投稿日:2012年11月15日 (木) 05時25分
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第294回 メンタルがズタボロ
10月17日、フジテレビ系めざましテレビを見ていた。話題になっているなりすましメールで、告白してもいないのに告白があったかのような内容を書かれた女性が「メンタルがズタボロ」と話していた。 りりィ作詞・作曲の『心が痛い』という歌がある。心が張り裂けそうな状態を表している。内面的な極限状態をとらえていると言えるだろう。また、「心が折れる」という表現がある。これは目標が達成できないとか、自分自身が思うようにならないといった場合の、くじける様子を表している。最近、時々耳にする、いわば流行りの表現のように思われる。「へこむ」とか「めげる」と言っていた状態を、よりおおげさに表現していると感じられる。 「ズタボロ」は、気持がズタズタになりボロボロになることである。完膚なきまでに気持が破壊されている状態を表しているのだろう。このような精神状態なら、その状態をこのように言語化することは困難だと推察できる。したがって、ある程度自分を客観視するといった距離感で、定型化した「メンタルがズタボロ」という句を発したものだろう。「へこんでいる」とか「めげている」と言って言えないことはないけれど、少し流行遅れの印象がある。そこへ比較的新しく生まれた定型句としての「メンタルがズタボロ」を使用したものだと考えられる。 「へこむ」も「めげる」も短い語であり口をついて出てきやすい。それに対して「メンタルがズタボロ」は「最高裁判所」と同じ9拍である。こんなに長い形式が受け入れられる素地はどう説明したらよいのだろう。 (2012年11月15日) |
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