投稿日:2014年09月11日 (木) 05時40分
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世界をおべらせろ!
テニスの全米オープンで錦織圭選手がベスト4入りした。出身地の松江市では、市役所に応援メッセージを書き込むコーナーが設けられた。テレビに映し出されたメッセージボードに「世界をおべらせろ!」という字句が一瞬見えた。ウエブの記事でも紹介されていた。
「世界をおべらせろ!(驚かせろ)」といった出雲弁での激励も、勝利を後押しする。【曽根田和久】(http://mainichi.jp/sports/news/20140906k0000m040028000c.html)
共通語訳をつけないと理解しにくい表現だ。「おべらせろ」はどのように分解できるのだろうと考えてみた。島根県の隣県、鳥取県の倉吉方言でも「おべた」(びっくりした)という表現がある。関連がありそうだ。 『標準語引き日本方言辞典』(佐藤亮一監修、小学館)を見た。「おどろく」の項に次のようにある。
おべる 新潟県西頚城郡 兵庫県赤穂郡 島根県出雲「あだんおべた(まあびっくりした)」
「おべる」はおそらく「おびえる」が音変化したものだろう。その使役形が「おべらせる」で、命令形が「おべらせろ」になると推察した。「ごんべの鳥取弁辞書」(http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/sakuin_a.html)には驚かすの意味の「おぶらかす」が登録されている。この語は倉吉で使った記憶がない(というか、記憶がおぼろである)。子どものころには「おばかす」を使っていたと思う。この語は鳥取県東伯郡泊村(現在は東伯郡湯梨浜町)の方言として登録されている。(www.yurihama.jp/files/9730.doc)。 「おばかす」は「おびやかす」の音変化だろう。「おびえる」と「おばかす」が自他対応しているのに対して、出雲弁では自動詞「おべる」に対して使役形「おべらせる」が対応していると考えられる。 (2014年9月11日) |
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