投稿日:2014年03月06日 (木) 05時24分
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「おとつい」と「おととい」
一昨日のことを「おとつい」と言うか「おととい」と言うか。自分自身は主に「おとつい」と言い、「おととい」と言うこともある。個人の中で語形がゆれている。 歴史的にみると「おとつい」が古い形で、これが変化してできたのが「おととい」である。筆者は鳥取県倉吉市の出身で、子どものころ地元では「おとつい」が優勢だった(現状は知らないが)と思う。倉吉では古い形を受け継いで使っていたことになる。 古く万葉集に「乎登都日(をとつひ)」と表記されている。「おと」は「遠」、「つ」は「沖つ白波」「天つ風」「まつげ(目つ毛)」の「つ」と同じで「の」を表す格助詞、「い」は「ひ」の意と説明される。この「つ」が「と」に変わったわけである。 鳥取県倉吉近辺では昔、兄弟のことを「おとどい」(アクセントは頭高型)と言っていた。父方の祖母が使っていた。「おとどい」は基本形が「おととい」である。新しい形の「おととい」が、この兄弟の意の「おととい」と同音衝突を起こすために一昨日のほうは「おとつい」の形を保持したという説明を読んだ覚えがある。 自分のことを内省してみると、普段着のおしゃべりでは「おとつい」(アクセントは低低高低)を使うが、少し改まった場面では「おととい」(低低高低または低高高低)を使うという使い分けをしているように思う。 (2014年3月6日) |
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