ご無沙汰しております。

本日、ＳＰＴＶ！（チャンネルＮＥＣＯ）で放映された「風流交番日記」に
葉子さま（夜の女おふみ）が出演しています。
５，７，１９，２８日にも放映されます。

先日、久保明さんにお會いする機會がありました。ゴジラ誕生50周年作品「コジラ　ＦＩＮＡＬ　ＷＡＲＳ］には出演されないそうです。「あんみつ姫」、「潮騒」などのお話しを聞くことができました。

三ツ矢歌子さんの、御冥福を御祈り致します。
合掌｡

「女岩窟王」がとくに好きです。また寄ります。

　皆さん､御存知ですか?
http://www.cinemabox.com/event/event.cgi?8
テアトル新宿で、４月１０日です。

　続きです｡

{　撮影所内部にも
　私生活にまで　立ち入る友達を
　一人として　作ろうと　しなかったし、
　同じ俳優同志でも　仕事以外の交際を　もたなかったのも　その為だった。

　　彼女の　こうした計算は　見事に図にあたって、清純なグラマーと云われるに至ったのだが､
　その陰には　サンパウロで活躍している忘れ得ぬ恋人の面影が　あったと　いっても　云いすぎでは　なさそうだ。
　近藤準市郎さんに　よせる　強い慕情が、
筑波久子に　浮いた生活を許さなかったのだろう。
　それほど彼女は　準市郎さんに　うちこんで　いたのだ。

　こんな筑波久子に　真剣に愛を告白しつづけていたのが、
二谷英明だった。
　がっちりとした体格をもって　幅の広い活躍を見せている　二枚目半の彼は､
筑波久子の明るくコケティッシュな表情に　よぎる
もの哀しい陰に魅せられてしまった…と告白している｡

『乳房と銃弾』で共演した頃には､
二谷の燃えあがった感情は､　もう　どうすることも出来ないところまで発展していて､
二谷は　真剣に　筑波久子に　愛を　うちあけた　ということだ。
他目にも、気の毒に　なるほど　二谷は　おろおろしながら　筑波の返事を　まったそうだ。

　筑波は　一瞬顔を　こわばらせた　と　いうことだが、
冗談めかしに笑って、イエスともノーとも云わなかったが､
態よく　その場から姿を消してしまった　そうだ。
結果的に見ると､どうやら二谷は　フラれたことに　なりそうだが、
彼は決して　筑波を　あきらめては　いないようだ。

　その夜半、新宿のクラブ“Ｍ”のカウンターで痛飲しながら､
なお筑波を　ほめちぎっている二谷の姿は､いじらしいほどだった
と事情を知る人々は　語っているのだ。

　筑波にとっても、彼の告白は　かなりショックだったらしい。

　グラマー女優として売出した当時､
同僚の俳優たちなどから、激しい嫉妬を　かって、
「オッパイやヘソを見せていりァ　芝居は　どうでも　いい時代かねえ…」
などと聞えよがしに云われたり､
「野口博志監督の子供を　おろした　そうじゃねえか…」
とか、
「堀久作の枕席にも　はべるそうだが　ベッドの演技力は一流以上だそうだ」

　などと　悪意に　みちた陰口を囁かれた頃は､
激しい怒りと､どうにもならない哀しみに泣いた時とは違った､胸に　こたえるショックだったと　いう。

　陰口を　たたかれたり、遊び半分に口説かれたり､あくどい悪ふざけを　されたり
　していた時には､
そのたびに、初恋の人への慕情を　いっそう　かきたてた　ものだったが
今度の場合は　全く違うものだった。
二谷の愛に　応えるか　どうか…は別として､
真剣に愛された　ということが、
筑波久子に　ハッと自分の位置を感じさせたのだ｡
もう　すっかり色あせてしまった初恋に　しがみついている自分。
サンパウロと東京の　あまりに遠すぎる距離｡
そんなものは　改めて彼女の胸を　しめつけたらしい。

　ともかく二谷の告白は､
筑波久子に　準市郎さんとの思い出の影に
霞をかけたことは事実のようだ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}

　　と、在りました｡

　残りは､後一回分です｡

[１５４]の続きです｡

{『ショックだった告白』

　こうした映画スタアとしての歩みを　つづけてきた彼女には､
珍しく　それらしいゴシップや、スキャンダルが話題に　のぼらなかった　ものだった。
　恋を知らぬグラマー…てな　キャッチ･フレーズが　使われたのも､そうした事情を　さして　いるのである。

　強いて話題と云えば､慶応在学中の彼女に対して､
慶応の父兄たちが学校当局に､
筑波久子の退学を談じこんだ　ことぐらいだろう。

　学生にも　あるまじき肉体映画のヒロインを演ずる筑波久子は慶応大学の名誉を汚すものだ…といったふうなイチャモン(文句)をｌつけてきた事件だったのだが､
この騒動も　なんとなく　おさまってしまって、
筑波久子は事実上　校門を　くぐることも　なくなってしまったのだが、
当時の彼女は、この一件が余程ショックだったようで、深刻に悩んだりしていたのを記憶している｡
肉体シリーズのグラマー女優として割切って生きてゆくのには、それなりの苦悩があったようだ。

　そんな一幕も　あって、りこう者の彼女は　意識的に映画人らしい生活を送ることを拒否しつづけてきた。
若い世代が　撮影所の　ほとんどを　しめている日活では､自然スタアの生活態度も派手で､バアやナイトクラブに連日の　ごとく姿を現わすのが常識と　なっているのだったが、
彼女は　かたくな…と思われるほどに　そうした夜の世界には足を踏み入れようとは　しなかった。
それでなくてもグラマー女優というだけで、
スクリーンの姿と私生活とを混同し勝ちなファンの眼を
百も承知している彼女の生活のポーズだったに違いない｡　　　　　　　　　　　}

　　　　と在りました｡
　本日は、此れで終了と致します｡続きは､また、後日｡

　ファンＡさん、御無沙汰して居りました｡申し訳有りません｡
随分前の事と為りますが､[147]の続きです｡

{　「新しい春の泉」-愛とは　どのような　ものか-

「むかし、性典映画というのが流行ったことが　あるでしょう…
あのとき、若尾文子さん　なんか、町を歩いていると､
ォォ、性典が　きたよ、なんて生意気な学生たちが　ひやかしたりして、
とてもイヤな思いをした､なんて話も　あるんですが、
あなたの場合､そんな風な云われ方したことは　ありませんか」

「わたしの場合には､今まで一度も　ありません…
でも、他の人で　そんなこと云われたなんて話､聞いたことも　あります…
この前、なんだか“汚れた肉体聖女”で、カソリックの協会から抗議が　きたなんて噂が　ありましたけど…」

「会社に?」

「いいえ、女優さんの　ほうに…」

「へぇ、奇妙だナ…女優さんなんかに全然責任ないし、抗議されたって､
やめる訳に　いかないじゃ　ないですか」

「そうなんですよ。
契約が　あれば　仕事ですもの､やらなけりゃ　ならない…」

「あれ、同性愛もの　でしょ」

「ええ…“制服の**”みたいなテーマです」

「…あなたは、今まで恋愛の　ごときもの　やったこと　ありますか」

「ええ、そりゃァあります…」

　どうも、質問の仕方が唐突過ぎて　いけないようだが、同性愛から思いついた　ことだと　知って　いただきたい。
　失礼な､いや、当然な質問に対して､
当然な　お答えを戴いて､まことに光栄でした。

「そこで、どうしました…」

　いささか、こいつは難問で､シマッタ！と思った｡
愛情という　やつは、
　どうしました？
なんてな　もんじゃ　ないから。

「それですけど…
あたし、だいたい、そんな愛情に対して､ひどく、臆病なんです。
引っ込み思案なんでしょうねぇ…
そんなとき　どうしても、そのような感情に　おぼれ切るような…
いえ、その感情に左右されて、仕事や､自分の進む道の　さまたげに　なりは　しないか…って、そんなことを考えちゃうと、
急に愛情の気持が､すうっと薄らいで　しまうんです」

「うん…わかりますがねぇ…
しかし、恋とか愛とか云うものは、
もし、そういう気持に　なれば　それとは逆に　なりやしませんか」

「………」

「たとえば、愛するものの　ために演技が　うまく　なるように、
一生懸命勉強するとか…」

「山田五十鈴さんが、新しい恋を　する度に、
演技力が進む、なんて評判…」

「ありゃァ、誰かバカが云った　ことでしょう、
そんなことは　ないですよ」

　みんなで、この伝説に　ついては　ワアワア笑った　　　　　　　　　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　と、在りました。
　　　次回､一回分です｡

　ファンＡさん、長々と何時も申し訳有りません｡

『遺書か？メモか？』

{　そこで“遺書らしきメモ”の点である。

　これは電話帖の傍におく、小さなワラ半紙を綴ったもので、
それには“ベ”とも“デ”とも読めるカタカナが出だしで
「ベーリーゴメンネ､ミーコモウダメ」と走り書きしてあった。

その小さな一枚の紙の横には　電話中にメモした文字が書き残っており、
そのトナリにモウダメの文句が同居している　と　いう
こうしてみると、それが一体遺書と　なり得るか　どうかだ。
そこで警察側が　いう
「事故なら　うすれた意識のもとで遺書めいたことを書く必要は　ない」
と　いう　ことになる。

　しかし、母親の松江さんは、
「あの子はメモを　ちょいちょいするので、
クセで、よく私も　みました。
第一あの子が、メモのようにして遺書を残す子じゃないってことを、
この母親が一番知っています。
だからゼッタイ自殺なんかじゃ　ありません」
　と松江さんは強調する。

　小宮は　もともと　みかけによらず素直で､
物ごとを　きちんとしている子だった。
掃除も自分で　よくするし、きれい好き。
それに料理なんかも好きで､母親が遊びにくると　よく　ご馳走を作ったりした。
そして　その人柄については一様に　ほめる人ばかりである。

　星美智子は
「小宮さんは　つねづね　
あたしは女優っていうハデな商売は向かないのよ。
早く　やめて　家庭に入りたいわ。
って　いっていました。
なにしろフトンを作ったり漬物や料理も　うまいし、それに美人だったでしょ。
なんで　こんな人が　ひとりでいるのか不思議なくらい。
よくよく男の人って目がないんだなァって思った…」と　いう。

　また中原ひとみも、
「ほんとに　いい人だったわ、
みかけはグラマーで鼻ッ柱が強そうだけど
根は女らしい､やさしくって素直で、思いやりの　ある人だった。
とても悩むとか､男の人と変なウワサたてるようなところは全然なかったわ」
と人柄を異口同音に　ほめたたえているのだ。　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}
　　と在ります。また続きを書込み致します。
　それでは。

　始めに、おことわりしてしておきます。
此の記事は、自分の御手柄では有りません。
【三原葉子】さんを遠い眼差しで、優しく見つめている方から、戴いた物です。

『フリーを契機に　いいお仕事を…』
　新東宝のグラマー女優として十年のキャリアを持つ三原葉子は、
現在フリーの立場で大島渚監督の「飼育」東宝の「駅前弁当」に出演､
こんどは西下して東映の時代劇「権九郎旅日記」(監督工藤栄一､主演右太衛門)に登場することになった。
　以下は　かずらをつける
グラマー･オブ･グラマーズとの一問一答。

{　　フリーに転向した気分は。

　　十年も住みなれた新東宝を　はなれるときは、
　さすがに心細かったですけど、
　いまは当分フリーで　いたい　という心境です。
　大島さんのもとで　ぜいたくな仕事ぶりをみて驚き､
　東宝の俳優さんの巧さに感心し　びっくりしてばかりですけど、
　それだけに　ずいぶん勉強になります。

　　　時代劇に出演したことは。

　　新東宝時代、三本だけ出たことが　あります。
　東映での　お仕事は　まだこれから入るのですけど､
　さっき右太衛門さんに　お会いして､すっかり圧倒されてしまいました。
　これから右太衛門さんの映画は　必ず見ようと思っています。
　でも正直にいって、
　わたしは　まだ時代劇の面白さが分かるところまで　いってませんし、
　自分がやるのなら　やっぱり現代劇のほうが…。

　　「権九郎旅日記」の役柄は。

　　父なし子を身ごもった尼さんで
　陣痛が起こってウンウンいっているところを右太衛門さんに助けられるのです。
　坊主頭で大へんユーモラスな芝居があり､楽しみにしています。

　　　グラマーの呼び名について

　　反発したことは　ありません。
　裸も衣裳の一つだと思っていますし､
　会社から裸になってくれと　いわれれば　なりますし、
　いいと　いわれれば　なりませんし…
　わたしは　ただ　お芝居だけを　やっていきたいのです。
　
　いまの　わたしは、フリーになったのを契機に
　いい　お仕事を　したい。
　
　ただ　それだけを考えています。　　　　　　　　　　　　　　　　　　}

　　此方には、楚々とした葉子さんが、着物に羽織を纏って
　遠い視線を投げ掛けています。

　　有難う御座居ます。今年も宜しく御願い致します。
　また間もなく葉子さんの誕生日が来ます。
　

　読んで頂ける方が居られる事を信じて、書き込みします。

{　近く出版される彼女の詩や随筆集には、
　沖縄での見聞も入るが､
　出すからには　売れるものをと、ニ稿も三稿も重ねて､
　生涯の記念に　なるような　ものを　と心掛けているそうだ。

　　その中の一節に､Ｙに寄せる　いじらしいまでの、
　スターの飾りを　かなぐり捨てた、
　ハダカの彼女が　巧まずして描かれている｡　
　　だから　この本が世に出た時は
　可成りの反響を　まき起こすだろう。

　遠くの国へ海を渡っていった　あの人
　風よ吹け　もっと吹け　
　私は悲しくて　ならない!
　　　　　　　　(中略)
　私の心は灰色　あなたが　もう　いないからよ
　苦しみの苦しみの底で　もがく
　涙は枯れて　声も出ない
　私は一体　どうすれば　いいいの!　

　　という詩も　あれば、随筆にも

　「あなたと　お別れしてから　二ヶ月たちました
　　何も手に　つかず　涙ばかり流しています
　　あなたの面影が　胸に焼きついて　はなれないのです
　　ただ　あなたに　一目逢いたいと思います

　　あなたの名前を小さい声で呼んでみます」
　　　　と慕情切々たる胸のうちを吐露している。

　【切々と訴える慕情】

　　この“あなた”が　Ｙであることの　はっきりした証拠は
　『船の上』と題する詩だ。

　　あの人は　船の上から
　　私を　じっと　見下ろした
　　私の生活の支えであった
　　あの人は
　　日本を離れようと　している
　　あの人は　日本は　余りに狭いという
　　広大な未開拓地を
　　男の力で開拓したい　と　いう
　　そして　そこで　骨を埋めても
　　本望だと　いう
　　南米は　俺のものだ
　
　それが　力強く残した彼の言葉だった｡

　　グラマー女優として　売出されは　したが、
　実際は　映画界きってのインテリであり、
　日記代りにコツコツ書きためた､彼女の三冊にも上る原稿紙の綴じ込みは､
　奇をてらった“書きますわよ”的な　ものでも　ないし、
　良識ある目で眺めた撮影所の生態なども、きたいして　よさそうである。　}

　　と、在りました｡

　次回の【麗しのファムファタールへ】は、前の記事に戻ります。
　今回の別冊は、此れで終了です｡