| [10] A背部・上肢および下肢 |
- sizu - 2005年01月27日 (木) 22時22分
1.三角筋 鎖骨の外側部・肩峰・肩甲棘から起こり、筋束は前・外・後側から肩関節を包みながら外下方へ集中し、上腕骨体の外側面の三角筋粗面に着く三角形の強大な筋である。この筋があるために肩部は円形の隆起を呈する。 三角筋は上腕を外転する。その前部は上腕を前方に上げ内旋し、後部は後方に上げ外旋する。 腋窩神経(C5〜6)の支配。
2.棘上筋 僧帽筋の深部にあり、棘上窩から起こり、筋束は外方に向かって、肩峰と烏口肩峰靱帯の下方を経て、腱は肩関節包に癒着しながら上腕骨大結節の上部に着く。 この筋は上腕を外転する。 肩甲上神経(C4〜6)の支配。
3.大胸筋 胸部の最表層にある強大な筋である。鎖骨の内側半・胸骨・第1〜6の肋軟骨などから起こり、筋束が外側へ集中し、扁平な腱で上腕骨の大結節稜に着く。 上腕骨を内転し、内旋する。鎖骨部は上腕骨を前方に上げる(屈曲)。上肢を固定すれば体幹を引き上げ、胸郭を上げて吸息を助ける。 内側胸筋神経、外側胸筋神経(前胸神経 C5〜Th1)の支配。
4.烏口腕筋 上腕二頭筋の短頭とともに烏口突起から起こり、その内側に沿って下方に向い、上腕骨の内側前面の中部に着く。 上腕を前に上げ、かつ多少内転する。 筋皮神経(C6〜7)の支配。
5.肩甲下筋 扁平な広い筋で、肩甲下窩から起こり、筋束は三角形に強く集まり、外方に向かって、肩関節の前方を経て、上腕骨の小結節と小結節稜に着く。 上腕を内旋する。また多少内転する。 肩甲下筋・棘上筋・棘下筋と小円筋の腱は肩関節の前方・上方と後方で、関節包と癒着するから、これらの筋の収縮は肩関節の安定化に役立つ。 肩甲下神経(C5〜7)の支配。
6.広背筋 上部は僧帽筋によって被われる。下位6つの胸椎の棘突起・腰椎の棘突起・正中仙骨稜・および腸骨稜から起こり、筋束は外上方へ集中して扁平な腱で上腕骨の結節間溝底に着く。 上腕を内転し、さらに後内方に引く。また多少内旋する。上肢を固定したとき、体を上に引き上げる。 胸背神経(C6〜8)の支配。
7.大円筋 小円筋の下方で肩甲骨後面の下角部から起こり、前外方に向かって上腕骨前面の小結節稜に着く。 上腕を内転し、かつ内旋、伸展する。 肩甲下神経(C5〜7)の支配。
8.棘下筋 棘下窩にあり、筋の一部分は三角筋と僧帽筋に覆われ、棘下窩から起こり、上腕骨大結節の中間部に着く。 この筋は上腕を外旋する。 肩甲上神経(C4〜6)の支配。
9.小円筋 棘下筋に一部分に被われて肩甲骨後面の外側縁部の上半から起こり、上腕骨大結節の下部に着く。 この筋は上腕を外転する。 腋窩神経(C5〜6)の支配。
10.上腕二頭筋 長短二頭をもっている。長頭は肩甲骨の関節上結節から起こり、肩関節の関節腔を貫いて結節間溝を下降し、短頭は長頭の内側にあって烏口突起から起こり、両者相合して上腕の前面を下行して橈骨上端の橈骨粗面に着く。 前腕を曲げ、前腕が回内位で前腕を外旋させる。または上腕を屈する作用がある。 筋皮神経(C5〜6)の支配。
11.上腕三頭筋 上腕の後面にある強大な筋で、3頭からなっている。 長頭は肩甲骨の関節下結節から起こり、大円筋と小円筋の間を下行し、外側頭は上腕骨の橈骨神経溝の上方に接して線状に起こり、内側頭は上腕骨の橈骨神経溝の下方から起こり、3頭が合して長い幅の広い強い腱となって肘頭の上面に着く。 前腕すなわち肘関節を伸ばす。なお長頭は上腕を後傾および内転させる作用がある。 橈骨神経(C6〜Th1)の支配。

|
|