[376] 教室 no7 |
- 結花 - 2006年12月26日 (火) 01時16分
目の前には
カズヤの顔。
唇には
ほんのり温かい
あたしはカズヤにキスされた。
しかも寝てる最中に。
「ごめん、アヤ」
あたしはまだ
事態を把握できてない。
どうして?
だって友達だったはず。
なのにキス?
私は自慢の脚力で
いつのまにか教室を飛び出していた。
――――教室 no7――――
走った。
走って走って
私はバス停まで全力疾走した。
ビックリしちゃった。 カズヤは友達としか思ってなかったから
キスされて
ちょっとショックだったのもあるし
なんだかんだ言ってビックリしたのもあるし。
そもそもなんであたしにキスしたのかがわからない。
仮にスキだからだとしよう。
まず
“なんであたし”?
鈍感で 大根足で オバカで 目立つグループにはいるけど
そこまで魅力があるとは思えない。
いつのまにかバスに乗っていた。
ふぅ。
とため息をついて
窓の外を見る。
あ。もうクリスマスか。
イルミネーションで気付いた。
みんなカレシとかと過ごしてんだろうな。
きっとマァも学校帰りに雄一と
どこかに行ってるんだろう。
置いてきてしまった
カズヤから着信。
どうしよう
出るべきか。
でも今はバスの中だから
出ない。
代わりにメールを送る。 避け続けたらさすがに良心が痛む。
「ゴメン;今バスなんだぁ↓↓だヵラ,電話できなぃょぉ><」
ウソじゃないもん。
バスに乗っているのは確かだし。
でもぶっちゃけ
今会話できる自信ない。
きっとキライにはならないけど
何言っても訳わかんなくなりそう。
でもでも
カズヤの気持ちを知りたいのは事実。
カズヤからの返信。
「そっか。さっきはマジでごめん。弁解したいからバス降りたらメールして。俺電話するから。」
カズヤからのメールで(そんなにしてないけど)
絵文字とか記号がないのは珍しい。
相当自分でもショックなのかな。
っていうか
私の寝顔ってそんなに
・・・そそられる?
ハイすぃません。
でも弁解って何?
言い訳ってことだよね。 じゃぁあのキスはそのときに勢いでやってしまったってこと?
ほら。
今何を言ったって
誤解を招くし
確かなことなんて
伝えられないよ。
でも文面から確かさが伝わってくるから
電話しよう。
「ゎヵった;今バス降りたょ!!」
私は家までの道のりにカズヤと電話をした。
もうすぐ日が暮れる。
あ、お味噌汁の匂いだ。
「さっきはマジでゴメンな」 「・・・いいよ」 「いや、よくないよ。」 「だってナシには出来ないじゃん?」 「まぁそりゃそうだけど。」 「じゃぁ仕方ないよ」
あたしはなるべくカズヤに責任を負わせないように 無理して
明るく振舞った。
「でもねぇ、アレねぇ、ぶっちゃけファーストキス!」 「・・・いうわ、俺」 「え?」
電話の向こう側が静かになった。
え?
どうなっちゃった?
応答しませんよ。
もしもぉし
「俺さ」
あ、応答しました。
「めっちゃ照れ臭いけど」
カズヤの声はかすれてる。 ちょっとだけかすれてるの。
「アヤのことね、
スキなんだよ」
耳が頼りのこの声は
ちょっと震えてた。
きっと
カレは今
すぐにでも電話を切りたいだろうな。
スキをゆうって
すごく勇気がいる。
勇気を使い果たしたら
もう
全てを終わらしたくなる。
つまり開きなおるんだ。
私は口を開いた。
「・・・・・え、あたしを?」
フハハ、とカズヤの笑い声がかすかに聞こえる。
「そうだよ、アヤだよ」
カズヤが好きな人=あたし
この事実をなかなか受け入れられない。
だってカズヤはハンパなくもてるんだもん。
でもイヤではない。
あたしは
「もうちょっと考えさして」
とだけ言って
家に入った。
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