投稿日:2014年12月18日 (木) 04時51分
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さもありなん
テレビを見ていて耳に入ってきた。聞いたことがある表現だ。あるいは自分でも使ったことがあるかもしれない。古風な言い方である。『新潮文庫の100冊』(非翻訳作品)を検索したが、一例もヒットしなかった。『国会会議録検索システム』で検索すると、ヒットした。国会の第1回から187回までの間に昭和で197件、平成で70件の合計267件(使用者の延べ人数も267人)である。1件に2回出現する例が3件あるので使用例は270例である。 少し詳しく分析してみよう。 たいていは1人1回の使用だが、1人で複数回使用する例もある。異なり人数212人が延べ270回使用していることになる。1人当たり最も使用数が多いのが小林進議員である。1949年の衆議院決算委員会から1974年の衆議院予算委員会まで8回使用している。4回が金丸徳重、帆足計、森勝治の3氏、3回が井上計、河野正、高田なほ子、塚本三郎、中山正暉、平林太一の6氏、2回が29氏である。 「さもありなん」の多くの例は「と思う」「と感じる」といった形式だが、中に面白い使用例があった。「さもありなんですよ」「さもありなんだと思うんです」「いわゆるさもありなん」。これらは「さもありなん」が名詞として機能していることをうかがわせる。そして「さもありなんなと」(4例).後ろに付いている「な」は終助詞だと考えられる。すると「さもありなん」は文相当として機能していることになる。 「むべなるかな」にも似たような状況があるかもしれない。 (2014年12月18日) |
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