| (245) 万年最下位チームの逆襲記〜第17話〜 |
投稿者:名鑑引受人(元兵藤洋平)
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翌日、監督・コーチ陣が1回の食堂に集まって、打ち合わせをしている。 矢『どうする?』 原『そうですね、ファームでの成績もなかなかいいですし、そろそろ個人的にはあげてみてもおかしくないですね』 梶『俺も、あの二人はなかなかの物を持っていると思うなあ』 マ『そうですネ、一度、一軍を経験させるのも悪くないと思いマース』 高『思い切って上げましょう』 矢『そうだな、じゃあ梶さん、梶さんのほうから伝えておいてくれないか』 梶『OK』 彼らは何を話し合っていたのか、そう、キャンプ中の紅白戦、なかなかいい活躍をしていた、立川、北村を一軍に上げるかどうかを話し合っていたのだ。 プルルルル・・・ 2『もしもし』 梶『あっ、1軍打撃コーチの梶岡です、えっとですね、北村と立川に、今すぐこっちに合流するように伝えて置いてください』 2『分かりました、球場の方に向かわせればいいですね?』 梶『うん、それでいいよ』 2『分かりました』 ガチャン、ツーツーツー・・・ その頃矢嶋は、一人グラウンドに行っていた。 しかし、先客がいるみたいだ。 矢『おい、水無月、何してるんだ、そこで』 水『あっ、監督、おはようございます』 矢『早朝自主トレか、ご苦労ご苦労』 水『立川さんと北村さん、こっちに来るんですね』 矢『ああ、それと今日のアタッカーズ戦、お前先発で行くから、きっちり準備しておけよ』 水『分かりました』 それから何時間か経ち、 立・北『今日から一軍に昇格した、北村大輔、立川弘です、よろしくお願いします』 立川、北村が一軍に合流。 水『北ちゃん、立チャン、やっと上がってきたね』 立『ちょっと遅かったな』 北『俺が上がるとは思ってもいなかったよ』 水『今日はひょっとしたらいきなりスタメンかもしれないよ、一緒にアップしない?』 北・立『そうだね、じゃあお願いするよ』 その頃バックネットでは、矢嶋が今日のオーダーで悩んでいた。 矢『うーん、よし!今日はあいつらを思い切って使ってみるか』 それからしばらくして、アタッカーズの選手がベンチ入りした。 その中には、今季ドラフト3位で入団した、大川の姿もあった。 午後3時48分、センターバックスクリーンの緑のボードに、今日のオーダーが並べられた。 アタッカーズ オーシャンズ 1 一 三郎太 1 遊 槙 田 2 捕 北 澤 2 二 平 田 3 二 大 川 3 右 鈴 木 4 DH 平 光 4 三 田 中 5 三 柳 生 5 左 バークス 6 左 村 高 6 中 北 村 7 遊 浅 倉 7 一 立 川 8 右 丸 倉 8 捕 城ヶ崎 9 中 志 倉 9 DH 千 葉 投手 城 投手 水無月 北『水無月の言った事、どうやら本当みたいだな』 立『それだけ期待させられているって事か、頑張らないと』 午後4時3分、球審の右手が高々と上がり、プレイボールが宣告された。 最初にマウンドに登ったのは、今日が初先発の水無月。 7球のウォーミングアップを終え、先頭打者の三郎太を迎える。 三郎太・孝一(さぶろうた・こういち)珍しい名字の持ち主だが、バランスの取れた選手だが、打撃よりは守備の得意な選手だ。 水無月の足が上がり、第1球が投げられた。 136`のストレートが外角低めに決まり、ストライク。 三郎太はこの後3球目を打ち上げレフトフライに倒れた。 続く北沢、大川を難なく打ち取り、まずまずの立ち上がり。 1回の裏、今度はオーシャンズの攻撃。 マウンドにいるのはアタッカーズのベテラン、城公康(じょう・きみやす)。 今季12年目のベテラン右腕だ。 持ち球はまっすぐとカーブというすごくシンプルな投手だが、それだけで119勝をあげているのはすごい事かもしれない。 こちらも先頭の槙田を四球で歩かせたものの、続く平田、鈴木、田中を三振に抑え、まずまずの立ち上がり。 先にピンチを迎えたのは水無月である。 4回、ノーアウト2・3塁で、迎えるバッターはチャンスにすごく強いと噂されている大川。 しかし、大川を見逃しの三振、平光をサードライナーダブルプレーに斬って獲り、ピンチを凌いだ。 対する城は非常に落ち着いており、ピンチを迎えるも、きっちり抑える絶妙なピッチング。 この回の先頭打者は6番の北村。 『今までの打席で大体投球パターンは分かった、この打席こそ打つぞ!』 北村は意気込んでいた。 その初球、目線ほどの高さから落ちてくる落差の激しいカーブ、北村はそれにバットをちょこんとあわせ、センター前へはじき返す。 続く立川の時に、矢嶋からサインが出た。 立川は待ってました!といわんばかりにうなずいた。 しかし打席に入る時には冷静さを取り戻す。 ふぅ、と一息つき、バントの体制から1球目を待つ。 当然のようにアタッカーズの野手はサードが前に出てくる。 その初球、149`のストレート、サードがダッシュで突っ込んでくる。立川は、ボールが指から離れた瞬間にバットをすばやく引いた。 ファーストランナーの北村もスタートを切っている。 ボールはややウエスト気味に高めに投げられたが、立川はそれに逆らわずに右中間へはじき返す。 ボールは右中間を転々とする。 がら空きのサードベースめがけ、北村が猛スピードで突っ込んでくる。 当然セーフ、打った立川も2塁に到達、バスターエンドランを仕掛けたのである。 そして矢嶋がベンチを立った。 ”オーシャンズのバッター、城ヶ崎に変わりまして、三井、バッターは三井、背番号40” 三井がゆっくり打席に向かう。 それも、いつもの右打席ではなく、左打席に。 実は三井、オーシャンズ入団後に打撃コーチの梶岡からスイッチ転向を聞かされていて、すでに取り組んでいた。 そして、今日始めて左打席を試すのである。 まだぎこちなさが残っているが、右打席と同じフォーム。 それにあわせて今度は辛嶋が動いた。 ”アタッカーズのピッチャー、城に変わりまして、古本、ピッチャーは古本、背番号5” 古本・心(ふるもと・しん)、5年前に尼崎フィッシャーズからトレードで入団したワンポイントのサウスポー。昨年は自身初の無安打無得点試合を達成。 持ち球は真っ直ぐ、チェンジアップ、スライダー、シンカー。 しかし三井はそのまま動かない。 その初球、古本はインコースへ145`のストレートを投げる、しかし、三井は全く動じない。 2球目、3球目も見逃し、カウント2ストライク1ボール。 4球目、古本は外に逃げるスライダーを投げる、そのとき、三井のバットが動いた。 球に逆らわずにそのままレフト方向にはじき返す。打球はグングン伸びている。そして、レフトポールを直撃、三井の代打3ランホームランである。 ついに均衡が崩れた。 オーシャンズは水無月が8回にランナー2・3塁の場面で大川にタイムリーを打たれるものの、なかなかの好投を見せ、8回1アウトで降板。 水無月→酒井→続木とつないでゲームセット。 3−1でオーシャンズが3連戦の頭をかった。 その他の地域の試合結果は、 フィッシャーズ対ドリームス戦はドリームスが小橋の代打逆転サヨナラグランドスラムで5−4で勝利。 シマントス対イーグルス戦はこの試合がデビュー戦の金が初打席初アーチを放ち1点を先制するものの、その後が続かず、結局この1点のみ。 対するイーグルスは松井2世の呼び名が高い猪口が4安打3アーチの大暴れ。7−1でイーグルスが勝っている。 続きはまた磁界。
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2003年03月30日 (日) 08時56分 |
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