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理事に就任したが、居住者から苦情が来て困っている。任期途中での理事交代はできるか? HP管理員 2008年11月28日 (金) 11時39分 No.982

icon ≪マンション管理新時代≫

Q: この春から管理組合の理事をしています。任期は2年でいま半年ほどたちました。自分では一生懸命やっているつもりですが、居住者から私の理事としての仕事に苦情が来ており、それならば、その人たちに代わってもらおうと思っています。
任期途中での交代はできるのでしょうか。できるとすれば、どのような要件が必要でしょうか。

A: ご相談者にご提案します。理事の任期途中での交代をどのようにするかを考える前に、「自分では一生懸命やっているつもりなのに、なぜ、居住者から理事としての仕事に苦情が来るのか。そのギャップはどこから生じているのか」──それをご一緒に考えてみませんか。その結果を受け入れて退任されるならご自身も納得いくでしょうが、このまま理由も不明朗なまま退任されても、お気持ちは決して落ち着かれることはないと思います。

◆なぜ、理事会ではなく、理事であるご相談者個人の業務に対して苦情が来るのか?
当該マンションの管理規約をご覧いただくと、一般的には「理事は、理事会の構成員として、理事会の定めるところに従い、管理組合の業務を担当する」、また、「会計担当理事は、管理費等の収納、保管、運用、支出等の会計業務を行う」と規定されているはずです。
居住者とのコミュニケーション不足や合意形成の手順の強引さについて、居住者から管理組合(理事会)に対する不満を聞くことはありますが、理事個人の業務に対する「苦情」はあまり聞いたことありません。あり得る話としては、ご相談者が、理事としての担当業務、例えば、会計担当、修繕担当、駐車・駐輪担当、消防担当、ペット飼育担当、町内会担当などをされていて、その言動に対して居住者から苦情が出ているとも受けとめられます。あくまで仮説ですが、その辺りを掘り下げていきます。

◆自分では一生懸命やっているつもりなのに……
問題のカギはこの辺りにあるように思います。
通常総会で承認されて選ばれた理事は、その責任と権限において総会から付託された事項の審議、採決、実施に至る一連の業務を行います。一般的に理事会の採決は出席理事の過半数で決するわけですから、理事個人の裁量で決まるわけではありません。それなのに、なぜ、理事「個人」に苦情が来るのでしょうか。

ここから先は、ご相談者であるご自身との対話になります。

http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/mansion/column/20081118/528188/
HP管理員 2008年11月28日 (金) 11時40分 No.983

icon ≪マンション管理新時代≫

◆ひとりよがりになってはいないか? まず、ご自身に問いかけてみてください
それを見極める「ものさし」を紹介します。
(1)理事会の審議や承認(合意形成)を得ぬまま、ご自身の認識と判断で行動または発言していませんか。
(2)ご自身の意見、判断に間違いはないという意思が強すぎて、他の居住者の意見に対して聞く耳を閉ざしてはいませんか。行動が空回りしていませんか。
(3)自分はやってあげているんだという気持ちが先行して、ご自身が気付かぬところで高慢な言動に出てはいないでしょうか。
(4)自分では一生懸命やっているつもりでも、他の居住者の目からは、フットワーク(動き)がいまひとつ足りないと見られていませんか。

ご自身の胸に手を当てて冷静に考えてみてください。どこかに心当たりはないでしょうか。ギャップが存在する理由(背景)は必ずあるはずです。
この行為は何も他の居住者のためにやるのではありません。ご自身のこれからのためにやるのです。もし、ここで、何らかのヒントが得られたら、しめたものです。もう一度、原点に立ち返り、反省の気持ちをもって理事としての活動に戻りましょう。

◆望まれる役員像とは何か
マンションは、さまざまな価値観や考えを持っている居住者によって構成されている集合住宅です。ご自身の「正論」を論じても、必ずしもみんなが理解し、納得してくれるものではありません。結論に至るまでの時間のかけ方も人によって異なります。最後は民主主義による多数決で決めますが、それまでは、少数意見にも耳を傾け、話し合うことが極めて大切です。

当該管理組合の役員はどのような経緯で選出されているのか、またご相談者も募集によるものなのか、輪番制、抽選方式で選出されたのか、その背景はわかりませんが、いずれにしても、理事はまとめ役としての自覚とともに一歩引く謙虚さを備えなければなりません。
私自身、「なぜ、わかってくれないのか」とか、「何かにつけて管理組合の活動に対してクレームを付けることが目的の苦情発動者をどうしたらよいか」といったご相談をたびたび受けます。そのときは、「役員は、聞く耳とともに毅然とした態度をとることが肝要」とアドバイスしています。

ご自身への問いかけと反省を踏まえて「もう一度頑張ってみるか」とここで思い直されるのであれば、この段階で回答は終了します。それでも、やはり退任したいとなれば、以下にお進みください。

辞任を申し出る管理組合理事に対して就任継続を強制することはできませんし、区分所有法並びに管理規約を探しても任期途中での理事辞任に当たっての要件はありません。
しかしながら、「もう、やりたくないから理事を降りる」では、一度は理事就任を受けることを承認したご自身の発言、退任後の理事会にかかる迷惑の重みを重ね合わせて考えても、バランスが取れません。万人の理解を得ることは難しいでしょう。それどころか、“居住者の一部に嫌気がさして理事を辞めた”という評判は、そのマンションにご相談者が住み続ける限り、ずっと付いて回ることにもなりかねません。ご相談のような理由でいま、理事の辞任を申し出るのは得策ではないと思います。

ここはひとまず、ご相談者お一人で悩まずに、お仲間の理事や理事長に事情を話し、相談されたらいかがでしょうか。もしかすると、他の役員も同じ悩みをもっているかもしれません。
役員同士が向かい合って本音で話し合うことで「一点突破」を図る道が開かれ、ご相談者の悩みも解消し、役員間の団結がより一層高まることも期待できます。

最後になりますが、それでも辞任したいとなれば、理事会は辞任の申し出について審議と採決を行い、賛成多数で承認することになります。そこまで本人の辞意が固いのであれば、その後の理事会運営への影響も考えると、理事会としても認めざるを得ないでしょう。後任理事の措置については管理規約に記されていると思われる「役員の任期」の定めに基づいて対処することとなります。

http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/mansion/column/20081118/528188/?P=2





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