投稿日:2013年02月07日 (木) 04時53分
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第306回 「多用」と「多忙」
「ご多忙のところ、恐れ入りますが、……」という文面のメールを受け取ることがある。相手に対する配慮として、忙しいところを煩わせて申し訳ないという気持が込められている。そのことははっきりと理解しているのだが、「多忙」という語には、少なからず違和感を覚える。なじめないのである。類義語の「多用」を使って「ご多用のところ、恐れ入りますが、……」としたほうが、自分としてはすっきりする。 しかしながら、企業を筆頭とする一般社会においては「ご多忙のところ」「ご多忙中」という表現が普通に使われている。相手のあることだから、「ご多用のところ」「ご多用中」と書いたメールは好ましくないと受け取られることもあるだろう。注意が必要だ。 企業社会において「ご多用」より「ご多忙」のほうが適切な表現であるというような決まりはないと思われる。企業組織ごとに定型例文集のようなものが作ってあって、それにしたがって効率よく文書を作成しているというのが実際のところであろう。まさか、相手によって表現を変えるということはしていないと思われる。もし、そんなことをしていたら、実務が煩雑を極めること間違いない。 事務文書は外枠の部分を定型化しておき、必要に応じて内容の実質部分を変えるようにしておけば円滑にことが運ぶ。 個人的なことを一つ付け加えておく。「いつもお世話になっております。」で始まる文書を受け取る。「〜しております」の形式になじめないものだから、個人的に「お世話になっています。」と書いて送信したり返信したりしている。単なる個人的なこだわりだが、なじめないのだから仕方がない。 (2013年2月7日) |
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