投稿日:2012年06月07日 (木) 05時36分
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第271回 「ヤバイ」と「マジ」で成り立つ会話
1年生の授業「教養としての日本語」で、出席を取るかわりに毎回、ひと言コメントを書いてもらっている。多義語の説明をした時間のひと言に、こんな例が紹介してあった。題して「日本語会話(初級編)」
A1「ヤバイ」 B2「マジ?」 A3「あのコ、ヤバイ」 B4「マジで?」 A5「ヤバイよね」 B6「うわっマジ〜」 A7「ヤッバ」 B8「マジ」
状況に応じて意味を変えながら2語だけで会話を続けているのである。説明がなければほとんど理解不能である。幸い、解説が付けてあった。こんなふうになる。
A1「大変です」 B2「どうしたんですか?」 A3「すごくかわいい人がいます」 B4「どれどれ?」 A5「あなたはどう思いますか」 B6「私もそう思います」 A7「本当にかわいい人だなぁ」 B8「そうですね」
ずいぶん意訳してあると思うのだが、気心の知れた若者同士の間でなら、このような臨機応変の、状況に依存した運用で意味が通じあっているのであろう。久しぶりに若者ことばの運用面の実態の一端に触れた気がした。 ところで、この2語の意味を辞書に記述するとするならば、どのように一般化できるのだろう。多義語として記述するのか、運用上の解釈とするのか。新たな疑問が残る。 (2012年6月7日) |
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