投稿日:2014年04月24日 (木) 04時04分
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液状化
この言葉を初めて知ったのは1995年1月17日に発生した阪神大震災のときである。神戸市のポートアイランドで液状化現象が発生しているというニュースだった。地面がどろどろになったポートアイランドの映像がテレビ画面に映し出されていた。液状化とは「地震などの振動によって地盤が液体のような状態になること」(デジタル大辞泉)である。 この現象は1964年6月16日の新潟地震(大きく傾いたアパートの写真を覚えている)のときにも生じたそうだ。 この語を国会会議録検索システムで第1回国会から検索したら、1962年から現在までの間で403件ヒットした。その中で、1962年4月19日の参議院農林水産委員会での例は次のものである。 「農薬の種類により、今後粉剤から液状化してくる」(斎藤誠政府委員)という例である。これは、農薬の空中散布において粉剤から液体状のものに変わってくる可能性を述べたものである。 また、こんな例もあった。 「アイスクリームとかパンとか菓子類、これはほとんど添加糖を加えまして液状化してあるわけです」(1963年2月11日、衆議院決算委員会、鈴木繁男説明員) 液体化するという意味である。 この2例以外は地震による地盤の液状化のことを言ったものと考えられる。その最初の例は1964年7月3日の衆議院災害対策特別委員会における久田俊彦説明員の発言で、新潟地震を受けてのものである。 国会ではこの例に始まって、以来、多数、使用されている。 ところが、ごく最近(4月8日)、この語が比ゆ的に使われている例を知った。
渡辺代表辞任で「政界が液状化する」と維新議員(見出し) 維新の会の馬場伸幸衆院議員は「政界全体が液状化していくのではないか」と語った。 http://www.yomiuri.co.jp/politics/20140408-OYT1T50020.html?from=ytop_main2
「デジタル大辞泉」にこの用法が記述されていることから、かなり以前から使われていると思われる。うかつなことであった。「(比ゆ的に)活動の拠り所となる組織の支持力が衰えること。また、社会にさまざまな動きが生じ。不安定になること。」(デジタル大辞泉)と説明されている。このような用法は国会議員が使うようになったのか、マスコミが初めに使ったのか。いずれにしても、地震の影響による深刻な被害を表す液状化の語を、国会議員が国会の外で比ゆ的に使うというのは、どういう神経なのか。 (2014年4月24日) |
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