「グリベック」のジェネリックである「イマチニブ」が発売されて9年が経ちますが、ジェネリックへの置き換え率はまだ4割にも達していません。ジェネリックを服用すれば高額療養費制度を利用する必要もなくなりますし、毎月の薬剤費はかなり楽になります。と言っても抗がん薬ですので、これまでずっとグリベックを服用されていた方は、躊躇するのが当たり前ですよね。ですが、今年10月から始まる新しい制度では、そうも言っていられなくなるかもしれません。
国としては社会保障費の中でも特に医療費を下げたいとの考えから、これまで医薬品の公定価格を下げ続けてきました。ですがかなり無理な値下げを続けたため、赤字や利益が出にくい医薬品が増え、品質の低下を招いたり、生産量に制限をかけなくては利益が出せない事態となり、医薬品不足が社会問題にまでなってきてしまいました。
また、低い薬価のせいで海外の企業が日本での発売を避けるような事態にもなっており、ドラッグロスが深刻化していることから、抜本的な薬価制度の見直しを行い、海外の企業でも日本国内で安心して研究開発、発売ができるような環境を、国として整えなくてはならなくなりました。
薬価の値下げは一番簡単ですし、国民から文句も出ませんので、社会保障費を下げる安直な方法として利用されてきましたが、前述の通り、これ以上は薬価を下げられなくなりましたので、残念ながらその負担は私達に振られる事となってしまいました。
という事で本題ですが、10月1日より、ジェネリックが発売されている医薬品の一部で、医療上の必要性(医師の指示)がない限り、患者負担を増やされる事となります。
GISTの場合は、グリベックが該当します。
処方箋も新しくなり、医師の指示として処方された場合はこれまで通り1〜3割負担ですが、患者の希望のみでグリベックを服用する場合には、ジェネリックとの差額の4分の1が選定療養と見なされ、患者負担になると同時に課税(消費税)対象となります。
国としては、この制度によって先発品からジェネリックへの移行を促し、それでも先発品を選ぶ患者さんには負担を増やす事で、薬価を下げない代わりの財源の一部を賄うつもりのようです。
当初は4分の1ですが、消費税のように少しずつ割合が増えていく事は、おそらく間違いないと思います。
ただ、今、新規に服用を始める患者さんの多くはジェネリックを選択していますし、先発品から変更した患者さんもおられますが、そのために治療効果が落ちたという話も聞きませんので、もしかすると私達もジェネリックについて考えてみる良い機会なのかもしれません。
ジェネリック医薬品メーカーさんの一社より、10月から始まる新たな制度について詳しい資料を頂いています。この書き込みに表示されている「HOME」をクリックするとダウンロードできます
現在、グリベックを服用されている皆さんは、内容を確認していただき、もしジェネリックへの変更を考えたい場合は医師、薬剤師さんともご相談のうえ、決定してください。