北海道マンション管理問題支援ネット
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いつもいろいろと貴重な情報のご提供ありがとうございます。私は東京都でマンションの管理組合理事長をつとめる者です。さて本日は、ご教示いただきたいことがあり投稿します。実は当マンションは昨年竣工したのですが、管理規約のほかに当然細則も存在するのですが、この細則に関してもsugana 2008年09月18日 (木) 16時39分 No.860
細則の決議について
細則についての基本的考え方
細則の議決は四分の三なのか、あるいは二分の一なのか、という質問は時々寄せられています。この問題については、次のように考えるべきと思います。
つまり、細則の法的地位をどうすべきなのか、その根拠を規約で明らかにすることが必要であると言うことです。
マンション財団法人マンション管理センターがホームページで公開しているQ&Aを参照していただけばよろしいと思いますが、その概要を掲載いたします。参考にしていただければ幸いです。
1 使用細則等の制定の法的根拠
通例「使用細則の制定および変更」は、規約で「総会の普通決議で決する」と定めています。標準規約もその点は同じです(標準規約第47条第1項および第2項、第48条第4号)。そこで標準規約を例にとり、以下説明することにします。
共用部分・敷地・付属施設の使用規制
建物の共用部分や区分所有者全員の共有の敷地や付属施設の使用方法の多くについては、元来、それらの「管理の含まれる事項」として、集会の普通決議で決することができるものであります(区分所有法第18条、第21条)。したがって、共用部分や共有の敷地や付属施設についての使用規制は、使用細則で幅広く定めることができます。
使用細則による規制の限界
使用細則の制定または変更は、前記のように規約で総会の議決事項としていますが(第48条第4号)、その議決要件については、規約の変更が特別決議(第47条第3項第1号)を要するのにたいして、使用細則については普通決議(第47条第2項)で足りるとしています。この関係で、使用細則で定められることができる対象物件の、使用方法に関する規制にも、自ずと限界があることに注意しなくてはなりません。
理由は、下記のとおり、専有部分の使用規制についての基本的な事項は規約で定める必要があるからです。
専有部分の使用規制
専有部分は本来それぞれの所有者が、その区分所有権に基づき自由に使用および収益すべきものでありますから(民法第206条参照)、専有部分については、「建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為」(区分所有法第6条第1項)を除き、元来、それぞれの所有者が自由に使用することができるのが原則であります。
したがって、専有部分(敷地が分有である場合は敷地も含む)の使用に関して規制する場合は、規約に定めをおくことが必要であり(下記3のA参照)、また規制できる事項も、区分所有者間相互において専有部分の管理又は使用を調整するために必要な事項に限られることになります(法第30条第1項)。
ただ規約で基本的な事項を定め、その範囲内での細則の決定を集会の普通決議に委ねることは、相当の範囲内において許されるものと解されています。
犬、猫等のペット飼育規制、ピアノ等の楽器の演奏時間の制限、専有部分の大規模な修繕・改修等の専有部分の使用に関する規制を規定する場合は、それらについての基本的事項を規約で定める必要があり特別決議事項となります。
2 規約で定めることができる事項
個別的規約事項
規約で何を定めることができるかについては、区分所有法は、個別的に規約で定めることができると規定されている事項があります。たとえば、規約共用部分の定め(法第4条第2項)、議決権の割合についての定め(法第38条)、議長についての定め(法第41条)等です。
一般的な規約事項
「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項」は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができると規定しているので(法第30条第1項)、個別的な規約事項のほか一般に、「建物等の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項」について規約で定めることができます。そして、「建物」は、一棟のマンションの全体を指しています。したがって、共用部分のみならず、専有部分も含まれます。
3 使用細則の規定対象
使用細則で一般的に規定の対象としている事項は、およそ次のとおりです。
専有部分の用途制限に関すること。(規約で定めた用途制限事項の確認または詳細規定となります。)
ペット飼育の用途制限に関すること。(規約で定めた用途制限事項の確認または詳細規定となります。)
ピアノなど楽器の演奏時間や夜間のステレオ・テレビ等の音量制限に関すること。(規約で定めた用途制限事項の確認または詳細規定となります。)
悪臭や煤煙・漏水等の防止に関すること。
危険物や重量物の搬入の禁止・制限に関すること。
専有部分の増改築の禁止に関すること。
専有部分のリフォーム(模様替えその他各種)工事の制限または実施方法に関すること。(例えば、カーペット直張りの床を木製床に張り替えること(=フローリング)を、張り替えることによって著しく騒音が発生することを理由に承認事項とすることは、本来、区分所有者の自由な使用に委ねるべき専有部分の使用制限に当たるので、規約で定めなければならない。そのように規約で定めた制限事項がある場合は、使用細則はその確認または詳細規定となります。)
塵芥の処理に関すること。
屋上、階段室、廊下、エレベーター、集会室など共用部分や附属施設の利用方法、あるいはバルコニー、専用庭、駐車場など専用使用部分の使用方法に関すること。
看板、広告物等の掲示の禁止・制限に関すること。
4 使用細則制定の意義
規約には、建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項が定められることになっております(区分所有法第30条第1項)。そして、標準規約でも、使用に関する基本的事項として「専有部分の用途」(第12条)、「敷地および共用部分等の用法」(第13条)等の規定が置かれています。
しかしながら、マンションの共同生活を円滑に行うためには、専有部分・共用部分を問わず、使用方法、使用時間、あるいは使用禁止等について、さらに具体的なルール(使用細則)がとりきめられています。
標準規約においても、このような考え方に従って、規約自体には基本的な事項のみを掲げることとし、詳細は使用細則に委ねることとしています(第18条)。
HP管理員 2008年09月18日 (木) 19時08分 No.861
北海道マンションネットファンさん、はじめまして。HP管理員です。
『当マンションのようなマンションも多いのでしょうか?』
「マンション標準管理規約」に準拠しているマンションは、平成15年の調査時で、
○改正後標準管理規約に概ね準拠(62.7%)
○改正前標準管理規約に概ね準拠(27.9%)
となっており、新旧の違いはありますが、約90%のマンションが準拠しています。
(ここでの改正前も改正後も、使用細則の改廃の扱いについては普通決議です。)
ですから、北海道マンションネットファンさんのマンションは、極少数派と考えられます。
参考 http://www.h-mansion-net.npo-jp.net/shishin/shishin-co4.html
『通常細則は迅速な変更が行えるようにすること及び規約との相違を出すために区分所有者の過半数で改変できるようにするのが、一般的ではないか?』
「標準管理規約」は、昭和57年に初めて策定され、昭和58年、平成9年、平成16年に改正されてきた経緯がありますので、昨年竣工のマンションにおいて、「標準管理規約」に準拠していないというのは、珍しいことと考えられます。何か特別な事情があるのでしょうか?
ただ、「標準管理規約」に準拠することは強制されてはいません。あくまでも、「各マンションの実態に応じて、管理規約を制定、変更する際の参考としなさい。」という位置付けです。ですから、運営細則の改変を特別決議(3/4以上の賛成)としていることが、即座に悪いという事ではありません。
運営細則の改変が、普通決議でも特別決議でも、総会の出席率が高ければ問題なく迅速に改変を行えます。多数の合意を得て管理組合を運営する(特別決議を成立させる為に普段から組合員の良好なコミュニティを形成する努力を行う)という考え方は良いことでもあります。
北海道マンションネットファンさんに質問です。
○管理規約の「総会の会議及び議事(標準では第47条)」と「議決事項(標準では第48条)」で、運営細則の改変について具体的にどのように規定しているのでしょうか?また、運営細則の中でその改廃についてどのように規定されていますか?
(運営細則の改変が特別決議となっているのか?再度確認です。)
○北海道マンションネットファンさんの管理規約が、標準とは違ったものになっている事について、分譲会社はどのように説明しているのでしょうか?
(マンションを購入された皆さんは、管理規約を納得してから購入している建前になっていますので、いきなり一般的ではないという理由のみで規約を改正するという訳にもいきません。規約の改正が必要か?否か?を考えるのに、もっと情報が欲しいところです)
東京都の北海道マンションネットファンさんは、ご存知でしょうが念のため、
東京都では、「マンション管理ガイドライン」を平成17年に発表し、
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/juutaku_seisaku/manshon_guidelines.htm
分譲事業者に販売セールス時に下記のような対応をしなさいとしています。
ガイドラインの7ページ目
「マンションの維持管理に関する一般的な事項及び当該マンションに係る事項を、分かりやすくまとめたリーフレットなどを作成し、モデルルーム(ギャラリー)等を訪問する購入検討者に対し周知すること。
〜〜〜〜〜〜
(2)当該マンションに係る事項 ウ 管理規約案等の概要」
ガイドラインの解説の18ページ目
「管理規約案等とは、管理規約案(原始規約)の概要(規約共用部分や駐車場など専用使用の設定などモデルルーム(ギャラリー)等では確認できない共用部分に関することや、マンション標準管理規約(国土交通省)と異なる事項とその概要を含む)、使用細則案(ペット、駐車場等)をいう。」
マンション標準管理規約(国土交通省)と異なる事項とその概要を購入検討者に対し周知することを、分譲事業者に求めています。
ですから、上記の説明を分譲会社に求めて、納得のいく説明をもらって下さい。
規約を改正する必要があるのか否かを考えるのは、この説明が納得する内容か否かで考えましょう。
北海道マンションネットファン 2008年09月23日 (火) 22時53分 No.877
管理人さまへ
大変詳細な背景事情及びわざわざ東京の事情までご説明いただき、ありがとうございました。大変役にたちました。
なお、ご質問の件ですが、当マンションの使用細則の改定条項では、管理規約上の規約の改定条項(つまり、組合員総数の4分の3以上および議決権総数の4分の3以上で決するとするもの)を準用するとなっているのです。
この点に関してマンションの購入時、販売会社からは全く説明はありませんでした。ある程度大手の会社ですので、その辺りの問題に関してはストリクトリーに行っているだろうと私だけではなくほとんどの購入者が思っていたと思います。
ですので、今モデル規約等と異なる内容は業者側に説明義務があるというご指摘をいただき、ある意味腰が抜けました。
なお付言すれば、そういう事情もあり使用細則の改定要件を厳格にしているから、ここを購入したという者はいないと思います。
HP管理員 2008年09月24日 (水) 10時37分 No.879
HP管理員です。
>なお、ご質問の件ですが、当マンションの使用細則の改定条項では、管理規約上の規約の改定条項(つまり、組合員総数の4分の3以上および議決権総数の4分の3以上で決するとするもの)を準用するとなっているのです。
最初の質問から読み取れませんでしたが、ということは、
管理規約が特殊という訳ではないのですね(標準管理規約とは違わない)。
使用細則だけが変わっている(標準管理規約では、使用細則を1/2改変を想定して、18条関係コメントを設けている)という事ですね。
標準管理規約18条
http://www.h-mansion-net.npo-jp.net/kiyakusaisoku/kiyaku01.html#18
標準管理規約18条コメント
http://www.h-mansion-net.npo-jp.net/kiyakusaisoku/komento01.html#12
使用細則の中に、本来は管理規約で定めたほうがよい事項が含まれていませんか?
(専有部分の使用に関する基本的な事項、ペット飼育の是非等)
使用細則の改変が3/4となっているのは、その辺りの理由もありそうです。
使用細則の改変を1/2に変更しようと考えるのならば、本来は3/4改変にしたほうがよい事項を管理規約に定める必要もありそうです。
北海道マンションネットファン 2008年09月24日 (水) 11時03分 No.880
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管理人さま
ご助言ありがとうございます。
その内容に従い、今後見直しを進めてみます。