投稿日:2014年09月18日 (木) 07時20分
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すいません
「すいません」は言うまでもなく「すみません」が音変化した形式で、口頭表現でよく使われる。国語辞典を少し引いてみると、立項しているものがある。 『三省堂国語辞典(第7版)』は「ぞんざいな言い方」とし、『明鏡国語辞典(第2版)』は「やや俗なくだけた言い方」とする。確かに、きちんと整った表現だとは言いにくいとは感じる。 『新潮文庫の100冊』で「すいません」を検索してみると三浦哲郎『忍ぶ川』(1961年)、野坂昭如『火垂るの墓』(1967年)、沢木耕太郎『一瞬の夏』(1981年)、椎名誠『新橋烏森口青春篇』(1987年)に使用例が見られた。 「すいません」で思い出すのが落語家の初代林家三平の「どうもすいません」である。1960年代には使っていたと思われる。 1960年以前から口頭表現では日常的に使われていたものと推察できる。林家三平の笑いの場での使用が俗語感を出しているのだろうか。とはいえ、日常生活の中では半世紀以上も使われている「すいません」が「やや俗なくだけた言い方」だとの評価や、「ぞんざいな言い方」だとする評価は、現状に合わないように思う。 というのも、学生から来るメールの文面に「申し訳ありません」と並んで「すいません」もよく使われているからである。学生は「すいません」を年長者に使ったら失礼になるなどと は思ってもいないだろう。いわゆる成人も、改まった場面で「すいません」を使っている。 実態調査をしたうえで「すいません」に正当な評価を与えてもいいのではないだろうか。 (2014年9月18日) |
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