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HP管理員 2010年04月23日 (金) 20時08分 No.1373
≪PJニュース≫
耐震強度偽装マンションの購入者が分譲主の住友不動産を提訴した裁判で、札幌地裁は4月22日、住友不動産にマンション購入代金の全額計約3億7000万円の支払いを命じた。この判決は不動産購入トラブルの解決に消費者契約法が有効であることを改めて示した。
問題のマンションは札幌市中央区にあり、地下1階、地上15階建てである。原告らは2003〜04年に売買契約を締結したが、2006年に浅沼良一・元二級建築士による耐震偽装が発覚し、札幌市の調査で耐震強度が基準の86%とされた。購入者11世帯14人は2006年12月に購入代金(616万円〜4740万円)の返還などを求めて札幌地裁に提訴した。
これに対し、原告側は「販売前のパンフレットに『新耐震基準に基づく安心設計』などと記載され、法令基準よりも余裕を持たせた耐震性能があると販売担当者から説明を受けた。消費者契約法違反(不実の告知)に当たり、契約は取り消せる」と主張した。
住友不動産側は「瑕疵は軽微で、補修が可能」と反論した。しかし、判決は「補修が小規模で足りるとしても、マンションの欠陥が重大でないとは言い難い」「強度不足が分かっていれば、購入しようと思わなかった」とし、原告らの請求を認容した。住友不動産側は控訴する方針という。
住友不動産側の主張は消費者感情を逆撫でするものであった。住友不動産はプレスリリースで、「買い取りよりもむしろ、全額当社負担で補強工事を行わせていただく方が、日常生活に支障を来たさずベターであると判断した」と主張した(住友不動産株式会社「札幌市中央区のマンション区分所有者との訴訟について」2007年2月15日)。
何が購入者にとってベターであるかは購入者自身が判断することで、不動産業者が意見する問題ではない。「折角、マンションを購入したのだから、補修で済むならば住み続けたい」というのも一つの考えである。極論すれば欠陥物件に泣き寝入りすることさえ、当人の自由である。しかし、不動産業者が一方的に「補修の方がベターである」と決め付ける資格はない。問題が露見すれば補修で取り繕い、バレなれければそのままでは悪徳不動産業者のだまし得になってしまう。
そもそも原告らの主張は消費者契約法に基づく契約取り消しである。買い取りとは異なる。原告の主張も正確に理解していないことになる。
また、「当社は、居住者の皆様に一日も早く安心してお住まいいただけますよう、補強工事の早期実施を心から願っており、この訴訟提起が合意形成の支障となる事態を憂慮しております」との文言も問題である。提訴した住民と補強工事で満足する住民の間に対立を引き起こしかねないためである。このような業者の物件であるならば契約を取り消すことが正解となる。
http://www.pjnews.net/news/794/20100423_1