| [22] E腹部内臓に分布する動脈 |
- sizu - 2005年01月28日 (金) 23時58分
腹部の動脈の主なものとして、腹大動脈がある。腹大動脈は、下行大動脈の腹腔内にある部で、腹大動脈のつづきとして、横隔膜の大動脈裂孔に始まり、脊髄前面を走り、第4腰椎に至り左右の総腸骨動脈を分枝したのち、細い正中仙骨動脈となる。腹大動脈の枝を、臓側枝と壁側枝に区別する。 1.臓側枝 a腹腔動脈 b上腸間膜動脈 c下腸間膜動脈 d中副腎動脈 e腎動脈 f精巣動脈(♂)、卵巣動脈(♀) a副腔動脈 腹大動脈において膵臓の上縁、すなわち第12胸椎(または第1腰椎上縁)の高さで起こり、長さ1〜2cmでただちに左胃動脈、総肝動脈および臍動脈の3枝に分かれる。さらに臍動脈は胃大網動脈、短胃動脈に、総肝動脈は胃十二指腸動脈、固有肝動脈に分岐する。 b上腸間膜動脈 腹腔動脈よりやや下方ら起こり、膵臓の後ろから十二指腸(水平部)の前に現れ、腸間膜の中を右腸骨窩に向かう。上腸間膜動脈の末端は、小腸下端および肓腸に分布する。そして、中結腸動脈、右結腸動脈、下膵十二指腸動脈、回結腸動脈、空腸動脈、回腸動脈などの枝を出す。 c下腸間膜動脈 上腸間膜動脈に比べて細く、その分布範囲も狭い。十二指腸空腸曲の下方(第3腰椎)の高さで起こり、左下方に走り結腸間膜(結腸を腹腔後壁に連結する間膜)に入る。そして、左結腸動脈、S状結腸動脈、上直腸動脈の3枝に分かれる。 d中副腎動脈 上間膜動脈と腎動脈との高さで腹大動脈の両側から起こり、外側方へ直角に走り副腎に至る。副腎中で、下横隔動脈からくる上副腎動脈および腎動脈からくる下腹腎動脈と吻合する。 e腎動脈 上腸間膜動脈の下方1〜2cm(第2腰椎の高さ)で両側方へ直角に走り腎臓に至る。腎門の前で多数の枝(4〜7本)に分かれて腎実質中に入る。腎動脈は、腎静脈の後ろを走り、右腎動脈は下大静脈の後ろを横切って走る。腎動脈は腹大動脈の枝のうち、その数、分岐の高さなどに多くの変異がみられる。また腎臓に入る部位はいろいろで、腎門以外の腎表面から実質に進入することも珍しくない。腎動脈は、下副腎動脈と吻合する。 f精巣動脈および卵巣動脈 精巣動脈は、腎動脈の下方で起こり、大腰筋の前を下外側方に進み尿管に対して斜め に交叉する。さらに鼠径管を通って、精巣の後上方で多数の枝に分かれて精巣に分布する。 卵巣動脈は精巣動脈と同様に尿管と交叉し、骨盤上口で内側に曲がり、卵巣提案、さらに子宮広間膜の中を進み、卵巣に分布する。そのほか、小枝を卵管に送りながら、子宮動脈の枝と吻合する(卵巣動脈弓)。精巣動脈および卵巣動脈は、ともに尿管に数本の尿管枝を送る。
2.壁側枝 a下横隔動脈 b腰動脈 c正中仙骨動脈 a下横隔動脈 対性にあって、大動脈裂孔のすぐ下で起こり(しばしば腹腔動脈から起こる)、横隔膜の下面に分布する。途中で枝を副腎に送り、これを上副腎動脈という。 b腰動脈 通常4対あり、胸大動脈の肋間動脈に相当するもので、大動脈の後面から出て、横隔膜の腰椎部および大腰筋の後ろを通って腹壁の筋に至る。またその枝である脊髄枝を脊柱管中に、背枝を背部の筋および皮膚に送る。 c正中仙骨動脈 腹大動脈の左・右総腸骨動脈への分岐部においてその後上方から起こり、第5腰椎・仙骨および尾骨の前を走り、尾骨小体にも分布する。正中仙骨動脈の外側枝は、肋間動脈および腰動脈に相当し、その最上のものを最下腰動脈といい、第5腰椎の前を横走して、腸腰動脈と吻合し、他のものは外側仙骨動脈と吻合する。

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