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HP管理員 2008年11月11日 (火) 21時39分 No.954
≪マンション管理新時代≫
(1)これまで専有部分だった付属設備を共用部分とすることは、本当に可能なのでしょうか。個人の財産権の侵害になるのではないでしょうか。
本件については諸説があり、私は先に記載をした区分所有法30条(規約事項)により、「専有部分であった付属設備」を「共用部分」へ「区分」変更することは、規約に定めれば可能であると考えています。具体的には「共用部分の範囲の変更」の規約の変更となります。
この場合、「区分」変更に反対する区分所有者の財産権はどうなるのでしょうか。同法31条(規約の設定、変更および廃止)は、規約の設定、変更または廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、その承諾を得なければならないと規定しています。「区分」変更に反対する区分所有者が承諾しない旨の意思表示をすれば、管理規約の変更は無効となるので、個人の財産権は守られるといえます。
一方、別説もあります。所有権の移転は「管理」ではなく「処分」に関する事項なので、対象部分の区分所有者の所有権移転については総会による全員の同意を必要とするという説です。この説に従えば、一人でも反対する区分所有者がいれば、区分変更はできません。
このように両説があるので、あとに問題を残さないことを考えるなら、所有権移転について全員の同意を総会でとったうえで、共用部分となった部分を、管理組合の管理対象として管理規約の中の別表に定める規約改正を「特別決議」で行うほうがよいでしょう。
(2)付属設備の管理(点検や補修)を共用部分と同様に管理組合が行うようにできると法律は決めていても、各戸に立ち入ることができなければ実際に管理できません。強制的に各戸に立ち入ることはできるのでしょうか。
ご質問者が住まれているマンションの管理規約が、マンション標準管理規約に準拠していれば、「区分所有者の責務」、「敷地及び共用部分等の管理」、「必要個所への立入り」についての事項が定められているものと思います。
特に「必要個所への立入り」の条項では、「管理を行う者は立ち入りの請求ができる」、「請求された者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない」、「正当な理由なく立入りを拒否した者は、その結果生じた損害を賠償しなければならない」と記載されているはずです。
ただし、これだけでは、「拒否」は「その結果生じた損害を賠償しなければならない」につながるだけなので、これを根拠に強制的に立ち入れることはできません。管理組合(理事長)は、「区分所有者の権利義務等」を規定している区分所有法6条の条項「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理または使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」に基づき、義務違反者に対する措置として、総会における所要の手続きを経て訴えの提起を決議したうえで、裁判所から裁定を得ることが必要です。
(3)提案者は、法30条1項による付属設備の区分の変更は「普通決議」で可能といっていますが、これは規約の変更を伴うので「4分の3以上の議決」が必要ではないでしょうか。
「区分」変更することは、(1)に記載のとおり、管理規約の「共用部分の範囲」条文の変更となることから、区分所有法31条(規約の設定、変更および廃止)に基づき、特別決議「4の3以上の議決」が必要となります。
(4)付属設備を管理組合で管理するようにできた場合、メリットとデメリットにはどのようなものがあるでしょうか。
管理組合があえて「区分」変更して管理をするには、その目的と理由(背景)が必要です。メリットとしては共同の利益を増進できることが挙げられます。デメリットを強いて挙げるとすれば、管理の責任が管理組合に移ることでしょう。
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/mansion/column/20081030/527555/?P=2