| (233) 万年最下位チームの逆襲記〜第15話〜 |
投稿者:名鑑引受人(元兵藤洋平)
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1勝1敗で何とか次の試合を獲らねば、と思っていたオーシャンズ。 しかし3戦目はくしくも雨で流れてしまった。 矢:『たまには選手にも休養を取らせるか』 矢嶋が降りしきる雨を見つめながらつぶやいた。 この間にも、首位を走るイーグルスはフィッシャーズ相手に2勝1敗と勝ち越しを決めている。4位のシマントスは惜しくもアタッカーズ相手に3タテを食らってしまっている。 移動用のバスにナインが乗り込み、空港に到着、この移動日のあとには、地元オーシャンスタジアムでアタッカーズとの3連戦が待っている。 しかし、偶然というのは実にうまくできているものだ。オーシャンズナインが乗り込んだ飛行機には、なんと焼津アタッカーズのナインも乗っていたのである。 矢:『やあやあ、辛嶋さん、偶然ですなあ』 辛:『おっ、誰かと思えば、やっさんじゃないか』 矢嶋が声をかけたのは、焼津アタッカーズの監督、辛嶋である。 矢:『やっさんっていうなよ、他のやつらがビビるから』 辛:『いいじゃないか、別に』 辛:『まあ、こういう前置きはさておき、やっさん、あんた、ニュース見たかい?』 矢:『ああ、あの木樽が引退するらしいな』 辛:『もう2,3年はやれると思ったんだけどなあ』 矢:『まあ、仕方ないだろうな、本人も、ここ何年かはケガとの戦いだったから』 辛:『でも、あいつが引退という事は、俺達にとってはこの上ないチャンスでもある、よな?』 矢:『まあ、そうだろうな、今まで、あいつには散々いためられたからなあ・・・』 辛:『単独2位の座はもらいに行くよ、やっさん』 矢:『なんの、こっちこそ、お前さんのチームを3位に引きずり落としてやるよ』 矢・辛:『ハハハッ・・・・』 辛:『フウ、なんか久々に話すと、喉が乾くなあ、なあやっさん、どうせまたバスで移動だろ?その前にここで軽くいっぱいやっとかないかい?』 矢:『おっ、いいねえ、じゃあ早速、すいません、ワイン1本』 監督同士のちょっとした対談が、一気に酒飲み場へ変わる。 矢・辛:『おい、そういう書き方は無いんじゃないの?作者さん』 [えっ?あっ、これは失礼しました、でも、こうしか書きようが無いので] 平:『おい水無月、監督さん、いっぱいやり合っているな』 水:『そう・・・ですね、ってまさか、平田さん・・・』 平:『おうよ、こん時に呑んでおかなくてなんになるんだい』 水:『い、いや、別にここで飲まなくても、地元に帰れば何杯でものめるじゃないですか(汗)』 平:『いいじゃねえかよ、ほら、向井さん見てみろ、平然と飲んでるじゃねえか』 水:『聞いてみますか?向井さんが今何飲んでいるか』 平:『ああいいよ、向井さんが酒飲んでいたら、お前も俺と一緒に飲めよ』 水:『わかりましたよ』 平:『よしっ、じゃあ聞いて来い』 水無月が席を立った。 水:『すいません、向井さん、今何飲んでます?』 向:『俺か?俺はな・・・ちょっと耳貸せ、どうせ、平田から何飲んでるか聴いて来いって言われたんだろ?』 水:『仰せの通りです』 向:『○×△□∀勍・・』 水:『ああ〜ッ!それ僕も好きなんですよ』 向:『バカッ!平田に聞こえるだろうが!』 水:『大丈夫ですよ、平田さん、ヘッドホンかけてラジオ番組聞いてますから』 向:『そう見せかけてるだけなんだよ、ほら、あいつの”目”見てみろ』 水:『あ゛っ、明らかにこっち見てますね』 向:『だろ?どうせお前を酒の友にしようとしているんだろ』 水:『でも、僕もそれ本当に好きなんですよ、どこ行けば手に入れられますか?』 向:『じゃあな、向こう着いたら、俺の部屋に来い、そん時に教えてやるから』 すい:『わかりました、じゃあ平田さんにはそう言っておきますね』 向:『オウ、言ってみれ、言ってみれ、あいつがどんな顔するか楽しみだ(笑)』 水無月が席に戻ってきた。 平:『お帰り〜、妙に長かったな、で、何飲んでるかわかったか?』 水:『ええ、バッチリ、今教えますから、耳貸してください』 平:『おっ、わかった、で、何飲んでいたんだ?』 水:『○×△▽/*−+・・・』 平:『マジ!?マジか!?それ!?』 水:『確認してくればいいじゃないですか』 平:『うん、ちょっと向井さんとこ行って来るわ』 水:『行ってらっしゃ〜い(笑)』 平田が向井の所に行く。 平:『向井さん、今飲んでるそれって、本当にあれですか?』 向:『んっ、ブフッ、バッカだな〜お前、それ、水無月に聞いたのか?』 平:『えっ、ええ・・・』 向:『本当だよ、これはただの”ジュース”だよ、俺が飛行機の中までアルコール飲料を持ってくると思うか?』 平:『くそ〜ッ!やられた!あいつが何で”ああ〜ッ!”って言ってたのか、これだったのか・・・』 向:『何であいつがああーッ!って言ってたの知っているんだ?お前、ヘッドホンかけてたんだろ、耳に』 平:『えっ、あっ、しまった!』 向;『大人がまだ18のガキをコケにするなって、普通、機内には誰もビールとかは持ち込まんだろう、なあ、千葉よ』 千:『ですね』 平:『反省してます』 向:『さあ、自分の席に戻った、戻った』 平:『はい・・・』 平田を除く選手一同からどっと笑い声が漏れた。 辛:『愉快ですなあ、そちらのチームは』 矢:『いつもあんなんだよ』 こういった雑談を交わしつつ、両チームの選手を乗せた飛行機は今千歳と東京のちょうど真ん中辺りの上空にきている。 両チームの戦いのひぶたは、なぜかここからもう切って落とされていた。 続きはまた来週。
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2003年03月08日 (土) 15時40分 |
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