『あそこが縮んでしまった男』
あそこが縮んだままふくらまなくなった男、ゾロ。
そんなゾロのあそこをふくらませるため、サンジはあの手この手色んな手で試してみたが、いくらやってもゾロのあそこは縮んだままだった。
「くそ……すまねェ、ゾロ」
「謝るな、テメェのせいじゃねェ……」
「だけど俺がもっと……俺にもっとテクがありゃぁ……」
「いや、充分だ……」
「ゾロ……」
ゾロは許してくれたが、サンジは己を許せなかった。
ゾロのあそこをふくらませなかった自分。
(今の俺のテクじゃゾロはふくらまねェ……くっそぉ……)
悔しさにサンジは泣いた。
だが、そんな時、昔ジジイから聞いた手技を思い出した。
(そうだ……幻と言われたあの”除夜の鐘突き”を会得すりゃぁ……)
「俺、ゾロのために……イッて来る」
「イッてくる?」
「ああ、お前をふくらませるためのテクを手に入れに……修行の旅に出るっ、あでぃおす、あみーご、ゾロー!」
ゾロのためにも、サンジは幻のテクを会得しようといきなり旅に出た。
「まちやがれー、テメェ一人でイク気かー!!」
ゾロの声も虚しく、サンジは一人イッてしまった。
「……ちきしょう」
ふくらまないあそこを見つめ、ゾロは一人悲壮感に打ちひしがれた。
自分はどうすればいいのか……それに迷いながら。
サンジが幻の技を追い求め、それを身に付けるべく悪戦苦闘している頃、ゾロはゾロで置いてけぼりを食らったショックから立ち直り、己のあそこを鍛えに鍛えていた。
そしてついに……
大岩目掛け、ゾロの身体が舞う。
斬!
再びゾロが大地に降り立つと、飛び越えたはずの岩がゾロの背後で真っ二つに割れた。
ゾロは岩をも砕く、鉄のように硬いあそこを手に入れた。
ゾロは『アイアンマラー』の技をマスターした。
だが、それでもふくらむことはない。
「やっぱり……俺はテメェがいねーとダメなのか……サンジ」
「ゾーーーローーーー!!」
いつの間にか荒れ果てた大地に立っていたゾロの元、黄金の髪を靡かせてサンジがかけって来る。
「サンジっ!」
感動の再会。ゾロは走って来るサンジに向かって手を広げ、サンジはその広げられた腕の中へと飛び込んだ。
ひしいいいっと熱く抱擁を交わす。
今まで離れていた時、距離を埋めるように抱き合い、互いの存在を確かめ合う。
「ゾロゾロゾロ〜〜」
「サンジサンジサンジっ!」
「ゾロ、お前のために……幻のテクを身につけて来たぜっ」
サンジは修行により、幻のテクを会得した。
一秒間に108回擦る事が出来ると言う幻のテク。
そのテクを身に付けたサンジは『ゴールデンフィンガー』の称号を得ていた。本当にいつの間にか。
「さあ、俺のゴールデンフィンガーでテメェをふくらませてやるぜ」
久し振りのゾロの顔が嬉しく、涙混じりな声で言ってサンジは笑った。
「ああ、頼むぜっ」
そんなサンジの笑顔に愛しさこみ上げ、ゾロも涙を堪えながら笑顔で頷く。
互いを想う心によって互いが得たその力。
その力を使って、これよりアイアンマラーvsゴールデンフィンガーの一戦が始まる。
その勝負に勝利したのは……
※ゾロの幸せを願い、愛を込めて某Yさんと話合いました。