[3567]でポストしましたが、最近の研究者によると、単一の抗癌剤でなく、複数、コクテルの薬服用が有効だと、治験が動いているようです。グリーベックはGIST細胞増殖を抑えるが、それら細胞を抹殺する効果が低い。そして大半の患者は耐性を獲得し増殖再発になる。しかしコクテル服用で細胞死滅が可能と12月のLRGニューズレターにDr. Fletcher の患者用の記事「イマチニブGIST耐性への挑戦」がでています。下のURLをクリックしてLRGニューズレターが見えます。http://www.liferaftgroup.org/docs/newsletters/December2008nwsltr.pdfDr. Fletcher の記事のFigure 1はFDA許可済みや治験または開発中の最近GIST薬がGIST細胞内のどの蛋白質に働き効果があるか大変良く描写されています。Figure 1 はページ7に出ています。これはコッピー、ペーストして印刷することが出来ます。この図面は複雑ですが重要です。私なりの解釈で説明しました。Figure1を印刷するか、オープンして読んで下さい。中央の濃い水色の二重横線は細胞袋の幕で、その上部は細胞外部、その下は細胞内部を示しています。井戸のように描写され細胞幕を突き刺しているのは細胞外から細胞内へ信号伝達機能のある蛋白質で、KIT & PDGFRA, Other RTKs、VEGFRと三種類が示されています。通常これら蛋白質(日本特有発音でチノシン キナセ、こちらではTyrosin Kinase, タイロシン カイネスと発音)を通して外部から‘増殖せよ’と内部への信号伝達で普通の細胞分裂がおこります。しかし突然変異したカイネスを持つGIST細胞は外部からの信号伝達なしで細胞内部に細胞分裂指示が持続的におこります。グリッベク、別名Imatinib、はKIT、PDGFRAカイネスの特別部分に付着し、それ以降の分裂指示信号伝達を阻止し細胞分裂をとめます。井戸の様に描写されたKIT、PDGFRAカイネスから細胞中心への細胞分裂指示信号の伝達は結構複雑で色々の蛋白質の付着、合体でおこり、複数の信号伝達経路(Pathways)があります。各々細胞内には数万種の蛋白質があり、それらの機能はまだ全て解明されていないと思います。信号伝達に関与する蛋白物質は黒枠の中に黒字で書かれ黒矢で経路が示されています。また赤幕ボックス内に白字で書かれているのは抗癌薬です。細胞内のどの蛋白質に効果があるか赤矢印で示されています。Imatinib (Gleevec), Sunitinib (Sutent)はTyrosin Kinase Inhibitor,阻止剤と呼ばれています。NilotinibはTasigna・タジグナと[3566]で掲示板で書き込みがあります。他の薬は治験中か試験中でしょう。mTOR阻止剤、Everolimusについては[3593]の下の[3595]で検索した文献を翻訳しました。またHSP90(Heat Shock Protein 90)の働きを阻害してがん細胞増殖をふせぐIPI-504は私も注目しています。GIST掲示板[1573]、 [2904]等で紹介ポストしました。この抗癌薬は戦略が全然違います。この薬はいま治験Phase IIIをやっていて相当効果があるようです。この図で見られるように、案外単純な薬、グリベック服用で腫瘍増殖阻止効果が不十分、また阻止効果が弱化した(耐性)場合にと、例えばmTOR阻止剤、Everolimus、と同時服用のカクテル治療法が試まれています。近い将来にHSP90阻止剤の同時服用も考えられなくもありません。これら図に示されているのは公表された薬です。まだ多くの薬も開発中でしょう。彼等の研究努力に感謝し速やかなGIST病壊滅する単体またはカクテルの薬開発、許可を期待しています。p.s. "SunnySoCal"は私以外の使用者があり"Sunny南加"に変えました。南加はSouthern Californiaの略です。
最新情報のご提供有難うございます。医学生理学会レベルですね!!研究成果の発表、薬剤と蛋白質との相乗効果との対比、大変興味あります。 私も、かみついて研究してみたいと考えています。
Suuny南加様いつも最新の情報をありがとうございます。今回の情報も、明るい気持ちにさせていただきました。難しいことは分からないのですが、薬のカクテル服用で、相当効果のでる治療が受けられるかもしれないということ。大変嬉しく、近い将来に期待しようと、強く思いました。
興味深い情報をありがとうございます。新薬に関しては世界的にみて、日本は色々と制限もあり開発・承認が遅れ気味だと感じています。ましてGISTのように病例数が少ないと、製薬会社も積極的には動きにくいでしょう。正直言って、海外の研究頼りです。 GISTの抑制ではなく壊滅できる薬の誕生を切に願います。
The Life Raft Group ニューズレター二月号にJim Hughesさんによる米国内のGIST治療の治験情報を簡潔にポストしました。(NT)は新しい治験。カクテル薬の治験:Imatinib + Bevacizumab Phase III: 患者募集中Imatinib + Pegylated Interferon-1 2B Phase II 患者募集終了Perifosine + Imatinib Phase II 患者募集終了Sorafenib + Vorinostat Phase 1: (NT) 患者募集中Sunitinib + CP-751,871 Phase 1: (NT) 患者募集中単薬の治験:Masitinib Phase III: 患者募集中IPI-504 Phase III: 患者募集中 (Hsp90抑制剤)BIIB021 Phase II: 患者募集中Dasatinib Phase II: 患者募集中XL820 Phase II; 患者募集終了OSI-930 Phase I; 患者募集終了CNF2024 Phase I: 完了BAY73-4506 Phase 1: (NT) 患者募集中PX478 Phase 1: (NT) 小児GIST患者募集中R1507 Phase 1: (NT) 患者募集中詳細はwww.clinicaltrials .gov 又はcancertrialshelp.orgを検索してくださいとの事です。Phase IIIの治験も結構多いです。良い結果がでればと期待しています。