもなく すすけた古い紙、もしくは漆喰の壁風の巨大な幕が舞台前面に一枚下がっている。 「 南無帰命頂礼 (なむきみょうちょうらい) 、親をたずぬる子には親を、子をたずぬる親には子をめぐりあはせ給え」と墨書き。 この言葉は調べたら、中山道の番場宿、今の滋賀県米原町の蓮華寺に建立されている、番場忠太郎地蔵尊の台座に長谷川伸の筆で刻まれている言葉のようです。地蔵尊の足元近くには忠太郎の墓もあり、『瞼の母』の原稿が埋められているとか。 あらためて、作者の思いの深さを知りました。
その幕が上がって、物語が始まります。 無邪気な子ども達の登場から一変、やくざな二人組が登場。 忠太郎の弟分、半次郎の実家で息子を更正させたい母・妹の姿を見、 また文字の書けない忠太郎が半次郎の母に手を取ってもらって 忠太郎は母への思慕の念を熱く抱きます。そして母がいるという江戸に向かいます。
ここの忠太郎は、股旅姿。前髪がボサボサしています。 これが本当に浮世絵から抜け出てきたかのようにカッコイイ。 きまっている!というか、はまっています。
道中なのか、江戸に入ったのか、忠太郎は母と思しき女性に声をかけ、 母と違うとわかっても優しく篤く振舞います。こういう演技はお手の物 という言い方は変ですが、ヤクザなだけではない忠太郎の一面が観てとれました。 このときには前髪はなく月代(さかやき) いわゆるちょんまげスタイルで、着物も普通の町人風です。 これはこれで素晴らしく似合っています。
途中で手ぬぐいでほっかむりしているシーンがあるのですが、 これはどーーーーーーーしたものか、スゲーーーーー色っぽい! シーンとしては、ほのぼのとした親子のやりとりを忠太郎があたたかく見守るところなんですが。 時代劇で役者さんがほっかむりしているのは何度も見たことがありますが、 こんな風にこれはこれでこんなに魅力的なものだったんだ!!!!!と大発見いたしました。 しかし親子を見る忠太郎のその優しいまなざしは流石です。
やがて忠太郎は料理屋の女主人になっている母に再会します。 やっと母に会えてはやる忠太郎に対し、 忠太郎は死んだと聞いていた母は信じることができずに疑ってかかります。 もし母が不遇であったなら・・・と貯めて持っていた大金を見せても拒絶された忠太郎。 母の姿は瞼に浮かべればいい…と去ります。 母は娘(忠太郎の父親違いの妹)とその後忠太郎の後を追い探しますが、 渡世人にもどった忠太郎は物陰に身を潜め二人をやりすごし、 「母は瞼に」と旅立っていきます。
大竹しのぶさんの演技は、剛くんが言うように化け物のようにすごいです。 篠井英介さんも、老婆と浪人の二役で出ていらっしゃいましたが、これまたすごいです。
この舞台でとにかく驚いたのは、本当に剛くんの股旅姿、和モノ時代劇装束が似合ってカッコイイ!こと。 最前列で観ても、眼張りはしていたけど、白塗りして鼻筋立てて影入れてって化粧はしていないのに、鼻筋の通った絵に描いたような顔立ちでした。 立ち姿も美しい! 八頭身じゃないところが、実に和モノ舞台向き(笑) 余談ですが、梨園のDNAを継ぐ市川ぼたんさんも舞台役者向きの顔=歌舞伎役者の顔のサイズでしたので、小顔の大竹さんと並ぶと、その顔の大きさの違いが歴然で、ちょっと驚きました。
最前列から観た忠太郎レポとしては。。。 生脚生足生足の指。生腿生胸生鼻水。しかと魅せていただきました。 草履から足の指が出ていました。草履が小さいのか?そういうものなのか?? 腿とか胸とか素肌が丸見え。白い肌が昂揚しているのかほんのりピンクでそれはそれは・・・(* ̄m, ̄*) 本当に近いので、カツラと地肌の境まで見えてしまいました。 カツラからはみ出した地毛も。襟足とかもみ上げとか。。。時代劇をハイビジョンで見たようなものでした。 また途中で木の葉がぶわ〜〜〜っと舞い散るシーンがあるんですが、 1回目に観た時は大量の木の葉が長いこと派手に舞い散っていて、舞台の下、 客席の方にまでいっぱい落ちてきました。 2回目に観た時は葉っぱが減っていたような・・・・・・
“カッコイイんだけどSMAPじゃないの。横文字もカタカナすら入り込めない完璧な「二枚目役者」でした。
あの舞台の忠太郎のワンシーンワンシーンを切り取って、FLASHで絵巻物をつくりたいッ! それこそ、瞼の裏に焼き付けたいッ!ッ!ですわ。” とブログのほうにも書いたんですが本当にそんな感じでした。
そして、できたら、できたら、できたら、、、、もっとこのお芝居だけに集中させてあげたかった。
もう一度忠太郎を観たい。瞼の裏ではなく眸で。 もしもできたら、他の人の演出や手法でも忠太郎を観たい。 例えば、つかさんの演出の舞台でとか。タカハタさんの映画でとか。 この舞台の一瞬一瞬を黒須さんに写真で切り取ってもらって、ホントにFLASHにとか。 なんか、創作意欲を掻き立てられてしまいます。
天才役者さんの、姿形の良さを特に褒めるのはどうかとも思ったんですが、 美しいのも役者の才能のうちだ!!! と思った次第であります。
なんだか、レポにもならないレポになってしまいました。 美しすぎる というか 似合いすぎる 剛くんの忠太郎姿が罪なのよ!
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