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『ストリングス』を2回観てきました。
1回目と2回目の間の日数が短かったので、感想がごちゃ混ぜになっておりますが、ご了承ください。 物語のあらすじは、大体の方がご存知だと思うので、細かいあらすじは省略させていただくとして…。
まず、観終わった後に真っ先に思った事は、思っていた以上に、想像していた以上に素敵な感動的な作品だという事です。 驚き、感動しました。 これは、私だけでなく一緒に観た方の感想も同じだったのです。
ドールムービーといっても、私がそれまでにテレビや映画館で見た人形劇とは違い、人形の動きは、手足だけで、たとえば口が動いたりしないのに、ちょっとしたその動きだけで、それぞれの人物の表情がとてもよくわかるのです。 目もまぶたを閉じたりという動作以外は出来ないのに、その目が喜び、悲しみ、寂しさ、憎しみ、そしてそれらが混ざり合ったものを表現できるのです。
CGなどは一切つかっていないという事なので、さらに驚きました。 いわゆる人形劇というと、その糸を操っている糸はなるべく見えない様に、また見ている私達もなるべくその糸はないものの様にして見ている事があります。 けれども、この映画では題名からする様に、その「糸」が大事。
子供が生まれる時も、人が亡くなる時、恋をし愛する者同士が結ばれる時。 その糸がある為に人はめぐり会う。 牢獄に繋がれている時も、その糸がある為に目の前にいる大切な人と触れ合う事が出来ないのです。
それでいて、その「糸」があっても、観ている私達には全然煩く感じない…。 不思議な感じがしました。
本当に、この映画に携わった多くの人形師の方々のとてつもない細かい作業によっているのだな、としみじみ思いました。
また、「ストリングス」という事で、糸で音の出る楽器、ハープがおおくBGMに使われています。
剛くんは、最初のうちは世間知らずのすぐに人の意見に左右させられてしまう様な、いい意味では純粋な王子です。 そういう事を意識していたのだと思うし、声も作らないようにと言われていた様ですが、若くまっすぐな王子というのが、よく現れている声でした。 それが、少しずつ自分の暮らしていた場所を出て、街の人達の声を聞くうちに、そして、ジータという女性と恋に落ちて成長していくうちに少しずつ声が変わってくるのです。
また、叫び声をあげるところもあって、そこのところはお腹から振り絞る様な声をだしているところもありました。
テレビ番組で流された、自分自身でTシャツの襟を引っ張りながら格闘しているシーンの声の収録を行っているのを思い出し、ここかな…?と思えるシーンもありました。
ラブシーンも、素敵なシーンでした。 やはりそこでも糸が素敵な役目を果たしています。 でも、心配で目を伏せてしまう…、なんて事はないシーンなので、ご安心を。(^^)
私は、1回目を観た時は慎吾くんの声に圧倒的に気をとられてしまい、あっさりとここは過ごせたのに、2回目に観た時は気持ちに余裕が出てきたのか(^^;)、逆にこのラブシーンの剛くんの声が耳に残って、どんどん場面が進んでいくのに、ずっと聴こえてきて、映画館の暗闇の中で一人苦笑してしまいました。
妹ジーナが死んでしまうところで、ハルがその妹の亡骸に寄り添って、叫ぶところがあるのだけれど、その後姿がまさに剛くんに瓜二つで…。 このシーンは、1回目にも2回目にも同じ様に思いました。 そして、その叫び声が、実に悲しげで切なくて…。 自ら命を絶った父の遺言には、この妹のそばを離れぬ様にという強い言葉が書いてあったのだけれど、それは陰謀により見せられなかったのです。
また、何かの番組だったか忘れましたが、優香さんが、「生まれた時は天からの糸が綺麗なのに、段々汚れていってしまう。」という様な説明をされていて、それにも自分なりに注目しました。 確かに、糸の色が違いました。
そして、やっぱり慎吾くんの「ガラク」の声。 「ガラクは慎吾くん」とわかっていて観に行っていたからこれが慎吾くんの声だ!とそのつくりあげた声に嬉しくもあったのですが、前もっての知識が無かったら、わからなかったかもしれません。 今回、慎吾くんは、「好きな様にやらせていただいた。」と言っていたし、剛くんも褒めていた声でした。 また、剛くんに「僕も悪役をやってみたい。」と言わせた慎吾くんの声。 見事でした。 声色を思う存分使って、その声がせりふによって様々に変化していくという感じ。 慎吾くんが、このガラクの声を演じるのに、楽しんでやっていた様子が声からにじみ出ていてとってもよかったです。
ガラクは、悪役だけれど、自分自身も深い悲しみを持っている人。 慎吾くんが確かそう、どこかで書いてあったのを思い出させる声でした。 慎吾くんの声を聞いていて、彼の新しい才能にうなりました。
1回目に観た時は、子供達にもぜひ観てほしいと思ったのですが、2回目を見終わった時に、直接の残酷なシーンは無くても、かなり心に象徴的に残るシーン(たとえば戦さですべてのものが焼け、多くの者が命を落としてしまうシーンでは、糸の多くが焼けてその燃える赤い色が、戦さというもののむごさを象徴的に現しています。)もあるので、あまりにも感受性が強い子だとちょっと衝撃的かなとも思いました。
ツヨ友さんには、泣かない様にと言っていた私なのに、やっぱりうるうるとくるシーンが、何ヶ所かありました。
優香さんの演じる妹ジーナが、お人形もそうですが、とっても可愛かったです。 心の中にある悲しみやさびしさを感じ、それでいても悪には一切屈しない心を持っているジーナでした。
赤ちゃんが生まれてくるシーンも幻想的で素敵でした。 そういうシーンの捉え方、描き方にも、北欧らしさを感じました。
映画を見ながら、自分のまわりにいる方々の事、繋がりを考えていました。 それは家族だったり、友人達であったり、ツヨ友さん達やスマ友さん達であったり、あるいは近所の方達であったり、お仕事の仲間だったり…。 長いおつきあいの方もいれば、その時しかお会いしない方もいたり…。 偶然の出会いももちろんありますが、やっぱり私達一人一人にも目には見えないけれど糸が出ていて、その糸が結びつけたのではないかと…。
そんな事を考えさせられる場面があって、考えながら見ていたら、心にこみあげてくるものがありました。
ハルの成長、変化を見てもわかるとおり、人の心に、「憎しみ」というものを植えつける事は案外簡単な事かもしれない。 けれども、「愛する」事を教えるのは案外難しい事。 でも、その「愛する」事を教えなければ、それを身につけなければこの世は成り立っていかない事。 「憎しみ」から相手と戦い、傷つけ、殺しあっても、何も生まれないし、何の解決にもならない事。 よく言われている事ですが、そういう事を感じました。
戸田恵子さんはもちろん、市村正親さんや伊武雅刀さん、小林克也さんなどもう声の出演でも演技でもベテランの方々に囲まれて、剛くん、慎吾くん、優香さん、そして劇団ひとりさんもとても素敵な声の出演をされていて、想像以上に感動感激した映画となりました。
剛くん演じるハル、慎吾くん演じるガラクが戦うシーンは、ちょっと個人的にマニアック的に、ドキドキしてしまいました。(^^;)
この映画を製作した監督や人形師の方々の労力はもちろん、センスの良さを、映画の端々に感じました。 これから、「ステップ」「ジャンプ」と地域が限られてしまいますが順次公開されていくので、公開されるのを楽しみにお待ちくださいね。 また、エンディングロール最後の最後に、出演者一人一人からのメッセージがありますので、どうか、途中で席を立たれない様に。
やはり、2回目の方が、話の筋をわかっているという事もあって、さらに内容が心に迫ってくる様な気がしました。 また、デンマークという国の事、たとえば風習や歴史をよく知らないからか、理解出来ないところもありました。 また観る機会があったら、もっと鮮明に見えてくるかもしれません。 機会があれば、デンマークでのオリジナル版も見てみたいと思いました。
少し余談ですが…。 映画を観終わって、テレ朝に展示されている、ハル・ガラク・ジータ・ジーナ・エリトの5人の人形を見に行きました。
六本木テレ朝内のアトリウム中央部分に、人形が展示され、それら全部が5面ある黒い柱で覆われ、小さな窓が壁面に開いていて、そこから一つずつ中を覗く様になっています。 中には、人形が展示されていて、『ストリングス』の映画の場面を現和すスクリーンが現れる様になっています。
ジーナ以外は、木のお人形なのですが、ジーナは、白い陶器のお人形なのでスクリーンが映されると消えている様に見えます。
人形もまじかで見ると、実に精巧に作られていて、さらに驚きました。 ヘッドフォンをすると、声を聞く事も出来ます。 テレ朝に聞いたところ、日にちははっきりしないけれど、5月中旬までは展示されているとの事でした。
感想文を書くのが遅くなり、また長くなってしまってごめんなさい。
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