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地デジ完全移行まで2年 課題山積み HP管理員 2009年07月23日 (木) 15時37分 No.1175

icon ≪ITmedia≫

7月24日で地デジ完全移行まで残り2年に。受信機の普及率は6割を超えたものの、難視聴対策や集合住宅での対応遅れなど、完全移行に向けて課題は山積みしている。

 アナログテレビ放送を終了し、地上デジタル放送に完全移行するまで、24日で残り2年となる。地デジ放送用の受信機の普及率も3月末にはようやく60%を突破。直近ではエコポイント制度などの施策も追い風となり、主管官庁の総務省は「予定通りにアナログ放送を終了できる」(首脳)などと手応えをつかんでいる。しかし、大都市圏では高層ビルなどが電波を遮り、視聴が困難な世帯も多い。さらには共同アンテナで受信する集合住宅の対策遅れも浮上しており、完全移行に向け課題は山積している。

エコポイント寄与

 電子情報技術産業協会(JEITA)の調査によると、地デジに対応する薄型テレビの出荷台数は5月に前年同月比25%増、6月は同22%増と、ここにきて好調に推移している。消費が冷え込むなかで、地デジ対応薄型テレビの購入に最大3万6000円分のポイント(1ポイント=1円換算)を付与するエコポイント制度が5月にスタートしたことが大きく寄与したとみられる。

 総務省では、低所得者などNHK受信料免除世帯向けに、地デジ受信用無料チューナーの配布を9月に始める予定で、9月末時点での普及率72%の目標達成を目指す。

 ただ、依然として課題は多い。例えば、地デジ受信機を購入しても、デジタル放送を視聴できない世帯もある。電波が高層ビルに遮られたり、反射するなどする受信障害地域の世帯だ。現在、障害地域用の中継アンテナ施設は首都圏を中心に約5万カ所あり、約606万世帯にアナログ放送を送信している。

 電波がアナログからデジタルに切り替われば、障害地域の大部分は直接、受信可能になる見通しだが、地デジ用の新たな中継施設が依然として必要になる世帯も残る。受信障害の原因となるビルの所有者に引き続き、アンテナの付け替えを要請する必要があるが、地デジ対応工事を済ませたビルは3月末時点でわずか11.4%に過ぎない。

一部アンテナ交換

 さらに、全国に約200万棟あるといわれる集合住宅に設置されたアンテナの改修工事も遅れている。地デジ移行とともに送信電波がVHFからUHFに変更される関東地区ではアンテナの交換も必要だが、3月時点では、実に埼玉県では86%、東京都で78%の集合住宅が未対応だ。このままでは、視聴者が受信機を設置しても地デジを視聴できない事態も想定される。

 また、築年数が長いマンションなどでは、共同アンテナから各世帯に電波を送るケーブルの張り替えやテレビに接続する端子の交換が必要な場合もあり、1戸当たり5万円以上の費用負担が生じるとの試算もある。個人経営のマンションなどでは改修に腰の重いオーナーも多い。

 総務省では今後の普及促進に向けて「ビルやマンション管理者への周知徹底が重要になる」(デジタル放送受信者支援室)とみており、全国に設置した地デジ相談窓口「デジサポ」を拠点に、個別に改修を呼びかけるなど、地道な取り組みで対応する考えだ。

 国策として9年間で3000億円もの予算を投じた地デジ移行だけに失敗は許されないなか、完全移行までに残された2年は、決して長いとはいえない。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0907/23/news026.html





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