北海道マンション管理問題支援ネット
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HP管理員 2011年02月16日 (水) 20時20分 No.1536
≪SAFETY JAPAN≫
漏水事故の原因によって対応も変わる
自分の部屋の上から水が漏れてきて損害があった場合、その漏水の原因によって保険の対応も異なる。
たとえば2階の居住者が風呂場の水を溢れさせた結果、1階の居住者に損害を与えたのであれば、2階の居住者が1階の居住者に対して損害賠償をする。しかしまったく別の場所の給排水管から水が漏れて1階の部屋に水が漏れていたなら、2階の居住者に責任を求める話ではない。
漏水の被害に遭って、自分が火災保険の加入をしている保険会社に連絡をしても、最初に水が漏れた原因は何かを必ず聞かれる。保険会社も原因が特定できないと、保険金を支払える事案に該当するか、あるいはどのような対応をしたらいいかの判断ができないからだ。
以前に漏水事故の相談にこんなことがあった。上階(2階)より水が漏れてきて1階の居住者に被害が発生したが、2階では水が漏れるような原因はない。さらによく調べてみると、その上の3階の部屋の給排水管から水が漏れていることが分かった。
このように必ずしも事故原因が真上の居住者の責任とは限らないため、漏水事故の際にはまず原因を特定しなければならない。しかし、居住者個人で原因の特定といってもできることに限度がある。漏水の原因が特定できないのであれば、専門の業者に依頼して漏水の原因調査が必要になる。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20110208/259625/?P=2
HP管理員 2011年02月16日 (水) 20時22分 No.1537
≪SAFETY JAPAN≫
漏水事故でも保険が出ないケースとは?
漏水の発生原因については様々なケースがある。しかし第三者に責任がないために誰かに損害賠償を求めることができず、また自分が加入している火災保険でも補償されないケースがある。
それが「雨漏りや吹き込み」である。新築の物件で手抜き工事があったというのなら業者に賠償を求めることも可能だが、長い間の使用で雨漏りするようになった場合には、火災保険では対象とならない。
他にも設備が古くなったことによる劣化やさび、消耗などが原因の場合も同様である。これらは漏水の発生原因に偶発性や事故性がないため、保険金の支払い対象外となる。マンションの設備も新築してから10年、15年経過すれば設備は老朽化してくる。設備の老朽化や雨漏りが起こる前に定期的な設備の点検や交換、補修などが必要だ。
それでは以下、漏水事故の被害者になったとき、加害者になったときの具体的な対応を考えてみる。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20110208/259625/?P=3
HP管理員 2011年02月16日 (水) 20時23分 No.1538
≪SAFETY JAPAN≫
被害者になったら
漏水被害が発生した場合、被害を止めるために迅速な対応が必要になる。まずは上階の居住者に状況の確認を行う。相手に言いにくいこともあるだろうが、当事者ではない立場の管理組合や管理会社などにも協力を依頼するのも一つの方法だ。
漏水の原因が特定できなければ調査が必要となるが、問題はこの原因調査にかかる費用である。現在マンション管理組合が共用部分に契約をする火災保険には原因調査費用を付帯できるものが主流になっている。この補償があれば問題ないが、そうでなければ原因調査費用は自己負担となる。
また、居住者が専有部分に加入する火災保険には、発生した損害額を支払う損害保険金とその損害から発生するさまざま費用をカバーする費用保険金がある。
費用保険金の中に「修理付帯費用保険金」がついているものだと、自分の火災保険からも原因調査費用が支払われる場合がある。但し修理付帯費用保険金は、保険金が支払えることが前提だ。給排水管からの水漏れならともかく、雨漏りが原因だと保険金の支払い対象とならず、原因調査費用も支払われないため、必ずしも万能ではない。
上階に原因があってその居住者が加害者になる場合も、注意が必要である。相手が保険に未加入であるような場合、加害者から損害賠償の支払いがすぐになされないこともある。
不況の折、マンションの管理費を滞納する人も増えている。保険に未加入で管理費を滞納する人だと、損害賠償金をすぐに支払ってくれない可能性が高い。こうした場合、感情的にならずに保険会社や管理会社などの協力やアドバイスなどを受けながら進めていくことが必要だ。状況次第では訴訟を考えなければならないケースもある。
訴訟といっても弁護士に相談することに敷居が高く感じる人もいるだろう。新しいタイプの火災保険の一部には弁護士や税理士、住宅のリフォームなどの電話相談できるさまざまなサービスが付帯されているものがある。意外と忘れがちだが、こうした対応ができるものは事故があった際に積極的に利用したい。
住宅火災保険、住宅総合保険、団地保険といった古いタイプの火災保険には、ここで紹介した補償やサービスはまずないので、該当するようなら一度火災保険の見直しも考えたい。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20110208/259625/?P=4
HP管理員 2011年02月16日 (水) 20時24分 No.1539
≪SAFETY JAPAN≫
加害者になったら
階下の居住者が漏水被害にあった場合、被害者は真上の居住者のところに確認にくる。こちらに原因がなければ損害賠償義務はないが、漏水の原因が分からなければ調査協力は求められる。
仮にこちらに損害賠償責任がある場合、こうした日常生活の賠償事故を補償するのが、個人賠償責任保険特約だ。もともと単独で契約できたが、損保各社の商品改定・統合があり、自動車保険、火災保険、傷害保険などに特約として付帯するのが現在では一般的だ。
なお、保険会社や特約を付帯する保険商品によって個人賠償責任補償特約、日常生活賠償責任補償特約など言い回しが異なることがあるので、内容の確認は忘れずにしてほしい。
この補償を特約付帯する場合のポイントは、具体的に次の3つだ。
■契約金額は節約しない。
■示談交渉サービスの付帯されているものを選ぶ。
■特約付帯している保険契約の管理を忘れない。
この特約は保険金額1億円つけても保険料負担は月々100円程度だ。保険金額を1,000万円に下げても月々10円になるわけではない。せいぜい月々数十円違うだけである。実際に損害賠償が発生した際には賠償額はいくらになるか分からないため、この補償については節約を考えないほうがよい。
また、保険には示談交渉サービスの付帯が当然と思っている人もいるが、付帯されていないものもまだ多い。示談交渉サービス付帯のものは以前よりかなり増えてきたが、加入の際には忘れずに確認したい。
保険の内容は契約時に説明されたことは理解しても時間が経つと忘れてしまいがちだ。たとえば自動車保険にこの特約を付帯していて、事情があって車を手放した。このときこの特約も一緒になくなることを理解していないと、実は必要な補償がなくなっていて肝心なときに対処できなくなる。
こうしたことがないように保険の管理ファイルを作ったり、加入している保険のこの特約が記載されている欄に分かるように丸をつけたりするなど、自分が忘れない工夫をしておくことをお勧めする。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20110208/259625/?P=5
HP管理員 2011年02月16日 (水) 20時26分 No.1540
≪SAFETY JAPAN≫
マンション全体としての漏水事故への対処
老朽化に伴う漏水事故は保険の対処ができないため、長期修繕計画に基づいた点検や補償をしてマンションやその設備を維持していかなければならない。マンション管理組合で火災保険に加入する際には、漏水などの原因調査費用をカバーするものには是非加入しておきたい。
また、個人賠償責任保険特約などもマンション管理組合で加入する保険に居住者を対象に一括して契約できるので、こちらも一考の余地がある。すべての居住者がこの補償をつけているかどうか分からないよりも、漏水事故の際に保険対応できることが分かっていれば、経済的な部分でのストレスは少なくて済む。
国土交通省のマンション総合調査結果(平成20年)では、締結している損害保険契約(重複回答)において個人賠償責任保険の加入率は47.4%と約半数が加入している。
居住者に限らず管理組合自体が漏水事故の賠償責任を負うこともあるので、施設所有者(管理者)賠償責任保険のようにこれをカバーする補償も忘れてはならない。
漏水事故のような他人が関係する損害賠償事故では、相手に振り回されて不快な思いをすることも多い。保険の加入があっても経済的な部分の負担を軽減できるだけであるが、保険の加入もなくて経済的な事情も厳しいと精神的な負担はさらに重くなる。
日頃忙しい中で保険のことやマンション管理のことまでなかなか手が回らないことも現実である。しかしマンションは高い資金を払って購入した自分の財産だ。トラブルだらけのマンションでは資産価値は下がるだけである。何十年か先も人に貸せるような管理や仕組みを作って、その資産価値を落とさないようにすることが重要である。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20110208/259625/?P=6