北海道マンション管理問題支援ネット
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HP管理員 2008年10月20日 (月) 14時39分 No.924
≪マンション管理新時代≫
2.公募しても必要な役員数が確保できないときはどうしたらよいか
(1)対応策の整備
公募と輪番制または抽選制を併用する
公募だけでは必要とする役員を確保することが難しい場合は、輪番制や抽選制を併用する手があります。
一般に行われている輪番制は、役員未経験者のなかから輪番で役員として立候補してもらう方法です。かつては居住年数の多い区分所有者から順番に立候補してもらうケースが見受けられましたが、築年数が経過したマンションでは高齢者に当たることになるので、最近は居住年数を要件から外すケースも見受けられます。
抽選制は、役員未経験者のなかから同じ条件の下で立候補者を選出する方法です。いつ役員候補に当たるかわからないので、事前の心の準備ができないという問題が残ります。
(2)役員候補拒否者への対応
輪番制または抽選制で役員候補になっても拒否する区分所有者への対応策を決める
上記の方法を採用するに当たって問題となるのは、
(ア)輪番制や抽選制で役員候補に当たった区分所有者が、「役員をやりたくない」という理由だけで立候補を拒否した場合、どう対応するか
(イ)区分所有者自身が病気や高齢または居住していなかったり賃貸していたりで、やむを得ず役員に就任することが難しい場合、他の区分所有者とどのように公平性を保つか
──という2点です。
(ア)のケースでは、理事長または理事が当該住戸を訪問し、「やりたくない」だけの拒否なのか、「何らかの事情」があっての就任辞退なのかを確認することが必要です。「何らかの事情」が明らかになれば(イ)として扱い、理事会で検討することになります。
「やりたくない」だけの拒否であっても、そこには何らかの理由(背景)があるはずなので、根気よく話を聞き、原因となるものを除く努力をしましょう。あくまでも話し合いでことを進めることが肝要です。強制的に役員に就任させてもよい結果は得られません。
一方で、安易に役員就任辞退を認めてしまうと、それが前例となって同じようなケースが多発するのは目に見えているので要注意です。
区分所有者は法律や管理規約のルールに従う責任と義務があること、誰もが公平に義務を果たす必要があることを十分に説明して理解してもらうことが肝心です。
(イ)のケースでは、「役員就任辞退」の理由を理事会で検討したうえで、役員就任を免除するかを判断する必要があります。
そのうえで、(ア)に該当する「役員断固拒否者へのペナルティー負担制度」と(イ)に該当する「役員就任免除に伴う管理組合運営賛助金の負担制度」を検討してはいかがでしょうか。
このうち後者の「役員就任免除に伴う管理組合運営賛助金の負担制度」は、理事会が「就任免除」を認めた場合に限って、賛助金を支払うことで辞退を認める制度です。区分所有者間の公平性を図るためにも、理事就任に代わる何らかの負担を公序良俗に反しない範囲でしてもらう必要があります。
私が把握しているマンションでは実際にこの運営賛助金制度を導入し、月額1000円を徴収しています。
運営賛助金の徴収はマンション標準管理規約には盛り込まれていません。新たな制度となるので、それぞれのマンションの管理規約を改正する必要があり、総会において特別決議によって採決することになります。
なお、制度を創設する場合には、「管理組合が認める理由がある場合はその限りではない」など、賛助金の徴収を免除する例外措置も設けたほうがよいでしょう。
ところで、賛助金負担制度を設ける段階で問題になるのが、(ア)に該当する「理由がないまま断固拒否」する人への対応です。
こうした人と理事会で「就任免除」を承認した人を同列に扱って同額の賛助金を徴収するだけでよいとすると、区分所有者間の公平性を著しく欠くだけでなく、「賛助金を払えば役員就任から逃れられる」という誤解を広めることにもつながります。
「役員就任」が原則であることを徹底するためには、こうした「断固拒否」の人を放置するわけにはいきません。そこで、管理費等の滞納者に対する遅延損害金の請求と同様に、賛助金とは別に何らかのペナルティーを課すなどの方策を練って、「役員断固拒否者へのペナルティー負担制度」を規約に盛り込む必要があるでしょう。
見た目では金額の多さで区別するように見えますが、基本はあくまでも「理由がないまま断固拒否」する人が発生しないように抑制することであるとご理解ください。
(3)役員資格の拡大
役員資格を拡大してなり手の範囲を広げる
管理規約を変更して役員資格の幅を広げるのも一つの方法です。
本来であれば区分所有者が最も共有財産の管理について責任と自覚が深いはずなので、マンション標準管理規約では、役員の資格者は「当マンションに現に居住する管理組合員」つまり区分所有者であると規定しています。一方、同35条(役員)の関係コメントには、「ほとんどの区分所有者が居住しないリゾートマンションや、賃貸されているワンルームマンションなど不在の区分所有者が多いマンションでは、別途考慮する必要がある」と書かれています。
役員の資格要件は任意規定なので、各管理組合の事情を考慮して変更することができます。
具体的には、理事の資格を拡大し、マンション標準管理規約46条(議決権)5項に規定されている「総会において議決権を行使する代理人を、その組合員と同居する者若しくはその組合員の住戸を借り受けた者等」を参考にして「同居する配偶者または一親等親族」とする方策が考えられます。また、外部居住の区分所有者の場合は「当マンションに現に居住する配偶者または一親等親族または賃借人」とすることも考えられるでしょう。
ただし、マンションの管理の主体はあくまでも区分所有者であることが基本ですから、役員資格の幅を拡大して選出される役員の数は過半数を超えないとか、理事長または会計担当の役職にはなれないなどの制限を設けることも必要かと思います。
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/mansion/column/20081009/526987/?P=2