投稿日:2013年09月26日 (木) 05時10分
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いつ来たねん!?
もう18年も前のことになる。卒業生が情報を寄せてくれた。マンガを読んでいて、おや?と思う表現があったというのだ。大阪の高校生のセリフとして「いつ来たねん!?」と書かれていた。そのコマのコピーも添えてあった。 森田まさのり作「ろくでなし」(『週刊少年ジャンプ』1995年8月7日号 p.20) 普通は「いつ来たんや」となるべき所である。 「ねん」はもっぱら非過去形に付くもので、過去形に付く表現は、耳にしたことも目にしたこともない。前田勇『大阪弁』(朝日選書、1977年、p.155-156)に「ねん」の説明がある。 「ね」に「ん」を添えたもので、「ね」は「のや」のくずれたものである。「ねん」といえば念入りな言い方で、「ね」とだけいえば、ぞんざいな言い方となる。 (簡略化して引用「どないした言うのや」「どないした言うねや」「どないした言うね(ん)」) 「のや」が溶け合って、「ね」になってしまう。この「ね」に余情をこめる時の形が、先刻の「ねん」というわけである。
もし「ねん」が「のや」に置き換えられるのだとすれば、「いつ来たのや」ということになって、不自然な表現とは言えない。 ところで作者の森田まさのり氏は1966年、滋賀県栗東市(旧栗東町)出身で、高校卒業まで過ごしている。もしかしたら、「したねん」は滋賀県の言葉なのかもしれない。そう思ってインターネットで検索していたら、「とほほ〜見聞録」というブログの記事「2005年07月24日大阪弁についての考察」に行き当たった。 http://blog.livedoor.jp/tohoho_kenbunloku/archives/50006385.html これに次のような記述がある。 (滋賀県)栗東辺りの人(子供?)は、大阪弁ながら、ちょっと変わった言い回しをする。 「なぁ、なぁ〜、先生、私昨日◯◯ちゃんと遊んだねん!」 この『遊んだねん』というところだ。 ほかに「したねん」「食べたねん」の例も示している。 これで腑に落ちた。 滋賀県栗東市は滋賀県で湖南地方と呼ばれ、京都の方言色が強いとされる。とすれば、京都でも「動詞の過去形+ねん」が使われているのだろうかという興味も湧いてくる。 (2013年9月26日) |
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