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[1470]新・ことばの路地裏 第277回 「眉」を含む慣用句 投稿者:むささびとびのしん

投稿日:2012年07月19日 (木) 05時28分

第277回 「眉」を含む慣用句

 「目は口ほどに物を言う」と言う。言葉を口に出して言わなくても、その人の心の内、気持が目の表情で分かるという意味だ。「目で物を言う」「目が物を言う」「目顔で知らせる」という言い方もある。これと似た機能は眉も持っている。目の表情が、目の上にある眉にも現れるのだ。それを「眉を上げる」「眉をひそめる」「眉を曇らす」「眉を開く」などと言う。
 驚いたときに目を丸くして、それに連動して眉が上がることがある。しかし、慣用句の「眉を上げる」は、眉をつり上げることで、怒った様子を表す。「柳眉を逆立てる」というのは、美人が怒る様子を表す。
 「眉を開く」はひそめていたり曇らしていたりした眉間が開くことで、心配事などが解消して明るい顔になることを表す。「愁眉を開く」と同様の慣用句である。
 「眉を上げる」「眉を開く」「眉を曇らす」という慣用句は使った記憶がないし、見たり聞いたりした記憶もおぼろげだ。これに対して、「眉をひそめる」は使った実感がある。「顔をしかめる」と似たような表情だが、意味には少し違いが感じられる。「眉をひそめる」のは心配事や不快感の表れで、「顔をしかめる」のは主に不快感の表れだと思われる。
 ちょっと厄介なことだが、「眉をしかめる」という表現もある。自分では使った記憶が薄い。さらに厄介なことに、「ひそめる」も「しかめる」も「顰める」と書く。「眉を顰める」と書いてあるとき、どう読むのだろうと悩むときに、眉はどんな状態になっているのだろうか。
(2012年7月19日)



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