さくらの葬儀が行われた。
俄かに現実を受け入れられない比呂は、棺の中に約束の“優勝ウィニングボール”を忍ばせる。
ひかりは気丈にも涙を見せず、心配する英雄に「もう大丈夫」と宣言。
比呂は「ひかりと話すと先に泣いてしまいそう」と、ひかりを慰める余裕もなく、火葬場を後にする。
一緒に泣いてあげればいいのに…と思う春華だが、野田は比呂には時間が必要と感じていた。
新学期が始まり、千川野球部には入部希望者が殺到(甲子園優勝効果だ)。
否応無しに春・夏連覇の期待もかかるが、エース比呂は最後の夏を前に開店休業状態。
しかしナインは、比呂の復活を信じて準備していた。
夏女・ひかりは再び夏限定マネージャーとなり、英雄と共に甲子園を目指すために合宿生活。何かに追い立てられるように忙しく立ち働く姿は、見る者が見ると痛々しく…英雄は頑張りすぎるひかりを案じる。が「泣いている私の方がいいの?」とひかりは英雄にさえ弱みを見せないのだった。
千川野球部も合宿生活に入る事になり、比呂はさくらの仏前に報告に行く。
家中に染み込んださくらの気配と思い出に、いつしか比呂は涙ぐむ。
ひかりの父はそんな比呂に、さくらがどんなに比呂を大切に思い期待していたかをしみじみ語る。
比呂は、さくらの期待に応えるべく、新たな一歩を踏み出す事を誓うのだった(比呂復活!)。
数日後、エンジン全開の比呂の元に、母急病の報せが。
慌てて駆けつけたが、居合わせたひかりが全て面倒を見てくれた後だった。雨宮書店の手伝い中に過労で倒れたのだが、父によるとしっかり者のさくら急逝を重く受け止めた母は、今度は自分が頑張らねばと無理をしたらしい。
国見家にとって、さくらの存在感はそれ程大きいのだ。
比呂は、久しぶりに子供時代の思い出の空き地でひかりと会う。特別な言葉を交わすでもなく、殆ど無言でキャッチボールをするだけだったが、当時を思い出し、さくらとの思い出を懐かしみ、何故か癒されるひかり…そして比呂だった。
それを見かけた英雄の胸中は複雑(結局どう頑張っても、この二人に割って入る事は出来ないのだと思う)。
夏の予選が始まり、両校は順調に勝ち進み、明和一高は一足先に甲子園出場を決めた。
そして、千川の決勝戦。
比呂は、スタンド観戦するひかりの目の前で、見事に千川を優勝に導く。
ひかりは父に「来なければ良かった…だって悪いじゃない…」と涙ぐむ(全力で闘う比呂を見てしまえば、誰よりも応援したくなるのだろう。だからこそ、前回もう比呂の応援はしないと決意したのだろうし)。
「誰に悪いんだ?」と訊く父には、ひかりの本心がわかっているようだった。
---つづく---