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張り紙などで注意しているが、マナー違反が一向に改善されない。次の一手は? HP管理員 2008年09月27日 (土) 10時49分 No.892

icon ≪マンション管理新時代≫

Q:どのマンションでも起こっていることですが、マナー違反についての質問です。
居住者によるベランダからの食べ物の投下や、マンション内で自転車に乗っての危険走行などが頻発し、張り紙などで注意しても一向に改善されません。
次の一手について何かアドバイスがあれば教えてください。

A:区分所有法6条「区分所有者の権利義務等」はその1項で、「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理または使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」と規定し、同じく3項で、区分所有者以外の専有部分の占有者(同居人または賃借人等を含む)にも1項を準用すると規定しています。

要は、分譲マンションの居住者ないし区分所有者は、他の居住者と共同・連携して、共同住宅(建物・施設)を維持管理するとともに、ともに生活していくためのルールを作り、守っていかなければならないと、ここで言っているわけです。
マンションの居住者はみな、居住するに関する管理規約や細則を守らなければなりません。これらのルールを守らず、他の区分所有者の共同の利益に反する行為を繰り返す居住者がいる場合を想定して、区分所有法では、57条から60条にわたって、住戸の使用禁止や競売請求など、義務違反者に対する措置を規定しています。

ところで、本質問が挙げている具体的な事例(ベランダからの食べ物の投下、自転車の危険走行)を見ると、マンション固有の「ルール違反」ではなく、生活者として守るべき社会道徳的行為(マナー)に対する違反であると受けとめられます。

国土交通省が2003(平成15)年に実施した「マンション総合調査」でも、マンションにどのようなトラブルがあるか管理組合に3つまで選択してもらったところ、「居住者間のマナー」が51.1%で最も多くなっています。また、回答したマンションの築年数別に見ても、「居住者間のマナー」は築年数に関係なく最も多くなっています。

同調査がマンション固有の「ルール」と生活者としての「マナー」を峻別して回答を求めているのかはよくわかりません。また、回答マンションが問題としているマナー違反の内容はそれぞれ異なる可能性もあります。
それでも「マナー違反」がマンション全体に共通した重要な問題であることは確かでしょう。ご質問が「どのマンションでも起こっていること」と指摘されているのは、まさにそのとおりだと思います。

では、居住者の「マナー違反」に管理組合(理事会)はどのように対処したらよいでしょうか。

まず、管理組合(理事会)は、これらのマナー違反を特定の人物による軽い違反行為と位置付けてはなりません。マンション全体の問題であると認識し、早期に違反行為を排除することが必要です。
なぜでしょうか。

http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/mansion/column/20080916/526290/
HP管理員 2008年09月27日 (土) 10時50分 No.893

icon ≪マンション管理新時代≫

「マナー違反」をそのまま放置しておくと、周囲からは“荒れたマンション”とみなされ、その結果、
(ア)居住者が安心・安全に生活できる居住環境を阻害する行為
(イ)マンションの美観を阻害する行為
(ウ)マンションの防犯へ悪影響を及ぼす行為
(エ)マンションの資産価値を下げる行為
――など、マンション固有の「ルール違反」へと発展するからです。

管理組合(理事会)はそこまで視野に入れて、「マナー違反」の解決に向けた検討を進める必要があるのです。
具体的な対策の手順を、以下に記載します。

(1)マナー違反は一個人ではなくマンション全体の問題であり、改善を図らないと今後どのような問題に発展するか、広報媒体を通じて居住者に訴えて問題意識を共有化する。

(2)マンション全体のマナー違反の実態を把握する。たとえば、どのようなマナー違反が、いつ、どのように行われているか、管理員や居住者がメモを投函できるように管理員室前に投書箱を設置する。

(3)管理組合(理事会)が投書箱に投函されたマナー違反の訴えを集約、整理する。マナー違反の行為の分類や違反者の属性(子どもなのか大人なのかなど)を把握したうえで、注意を促す張り紙の掲示板への掲載、注意呼び掛け書の全戸配布を行う。

(4)理事が腕章などを付けてマンション内を巡回し、違反行為を見つけたら、教育的見地またはマナー遵守指導の観点から注意する。その際には温かい目を持つことが重要。「おい、コラッ」は禁物です。

(5)マナー違反の要因分析を行った結果、物理的予防策や再発防止策が具体的に見つかれば、理事会で審議して、費用をかけてでも実行に移す。

(6)以上の取り組みの経過を、広報媒体を通じて常に居住者に流していく。居住者は無関心でいられなくなり、周囲から自分の行為が見られていることを意識させられる。場合によっては自分がマナー違反を注意する側に回ることもあり得るという自覚を促し、マナー違反をしにくい環境が形成される効果も期待できる。

これらの一連の手順を踏むときに、理事会が留意すべき点もあります。マナー違反情報を居住者から集める場合は、違反した個人を特定する犯人探しにしてはなりません。居住者間の人間関係を壊すことに直結するからです。

もちろん理事会は違反人物を確認・特定すべきです。防犯カメラが設置されているマンションであれば、防犯カメラ運用細則を定め、マナー違反の居住者を特定することも可能です。しかし、その情報は理事会限りに留めるべきです。

上記の一連の手順を踏めば、“理事会はあなたを特定していますよ”というサインが違反者に伝わります。本人の自覚を促すために一定の猶予期間を見たうえ、それでも違反者が態度を改めないようであれば、故意で繰り返されている悪質なマナー違反であると認め、理事会の承認の下で理事長が戸別訪問し、当該者または保護者に直接注意勧告を行うようにしましょう。

悪質なマナー違反を「共同の利益に反する行為」であると見定め、区分所有法の57条から60条の規定を使って法的手段に訴えるのは、さらにその先の段階になります。ご質問者のマンションの状況がすでにその段階であると判断される場合には、弁護士に相談されたほうがよいと考えます。

http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/mansion/column/20080916/526290/?P=2





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