投稿日:2013年06月13日 (木) 08時42分
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新・ことばの路地裏 第324回 「ます」の活用形 20130613 「ます」の活用形 丁寧の助動詞「ます」の活用形は以下のようなものが現代語として認められる。「しましょう」「しました」「しまして」「します」「しません」。このほかに命令形の「ませ」(または「まし」)がある。これは「いらっしゃいませ」「なさいませ」「くださいませ」のような敬語動詞に下接して使われる形式である。 これ以外に、古語的な用法だと感じられる条件形の「ますれば」が、現在も特定の発話場面で使用されている。「ますなら」に代替されると言われてもいるけれど、文体的な要請から「ますれば」のほうが好まれることがある。 国会会議録検索システムで「ます」の活用形「ますれば」「ますなら」「ますると」「まするが」「まするに」を検索した。ゴミが出ないように、読点が付いた形式を検索した。昭和22年から10年ごとに検索した結果が次の表である。 ... 表 国会会議録検索システムを利用した「ます」の活用形のヒット件数(sは昭和、hは平成の略)) ますれば、 ますなら、 ますると、 まするが、 まするに、 s22.1.1-s31.12.31 16807 12066 14795 15902 2845 s32.1.1-s41.12.31 11104 7862 9431 8981 1148 s42.1.1-s51.12.31 8592 6098 6160 4994 589 s52.1.1-s61.12.31 5736 3774 3093 1593 296 s62.1.1-h8.12.31 3182 1879 1207 320 109 h9.1.1-h18.12.31 3375 1333 624 49 64 h19.1.1-h24.12.31 922 273 84 1 18
(注 表組みがくずれているが、数値は各行とも左から「ますれば、」「まるなら、」「ますると、」「まするが、」「まするに、」の順である。)
この表から、どの活用形も10年ごとにほぼ減少してきていることが読み取れる。しかし、不思議なことに、「ますなら」がもっと使用されてもよさそうなのに、古い形の「ますれば」のほうがどの期間においても多く使用されている。古い形のほうが風格というか威厳のようなものを発言に添える効果があるのかもしれない。「ますると」「まするに」「まするが」がいずれも風前の灯火状態であるが、「ますれば」が孤軍奮闘しているように思われる。 (2013年6月13日)もっと見る |
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