北海道マンション管理問題支援ネット
マンション管理に関する相談、質問、情報交換に利用して下さい。
営業、誹謗中傷及び管理者が不適切と判断した投稿は、予告無く削除させていただく場合があります。
HP管理員 2008年09月02日 (火) 09時30分 No.833
![]()
理事会(理事長)が直接保管したほうがよい書類・資料には、
(1)管理組合資料として区分所有法で保管義務が定められている「管理規約」、「総会議事録」、「書面決議の書面」、マンション標準管理規約で保管を定めている「理事会議事録」や「各種帳票類」
(2)管理組合が保管すべき「各種契約書」、「相見積書」
(3)原則、管理会社に保管を委託する書類・資料の中で、特に管理組合活動をスピーディーかつ効率的に運営していくためにすぐに取り出して活用できるようにしておきたいもの
――以上の3点があると考えます。
なお、現実に管理組合が保管するとなると、保管場所が十分に確保されていないケースも想定できます。そうした場合は、集会室内またはマンション敷地内の空きスペースへのカギ付きロッカーの設置、さらには外部のトランクルームや貸金庫の利用なども検討してみましょう。
マンション内に書類の保管場所がない場合などは、協議のうえ管理会社に保管場所の提供を依頼することもあります。その場合は預かり書類一覧表を作成させて、受領書を受け取りましょう。
最近、「管理会社が分譲時に預かった永久保存の竣工図書や設計図書を紛失した」、「紙で保存していたためにインクがかすれたりカビが生えたりして判読できなくなった」といった問題点が指摘されています。特に築後20数年を経過したマンションの場合は、管理組合は早めに保管書類・資料に関する現況の確認と対策の検討を管理会社と進めるようにしてください。
<管理会社が保管している書類を、理事役員の引き継ぎ時に、どのようにチェックすべきか>
私が知る限り、管理組合役員の書類・資料の保管に対する意識は総じて高くありません。
その理由としては、
(1)役員の任期が短くマンション管理の基本を学ぶ機会が少ないため、区分所有法で指定された書類の保管義務が管理組合にあることを知っている役員はほとんどいない
(2)保管すべき書類・資料がないことで問題が発生する事態は任期中には少ないため、保管に対する緊張感が薄い
(3)“保管は管理会社がやってくれているはず”という他者依存の傾向
(4)こまめに書類・資料を維持・保管する手間を疎んじる傾向
――などが挙げられます。
その結果、必要なときに必要な書類・資料が見つからず、いつ紛失したかもわからないという最悪のケースが現実に起きています。
いまからでも遅くはありません。そうならないためにも、気付いたときに行動を起こすことが重要です。理事役員の引き継ぎをよい機会ととらえ、問題を先延ばしせず、理事長以下理事全員で冒頭に記載した7月15日付の本欄回答の内容を確認することをお勧めします。理事ごとに担当する役割に関係する書類の存在を確認でき、それぞれの管理責任を明確にできます。
書類・資料の保管全体を担当する理事を決めるのもよいでしょう。管理組合にかかわる書類の管理責任者は確かに管理者(理事長)ではありますが、現実には理事全員で連帯責任を負うことになるとお考えください。
管理会社が保管している書類・資料については、管理委託契約書の「図書等の保管」の項目に記載されている内容と「預かり書類一覧表」を照らし合わせ、保管場所ごとに実際に存在していることを、以下の要領で確認しましょう。
・ベストは、理事長以下の書類保管担当理事が外部も含めた保管場所に出向き、管理会社同席の下で預かり書類一覧表に基づいて確認する
・ベターは、マンション内の管理員室に保管されている書類・資料を管理会社同席の下で確認し、未確認のものについては「存在している証(在庫証明など)」を管理会社から提出させる
・グッドは、最初から「存在している証(在庫証明など)」を管理会社に提出させる
──です。
役員の陣容に合わせて方法を選択しましょう。
書類・資料のチェックに当たっては、以下の点も注意してください。
・保存期間を超えたために焼却する書類の取り扱いを管理会社に委託している場合は、処分方法についてチェックする
・最近は、常時メンテナンスを必要とする組合員名簿などは紙ではなくコンピューター上のデータで管理している管理会社が多いので、データ保護がどのようにされているかを確認する
・もし、管理委託契約書の「図書等の保管」や預かり書類一覧表に記載されている書類・資料が見当たらなかったり紛失したりした場合は、管理会社の責任を問う事態になることを確認する
管理会社の善管注意義務違反または債務不履行によって保管すべき書類・資料が紛失したときの影響は、決して小さくはありません。特に分譲時に管理組合が引き取った資料、修繕工事や設備点検関係の書類の再生は、時間がたつほど難しくなります。もし、こうした書類を紛失すれば、大規模修繕工事の検討時に大きな影響を受けることになります。
管理組合が保管している書類・資料でも同じことが言えます。
書類・資料の保管は地味な活動ですが、マンションと管理組合運営に関する履歴書を預かる極めて重要な業務です。その点を管理組合も管理会社も再認識して、コツコツと継続的に行うことを心がけましょう。
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/mansion/column/20080825/525554/?P=2