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逃げたのだ
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投稿者:IKUE
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(2006年08月01日 (火) 19時56分) |
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人はやっぱり、綺麗事だけでは生きてはいけない。 ・・・のかな。
今まであたしは、ずっと思ってきた。
例え自分の想いが叶う日が来なくても、 あたしは先輩に愛を感じる事だけで、幸せなのだと。
先輩の瞳に自分が映って、名前を呼ばれて、同じ世界に存在する。 それが幸せだと。
あたしという人間が、存在が、いることを先輩は知っている。 それも幸せだと。
そう感じる事が、 …幸せなのだと。
しかし、違ったのだ。 それは、間違いだったのだ。
全て自分への綺麗事で、逃げていたのだ。
共に生きている、と言う幸せ。
その幸せと背中合わせに、想いが儚い願いを生み出すのを感じた。
彼に振り向いて欲しい、と思う。
自分だけを見て欲しい、と思う。
もっと熱い感情を向けて欲しいとさえ思ってしまう。
あたしは強欲だった。ずるかった。底意地が汚かった。臆病だった。
私は逃げた。 逃げたのだ。 叶わぬ恋から。
逃げたのだ。 叶わぬ恋と知って。
逃げたのだ。 己、自身から。
逃げたのだ。 己が傷つく事を恐れて。
私は、逃げたのだ。
笑いたければ笑うが良い。
今となっては戻らぬ恋。 戻らぬ距離。 笑おうと、咎める者は誰もいない。
それと、先輩。 最後に一つ。
今でもあなたが、
好きなんだ。
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