投稿日:2014年06月05日 (木) 05時26分
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第375回 国語辞典の最後の見出し
国語辞典はたいてい五十音順に項目が配列されている。最初はどの辞書も「あ」で始まる。最後はどんな見出しだろう。 小型の国語辞典を見てみよう。『新明解国語辞典 第7版』は「けちんぼ」「あかんぼ」「かくれんぼ」などに見られる造語成分「んぼ」である。『岩波国語辞典 第7版』はそれを「んぼう」として登録している。『三省堂国語辞典 第7版』は感動詞の「んーん」である。『三省堂国語辞典』は「んぼ」に相当する造語成分を「ぼ」として載せている。 同じ辞書でも最後の見出しは版によって変わっている。『三省堂国語辞典』を見ると、初版が「んず」、第2版が接続助詞「ので」の俗語形の「んで」、第3版から第6版までが感動詞の「んんん」(表記は「んーん」)で、第7版で「んーん」の形を見出しにしている。 ところで、「んーん」はどのように記述されているのか、興味がある。
@ひどくことばにつまったときや、感心したときなどの声。うーん。A〔女/児〕〔二番目の音(オン)を下げ、または、上げて〕打消しの気持ちをあらわす。ううん。
〔女/児〕というのは女性語及び児童語という分類を表す。第6版までは女性語だけを認めていた。〔二番目の音(オン)を下げ、または、上げて〕という発音上の注記は秀逸である。 五十音順で「んーん」より後に位置する語はもはや存在しないだろう。『岩波国語辞典』は「ううん」の形を見出し語としているが、『新明解国語辞典』にはこれに相当する形が見当たらない。 (2014年6月5日) |
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