投稿日:2013年01月17日 (木) 05時13分
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第303回 にやける
生まれてこの方、ずっと新しい意味で理解し、使ってきていた。 『平成23年度 国語に関する世論調査』で「どの意味で使っているか」との問の一つに「にやける」があった。「彼はいつもにやけている」という例文について「(ア)なよなよとしている」「(イ)薄笑いを浮かべている」の選択肢を示している。アンケートの結果は以下の通りである。
(ア)なよなよとしている・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14.7% (イ)薄笑いを浮かべている・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・76.5% (ア)と(イ)の両方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3.0% (ア),(イ)とは全く別の意味・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3.0% 分からない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.8%
(ア)が元からの意味で、(イ)が新しい意味である。筆者は(イ)の意味で理解し、使ってきていたのである。日ごろから日本語に関心を持って日本語に接してきた立場からすると、(ア)の意味を知らないのはうかつであった。 「にやける」の「にや」を「にやつく」の「にや」と同じだと思っていた。しかし、『デジタル大辞泉』を参照すると、次のように説明されている。
にや・ける【▽若気る】 [動カ下一]《名詞「にやけ」の動詞化》 1 男が変にめかしこんだり、色っぽいようすをしたりする。「―・けたやつ」(『デジタル大辞泉』)
「にや」に「ける」が付いたのではなく、名詞の「にやけ」に動詞化接尾辞「る」がついて出来た動詞だったのである。 (イ)の意味は『デジタル大辞泉』には「若者言葉」だと記している。 元から(イ)の意味で使っているのだから、(ア)の意味は知らずに過ごして来たことになり、「若者言葉」だと言われても戸惑うばかりだ。(イ)の意味での用法がいつごろ現れたのか、気になる。 (2013年1月17日)
『平成23年度 国語に関する世論調査』の結果の概要 http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/yoronchousa/h23/pdf/h23_chosa_kekka.pdf |
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