投稿日:2014年03月20日 (木) 04時33分
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がめる
今から50年前、中学生時代だったように思うが、「がめる」という動詞を使っていた。他人の所有物をこっそり奪い取るとかちょろまかすといった意味である。インターネットで検索してみると、北海道、博多、筑後などの方言であると出てくる。「ごんべの鳥取弁辞書」(http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/ka.html)にも「がめる」の見出しがあるが、「因幡方言」との注釈がついて、「非常に疲れる。(疲労などで)体が弱った状態になる。」という意味が与えてあり、自分が使っている語ではない。 かつて、「ことば会議室 掲示板」(http://kotobakai.seesaa.net/article/8173600.html)で「ガメル」の語源が話題になったことがあった折にコメントしたことがある。2000年12月4日のことである。 最近、江端義夫さんの論文「少年層の言語地図から始まる時勢語『ガメツイ』等の方言分布」(『愛媛国語学研究』第2号、1996年3月)を読んでいて、この語が言及されているのを知った。江端さんはこう言っている。「中国地方や九州地方の学生に『貪欲に人の者(ママ)を奪い取る』ことを『がめる』というかを聞くと、使うと答える。文献には載っていないだけのことかもしれないと思った。」(p.19)と。 なぜ文献に記録されていないのだろう。意味が不穏当な出来事を表すからか。そんなことはないだろう。もしかしたら、50年前に鳥取県倉吉市の中学生の間で流行った言葉なのだろうか。ボクたち少年にとっては日常語であった。「がめられた」のような受身形や「がめてきた」のような表現で使ったような記憶があるが、はっきりしない。 半世紀も前の事柄は、言葉とともに忘却の彼方に消え去ることがあると認識した。 (2014年3月20日) |
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