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なかなか修繕委員会の業務が進まない。よい方法はないか? HP管理員 2008年10月28日 (火) 06時27分 No.934

icon ≪マンション管理新時代≫

Q:修繕委員会から区分所有者へアクションを起こす場合には、アンケート配布の実施とその内容までいちいち理事会の承認を得ているため、なかなか修繕委員会の業務が進みません。
何かよい方法はないでしょうか。

A:ご質問からは、修繕委員会の委員として活躍されながらもご苦労されている様子が推察されます。少しでもお役に立てるようにお答えしたいと思います。
どのようにしたら、理事会とうまく連携を取りながら、委員の方々が気持ちよく効率よくスピーディーに委員会の仕事を運営していけるかを、ご一緒に考えましょう。

まず、専門委員会の基本について確認しておきます。

(1)専門委員会はどのようなときに設置されるのか
ご存知のように、本修繕委員会などの専門委員会は、理事会における検討だけでは限界がある場合や、事案について比較的長期に亘り検討しなければならないときに設置するものです。
募集によってこれら分野の知識・経験を有するまたは関心が強い組合員の参加を求め、理事会とのパイプ役を果たす理事、さらには必要に応じて検討事項に関する専門的知識を有する外部者などで構成します。

(2)専門委員会はどのようにして設置できるのか
マンション標準管理規約55条(専門委員会の設置)では、理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査または検討させることができると規定しています。
さらに、「同55条関連コメント」には、専門委員会の検討事項が理事会の責任と権限を超える事項である場合、理事会活動に認められている経費以上の費用が専門委員会で必要となる場合、運営細則の制定が必要な場合などは、総会の決議が必要であると明記しています。

(3)理事会とどのような関係にあるのか
同55条2項では、専門委員会は調査または検討した結果を理事会に具申すると規定しています。すなわち、専門委員会は理事会の諮問機関に当たります。

(4)専門委員会の運営に当たっての原則は何か
専門委員会は理事会の諮問機関であり、委員会として独自にものごとを決めることはできません。検討事項方針の決定からはじまって方策の決定まで、理事会の承認の下で運営されます。
この点は、専門委員会の初期段階で、委員がしっかり理解し、認識しておく必要があります。

以上の4点を再確認したうえで、回答の本題である「どのようにしたら、理事会とうまく連携をとりながら、委員の方々が気持ちよく効率よくスピーディーに委員会を運営していけるか」についてお答えします。
対策は三つに分かれると私は思います。その切り口ごとにアドバイスします。

http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/mansion/column/20081017/527222/
HP管理員 2008年10月28日 (火) 06時28分 No.935

icon ≪マンション管理新時代≫

(ア)理事会とうまく連携をとるにはどうするか
修繕担当の理事が修繕委員会に加わる理由はここにあります。理事会の方針と修繕委員会の動きが違わないように橋渡しをするのがその任務です。
専門委員会の委員長に理事が就任するとは限りません。理事会の場には専門委員会の委員長が出席し、委員会の進捗状況や理事会で決定する事項について具申し、理事会の審議と採決を得ることで委員会の活動が前進します。

(イ)気持ちよく委員会運営に携わるにはどうやるか
ご質問にある「アンケート配布の実施とその内容までいちいち理事会の承認を得ているため……」のなかには、修繕委員会委員であるご質問者の現在の心境が率直に現れていると思います。
もう一度、上記の専門委員会の基本のうち(3)項と(4)項を振り返ってみてください。

区分所有者の共同の利益に供する大規模修繕工事を行うには、修繕委員会で検討した案が理事会に具申され、その承認を受けて総会に上程され、総会で賛成多数の決議を得て初めて実行に移される必要があります。管理組合の民主的運営のプロセスを踏むことが必要なのです。
これは単なる手続きではなく、検討のプロセスでさまざまな区分所有者の意見や考えを反映させることで、よりよい案が出来上がることを意味しています。

したがって修繕委員会の委員のみなさんは、専門委員会の位置付けを再確認し、委員会が一生懸命に検討したアンケート調査の実施目的、調査内容、実施要領などを的確に要旨としてまとめることに全力を注ぐべきなのです。そのうえで要旨を理事会に具申すれば、審議で通ったときに“やったぁ〜“と満足でき、自ずと気持ちよくなれるのではないでしょうか。

“自分たちが十分に検討したのだからこれがベストだ”とか、“なぜ、いちいち理事会の承認を得なければいけないんだ”とか、“だから時間がひたすら浪費される”と決めつけず、「いちいちは、よりよいものを生み出すために合意形成で必要なプロセスなんだ」と、気持ちをリセットされることをお勧めします。
問題は、これらの作業のために不必要でムダな時間をかけないようにすることです。
その点を次に考えてみましょう。

(ウ)効率よくスピーディーにやるにはどうするか
専門委員会の業務が停滞しないようにするにはどうすればよいでしょうか。

a) 原理原則は、業務推進のための全体計画を作成し、その計画どおりに遂行することです。
全体計画の中には作業項目、日程、役割分担を明記した工程表を組み込み、理事会と同一歩調で委員会の運営に当たります。

b) 全体計画には合意形成のスケジュールについてもキチンと織り込んでおきましょう。
どのタイミングでどのような内容の説明会を区分所有者に対して開催するか、理事会の審議・採決はいつか、臨時総会を開催して採決するのはいつか、工程表に書き込みます。

c) 情報収集から分析、検討、素案づくり、意見交換(アンケート調査含む)、案の修正、意思決定に至るプロセスを「委員会内の業務」、「理事会と連携して進める業務」、「理事会での審議」――の3領域に分割し、それぞれの効率と生産性を高める工夫をしてみましょう。

例えば、「委員会内の業務」では、委員会の開催期日をあらかじめ第何週の何曜日の何時とするか決めておき、委員がスケジュールを調整して必ず出席できるようにしましょう。委員同士の報告・連絡・相談(ホウレンソウ)をキチンと行うことも重要です。
委員会を開催する前に当日検討する資料・素案を配布しておき、各自検討したうえで出席してもらうようにすると会議の進行は早くなります。順番に書記を決め、決めたこと、宿題は何か、それを誰がいつまでにやるかを会議の最後に確認し、議事録として残すようにしましょう。この繰り返しを行うことで、業務の効率は確実に上がります。
もし、委員では荷が重いのであれば、管理会社に資料・素案の事前配布や議事録の作成について協力を求めたり、委員会の中にマンション管理士などの専門家を加えてそうした業務を依頼したりするのも方策かと思います。

「理事会と連携して進める業務」も同様です。理事会で審議・採決してもらうよう具申する事項については、あらかじめ理事に資料を配布し、理事会当日には各自検討してもらったうえで審議に入るようにしましょう。
具申の段階では提案を一つに絞らず、複数の案を提示することもポイントです。それぞれの案のメリット、デメリットについて委員会で評価した比較表などを付けて公平性をアピールし、理事会の審議をサポートしましょう。こうすれば、1回ないしは少ない回数の理事会審議で結論を導き出せるようになります。

以上のような取り組みを行い、工事を実施した後に区分所有者のみなさんから“やってよかった。ありがとう”という言葉がもらえることを信じて、頑張ってください。

http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/mansion/column/20081017/527222/?P=2





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