始めまして。知識がないのでこちらで伺いたくて質問します。先日母が胃癌の手術で胃を3分の2摘出しました。その時に医師から「癌が胃を突き破ってお腹に散らばっている。抗がん剤投与の覚悟をしてください」と言われました。病理検査の結果待ちで、今月末に母をふまえて説明があります。「お腹に散らばっている」と言うことは腹膜播種なのでしょうか?
お腹に散らばっている・・ということから、おそらく腹膜播種だと思われます。胃がんと診断されているのでしたら、GISTや他の肉腫ではないと思いますが、胃がんで腹膜播種が多いのはスキルス胃がんです。念のため「スキルス胃がん」についても検索しておくとよいかもしれません。スキルスは進行が早く、約半数は手術ができない状態で見つかりますので、たぶんお母様のがんとは違うと思いますが、あくまで念のためです。お母様が一日も早く元気になられることを祈っています。
Sumi様 はじめまして。 @抗がん剤投与の覚悟 A「お腹に散らばっている」 以上の2行の決定的なことにより判断すると、これは、『腹膜播種』と考えられます。ある意味これしかないでしょう。転移先が肝臓、肺でないことをお祈りいたします。腹膜にガンが転移している状態を、多くの場合、腹膜播種とよびます。腹膜に存在するガンの病巣は、まさに播種(ハシュ)、すなわち米粒大の小さなガン細胞のカタマリが無数に「種を播く」状態で腹膜に存在しています。腹膜という臓器の形状を正確に理解されている患者さんは多くはないと思います。膜(まく)というと、一枚のシートのようなものを想像されるかたが多いと思います。そして腹膜とは、お腹の壁の内張りの膜(まく)だけを連想してしまう患者さんが多いように感じます。腹膜の形状を言葉で説明するのは難しいのですが、一応言葉で書くと、お腹の中には、胃・小腸・大腸・肝臓・脾臓・卵巣などの臓器が入っています。横隔膜を貫き食道がお腹の中、すなわち腹腔に入ってきます。腹腔内といわれる場所です。腹腔内に入った食道は、胃・小腸・大腸・直腸と連なっていきます。直腸の肛門に近いところまでが腹腔内で、肛門に数センチまで近づいたところで、腹腔から外に出ます。そこまでが腹腔内臓器といわれます。他に腹腔内臓器には、前述の肝臓、胆嚢、脾臓、女性では卵巣などがあります。そして、胃や小腸、肝臓などの臓器はすべて、血液が供給されています。すなわち血管につながっています。その血管は、お腹のうしろ側の腹膜、後腹膜というところから出てきます。その血管や臓器はすべて薄い膜で包まれており、その膜をすべて腹膜とよびます。肝臓を包んでいる膜も、横隔膜の腹腔側の膜も腹膜です。したがって、腹膜は、一枚の膜という概念ではなく、曲がりくねっており、それを広げると相当に大きな面積になります。とごく簡単に書きましたが、十二指腸や膵臓、場合により上行結腸、下行結腸は、腹膜の背中側に埋もれるように存在しているため、後腹膜臓器とよびます。正確にはそれらの臓器は、腹膜には包まれていません。また、腎臓や膀胱、尿管、子宮などは、腹膜の外にある臓器で、腹膜外臓器とよばれます。あまり書くと複雑で分からなくなりますので、書きませんが、ようするに、お腹の皮膚と皮下脂肪、筋肉で作られた壁の内張りの膜から続いて、横隔膜から出てきた食道から直腸までさらにお腹の中のすべての臓器を包んでいる膜のことを意味します。そして、その膜の内部は、出口の無い袋状になっています。腹膜という袋の中にガン細胞が散らばった状態が、腹膜播種です。袋の中には、正常な状態でも少量の腹水が入っていますので、腹膜の袋の中に落ちたガン細胞は、少量の腹水というお水の中を浮遊して、お腹全体、すなわち腹腔内全体に簡単に散らばって、そこかしこに種を播いてくれます。腹膜への種播は簡単に完成します。一般的に、お腹の中にガン細胞が落ちるとには、数十万、数百万個という単位でばら撒かれます。したがって、お腹を開けて、腹腔内を肉眼で見て、目に見える種が一つでも見つかったなら、まだ目に見えない無数の種が、腹膜には存在していると考えなければなりません。小さな種は、術前のCTなどの画像診断では、ほとんどの場合発見されません。それ故、抗癌剤の効きが良くない胃ガンなどでは、腹膜に1個種が見つかったなら、その場で手術を中止することもあります。腹膜播種の治療は、標準治療に囚われている一般的な病院・医者では古典的な治療しか行われず、その結果治療成績は惨憺たるものですが、標準治療の枠に縛られない、自由な発想のもとには、大きく進歩しつつあります。(以上参考文献http://umezawa.blog44.fc2.com/blog-entry-1049.html 文責 梅澤 充 より引用) これからが、家族で闘うのです。頑張ってください。私も応援いたします。