投稿日:2013年03月28日 (木) 05時56分
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第313回 記者団に反論
「記者団に反論」という表現を見ると、記者団が示した統一的な見解に対して反論するという意味に理解される。しかし、これは文章の一部を切り取ったために生じる誤解である。前の文脈を参照すると違う意味であることが理解される。
藤沢市議は5日、自民党市議団の会合で擁立が決まると、さっそく河村市政に苦言を呈した。河村氏が、市内の平針地区にある里山の開発計画や同市北区の陽子線がん治療施設の建設をいったん中止後、再開させたことなどを挙げて、「思いつきばかりで地に足がついてない」と批判した。 一方、藤沢氏の発言を受け、河村氏は「冗談じゃにゃあと。減税や地域委員会、市議報酬半減、中学生の医療費無料と精いっぱいやってきた」と記者団に反論。選挙戦に向けて「自転車で、また走り回る」と意気込みをみせた。 http://www.asahi.com/politics/update/0306/NGY201303050034.htmlhttp://www.asahi.com/politics/update/0306/NGY201303050034.html
この文章を読むと、河村名古屋市長が藤沢氏の批判的発言を受け、それに対する反論を記者団に発言したという意味であることが分かる。この誤解を解消するためには、2つの方法がある。 @ 一方、藤沢氏の発言を受け、河村氏は【記者会見で】「冗談じゃにゃあと。……」と反論。 A一方、藤沢氏の発言を受け、河村氏は「冗談じゃにゃあと。……」【との反論を記者団に表明した】。 記事を書いた記者には十分に分かっていることで、誤解は生じないだろうと考えて、このように表現したのかもしれない。しかし、「記者団に」というニ格名詞と動作性名詞「反論」とが相接して表現されているために、その関係の方が浮き出る結果となっている。 表現することと、どのように理解されるかということを突き合わせて推敲する必要があった。 (2013年3月28日) |
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