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[8869] 緑茶の エピガロカテキン-3-ガレートはGIST細胞の死を引き起こす 注をいれました。 Sunny北加 - 2017/05/31(水) 15:00 -

このリポートは前に参照したものです。 私はこの日本発のリポートに色々の理由で魅了され調べてています。それで抄録を翻訳しました。


注:エピガロカテキンはスーテントと化学結合し、無効化する危険があります。下を読んで下さい。
[8288] お茶のスーテントの効能減少の潜在的なリスク Sunny北加 - 2016/07/29
http://bbs4.sekkaku.net/bbs/gist/&mode=res&log=7409

「緑茶の エピガロカテキン-3-ガレートはKIT活性を阻害し、イマチニブ耐性を含む胃腸GISTにおいてカスパーゼ依存性細胞死を引き起こす。」
http://brownricestudy.blogspot.com/2013/06/egcg-and-gist-tumors.html

抄録
選択的チロシンキナーゼ阻害剤であるイマチニブはGIST患者の第一選択標準療法として使用されている。残念なことに、イマチニブに反応する大部分の患者は最終的に耐性を示し、その原因は完全解明されていない。イマチニブ耐性のこの臨床的重大課題は代替治療戦略を必要とする。 緑茶カテキンの主成分であるエピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)は様々な種類の癌細胞に対して抗腫瘍効果がある可能性が示されている。ここにEGCGが細胞増殖を抑制し、最終的にカスパーゼ依存性経路を介して細胞死を誘導することによって胃腸GISTのGIST-T1株に対する抗腫瘍効果を示したことを初めて報告する。 GIST-T1およびイマチニブ耐性GIST-T1(GIST-T1 IR)細胞を用いてEGCGの効果を評価した。両者の細胞型において、KIT活性はEGCG60mμMで4時間処理した後に完全に阻害された。 EGCGは活性化されたKITを特異的に阻害し、これはヒト野生型KIT構築物にトランスフェクトされたBa / F3細胞を使用することによって実証された。EGCG 30mμMの用量ではKIT活性は残っているが、EGCGが40mμMを超えると、これらのトランスフェクトされたBa / F3細胞においてKIT活性は消滅した。本研究結果は、EGCGが天然KIT阻害剤として有望な可能性を示し、従って、イマチニブ耐性症例を含むGISTの新規の治療剤または予防剤として使用できることを示唆している。
ーーーーー
トランスフェクション〔生物工学〕:ウイルスなどの核酸を細胞に取り込ませ増殖させること。
「カスパーゼ依存性経路」は私もまだ把握できなく、ややこしので説明はスキップします。
ーーーーー-----

重要なのは緑茶に含まれるエピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)がGISTそしてグリベック耐性を示したGIST細胞、両者をある濃度で試験管内で抹消したことです。

これは4年前のリポートです。これだけ緑茶がGIST細胞を殺すとの私らGIST患者には劇的な論文なのにその後の医薬的、医学的なフォローがないのはなぜ?ですが、私の答えは製薬会社には自然物質には特許がおりない、儲けにならないから。そして医学会は、私見ですが、それ以上の臨床結果追及は時間が掛かる、悪く言えば ”製薬会社からの援助がなければどうでもよい, 俺は忙しんだ” かも。緑茶大国の日本の医師団が輝けるベストチャンスなんだけど。晩酌中ですが日本の医師団にチャレンジします!

[8870] 医師団でなくて申し訳ない 通りがかりの生物学者 - 2017/06/01(木) 14:32 - MAIL

Sunny北加 様
通りがかりの生物学者です。
骨転移と腹膜播種持ちでグリベック服用中です。
投稿されている抄録を見ると,mμMとありますがおそらくマイクロMでしょうか。とすると効果が見られない40マイクロMは,EGCGの分子量458.37(wikiより)から1リットルあたり14mgとなります。体重60kgの人でしたら,約840mgが体に行き渡ってなお不十分ということになります。http://www.pref.kyoto.jp/chaken/catekin.htmlによりますと,緑茶(おそらく乾燥した茶葉の事だと思いますが)の約1割ちょっとがカテキンでその半分ちょっとがEGCGのようです。とすると,茶葉約10g以上に含まれる成分が,ロスなく体に取り込まれ,その状態が効果を発揮するまで充分維持される必要があります。お茶で摂取するのはかなり難しそうに思えます。
この研究自体は基礎研究でしょうから,さらに効能を高めた誘導体が合成されるなどすれば将来治療薬になる可能性も秘めていると思いますが,実際の薬の開発は高額の開発費と長い時間がかかる上,成功率が非常に低い博打の様なものらしいですから,製薬会社が二の足を踏んでもしかたないかと思います。でも,もしかしたら我々が知らないだけでどこかの会社が開発に取り組んでいるかもしれませんね。
ちなみに,カスパーゼ依存性経路はアポトーシスという細胞の自殺を起こす経路で,グリベックなどの効果も回りまわってGIST細胞のアポトーシスを誘導することで縮小させるはずだったと思います。

[8874] コメントありがとうございます。 Sunny北加 - 2017/06/02(金) 09:27 -

生物学者さん、

コメントありがとうございます。
骨転移と腹膜播種とは大変ですね。グリベックは効いていますか?
このポストは1週間前にG.net(仮)にポストしたものをちょっと編集して掲示板にポストしました。長くなると読んで貰えないので、この続きは30日にポストしました。これは掲示板にポストするまでG.net(仮)に登録していない方でも読めるようにと全員公開しています。
「日常のむ緑茶のエピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)の血中濃度」
http://gist.sns-park.com/?a=page_o_diary&target_c_diary_id=837

ここにポストしたように、私は濃度単位、muMはmilli-micro mole、すなわちnano-moleと判断しました。

血中濃度が40-60nMとなると、通常の緑茶服用後のEGCGの耐がん効果がおおいに期待できます。
私はRetired electronic engineerですが、生物学者さんのクリテイーク、ご意見大いに歓迎します。

Epigallocatechin-3-galloteの広い抗癌効果はネット検索すると多くみつかります。そうですね、このリポート結果のようにEGCGのGIST細胞抹殺効果が良ければ、GIST細胞などがん増殖に必須な物質をEGCGをがん細胞に集中的に運んでくれるキャリアーを開発すれば、特許が得られ、大きなプロフィットが期待できるのでは。たとへば、がんの増殖に必須なグルコース(多分複数)にEGCGを軽くくっつけるとか。もうちょっと若かったら驀進するのですが。

[8875] 探してみました 通りがかりの生物学者 - 2017/06/02(金) 13:51 - MAIL

まだ服用を初めて1年経っていませんが,いまのところグリベックが良く効いているようで,(表面上は)元気に仕事も続けている状態です。

検索をかけてみたところ,Cancer Biology & Therapy誌にHoang Thanh Chi, Hoang Anh Vu, Reo Iwasaki, Le Ba Thao, Yukihiko Hara, Takahiro Taguchi, Toshiki Watanabe & Yuko Sato (2009) Green tea (-)-Epigalocatechin-3-gallate inhibits KIT activity and causes caspase-dependent cell death in gastrointestinal stromal tumor including imatinib-resistant cells, Cancer Biology & Therapy, 8:20, 1934-1939
として掲載されていました。
残念ながらmuMはやはりマイクロMの様です。
抄録の表示の関係でギリシャ文字が使えず,マイクロを意味するミューをmuとしたのだと思います。
ついでに検索していると,Cancer therapeutics with epigallocatechin-3-gallate encapsulated in biopolymeric nanoparticles.
Tyagi N, De R, Begun J, Popat A
というのが引っかかりました。
オーストラリアの方々ですが,EGCGの抗がん効果ををドラッグデリバリーと結びつけて利用することを目指しているようです。2016年の論文ですから,今も色々な試みが成されているようですね。

[8878] ご指摘、ありがとうございました。 Sunny北加 - 2017/06/02(金) 22:56 -

生物学者さん、
検索ありがとうございます。
こりゃ、驚きました。私らはギリシャアルファベットが出ないタイプライターの時代はuを使っていました。この論文の大きな情報はEGCGはGIST細胞に消滅効果がある とその濃度ですが、後者が非標準的な "mu" と ”M"を組み合わせての表現は驚き以上、論文の価値を無駄にし、無責任だと感じています。

Wikiでみましたが、このように出ていました:
https://en.wikipedia.org/wiki/Micro-
"In circumstances, in which only the Latin alphabet is available, ISO 2955 (1974,[6] 1983[7]), DIN 66030 (Vornorm 1973;[8] 1980,[9][10] 2002[11]) and BS 6430 (1983) allow the prefix μ to be substituted by the letter u (or even U, if lowercase letters are not available), as, for example, in um for μm, or uF for μF."

濃度が1000倍も高いと通常の緑茶の量ではほとんど影響なしでしょうか。
私ももっと確認すべきだったと後悔しています。早速G.net(仮)のポストを訂正します。
ご指摘、ありがとうございました。

[8879] 謎のmuM 通りがかりの生物学者 - 2017/06/05(月) 00:54 - MAIL

Sunny北加 様

濃度の表示がおかしいのは、おそらく筆者の責任ではないように思います。
Cancer Biology & Therapy誌のサイトではきちんとμMと表示されている一方で、世界的な論文検索サイトであるPubMedに表示される抄録ではmuMとなっています。最初に引用されているブログサイトの元情報もおそらくPubMedからではないかと思われますが、PubMed上の他の論文では、普通にμMと表示されているものもありますので、このジャーナルからPubMedへの情報の伝達提供のシステムに問題があるのかもしれません。

おそらく通常の緑茶の飲用ではあまり効果は期待できないのではないかと思いますが、緑茶に罪は無いので、嗜好品として適度に楽しむのがよいのではないでしょうか。

[8881] muMとμMのミステリーが解けたと思います。 Sunny北加 - 2017/06/05(月) 13:19 -

生物学者さん、

再コメントありがとうございます。
このリポートのCorresponding Authorに英文でメールしましたが、もう彼女のドーメインアドレスが無効になっていました。

muMとμMのミステリーが解けたと思います。

PubMedと正規論文のAbstractとが別のヴアージョンであると確信を得ました。
両者をWord-by-wordで比較しました。両者の相違はmuMとμMだけではありませんでした。

μMヴアージョンには文章4に”gastrointestinal stromal tumor”の後に(GIST)が挿入されています。
Here, we report for the first time that EGCG has shown anti-tumor effects on gastrointestinal stromal tumor (GIST) cell line GIST-T1 by suppressing cell proliferation and eventually inducing cell death via caspase-dependent pathways.

そして、その後のmuMヴアージョン文章に四時間を”4h”と使われていますが、μMヴアージョンは "4 hour" と書かれています。

これらのdiscrepanciesは著者でないと書き換えはできないと思います。私のguessはmuMヴアージョンは最終版前の、たとへば学会発表前の preliminary Abstractではないでしょうか? 

緑茶の抗癌効果は他のがんでも色々の機序で効果があると発表されていますが、やはり血清濃度が低すぎるのでしょうか? EGCG はゲノムのメチル化を防ぐとも読んでいます。直接的にGIST細胞を消滅できないかも知れませんが、Exon以外のIntronsの粉飾を変え、エピジェネチック的な効果があるかも知れません。だと、GISTの悪性度、そしてそのスピードなどに相当影響するでしょう。よい例が人口20-30%の頻度で起こっているMicro-GISTはGISTと同じExon(s)の変異を有していますが、それらが悪性化する因子はまだ完全に解っていません。GIST患者対象に生活習慣などのアンケートにてデータ解析すれば、有意義な相関関係が見つかるかも知れません。

[8885] むむmu? 通りがかりの生物学者 - 2017/06/12(月) 22:54 - MAIL

Sunny北加 様

Corresponding Authorの方に関しては、ネットで検索したところ、その後私立大学の教授や病院の顧問などを歴任されているようですが、短期で移動されている点などから、推測ですが、定年退職されて一線を退いておられるのではないかと思います。

PubMedと論文でAbstractが異なるというのはちょっと予想外でした。あまり意識して比べた事もないのですが、聞いた事がないですね。

microGISTについては初めて知りました。まだまだわからない事が多いですね。そういった謎が解けると新しい治療法につながるかもしれませんね。

[8886] 追加 通りがかりの生物学者 - 2017/06/12(月) 23:13 - MAIL

書き込みの途中で間違って送ってしまったので、続きです。

緑茶の効果などに関しては、根拠となる論文等を紹介していただければ、また検討してみますが、一般の食品等で、常用されている量での効果はあまり期待できないのではと思います。それほど強い生理活性があるのであれば、通常の使用でも他にも影響があるのではという気がします。また、細胞レベルでの効果の報告があっても、患者に対して効果を出すのはまた難しい問題が多いように思います。
とはいえ、GISTは希少な疾患ですし、最近の分子標的薬のおかげで治療戦略も変化してきていますから、それらと合わさって、意外なものに効果がある可能性は否定できません。ただ、それと同じように逆に悪影響を与える可能性もあります。
個人的には、よりよい新薬の開発や、既存の他の疾患の薬で実はGISTに効果のあるものが見出されるなどの展開に期待したいと思っています。

[8887] 初期のイマチニブ耐性GISTにEGCGが効いたら素晴らしい Sunny北加 - 2017/06/14(水) 13:10 -

生物学者さん、

Corresponding Authorはもう引退された?ですか。もう繋がらないドーメインアドレスは国立病院のひとつでした。

KIT変異でmicroGISTは1pほどまで発展するが、それ以上は大きくならないようです。OHSUのDr. M. Heinrichのスライドによるとそれらの悪化原因は日本の研究を参照しmicroGISTからLow riskのGISTへの発展は14q、22qの損失、そしてそれ以後のHigh risk GISTへの発展は1p、p16、そしてp53の損失に相関するようです。(Kawanowa et al. Hum Pathol 37:1527-35,2006)

下は2000年のリポートですが、CGH(Comparative Genomic Hybridization)による詳細の全文が読めます。
DNA Sequence Copy Number Changes in Gastrointestinal Stromal Tumors: Tumor Progression and Prognostic Significance
http://cancerres.aacrjournals.org/content/60/14/3899.long

これらから、GISTの悪性化はKit関係のゲノム変異は切っ掛けで、他の多くのゲノム変異が関係していると私は解釈しています。異常変異部位を検出するCGHはPCR解析より簡単にテストできると感じていますが、間違いでしょうか?

緑茶のEGCGの抗癌効果は随分沢山でてきます。Google ScholarでEpigallocatechinと検索すると沢山出てきますが、199N年から200N年のものが多く、著者の名前から、中国、東南アジア、またはアラブ諸国の文献が多いと見ました。前回に参照したのが私が見つけられたGIST関連の唯一つのものでした。本文を読まないとEGCGの濃度はでてこないのがほとんどです。これら要約を素読みして、私の感触はこれら論文は箔をつける研究過程で、治療に直結する最後までの研究でないのが、悲しいですね。金にならないからでしょうか?

このリポートによると発達したがんに対しての細胞殺傷効果は日常のむ緑茶の1000倍ほどのEGCG濃度でないとダメなようですが、がんが発達していなければ、私はEGCG効果に期待をしています と言うより期待したいと思っています。特に ”GIST-T1およびイマチニブ耐性GIST-T1(GIST-T1 IR)細胞を用いてEGCGの効果を評価した。両者の細胞型において、KIT活性はEGCG60μMで4時間処理した後に完全に阻害された。” のイマチニブ耐性GIST-T1に効果があったは多いに期待したいですね。数個の初期のイマチニブ耐性GISTにEGCGが効いたら素晴らしいと思いますが。

私は日本のある治験広報がきっかけで、腫瘍発展を数値的に見てみました。それはG.net(仮)に登録しなくて読めるようにしました。

イマチニブ耐性の分子的メカニズム 耐性 [2]
http://gist.sns-park.com/?m=pc&a=page_fh_diary&target_c_diary_id=407

イマチニブ耐性は既存の二次変異が原因 耐性 [3]
http://gist.sns-park.com/?m=pc&a=page_fh_diary&target_c_diary_id=423

GIST診断時の二次変異はどうしてPCR検出ができないのか 耐性 [4]
http://gist.sns-park.com/?m=pc&a=page_fh_diary&target_c_diary_id=427

もしも私のGISTに二次変異が起きていたら 耐性 [5]
http://gist.sns-park.com/?m=pc&a=page_fh_diary&target_c_diary_id=438

GIST二次変異も一般がん細胞倍増率に合うでしょう 耐性 [6]
http://gist.sns-park.com/?m=pc&a=page_fh_diary&target_c_diary_id=456

GIST二次変異に効く薬 耐性[7]
http://gist.sns-park.com/?m=pc&a=page_fh_diary&target_c_diary_id=496

これら私の外者の解析に生物学的な基本的な間違いがあれば、ご指摘を大いに感謝します。

多分他のがんにも共通でしょうが、GISTが恐ろしいのは増殖のクローンイングが不安定で、イマチニブが効かない二次的変異を起こすことだと読んでいます。Anti-KIT第二線、第三線薬はこれら二次変異に効きますが、RFS中央値は長くありません。PonatinibはまだFDA承認はおりていません。

EGCG効果で興味を引いたのは:
A Novel Prodrug of the Green Tea Polyphenol (−)-Epigallocatechin-3-Gallate as a Potential Anticancer Agent
http://cancerres.aacrjournals.org/content/67/9/4303.short

乳がんですが、”Results of this in vivo study showed a significant inhibition of breast tumor growth by Pro-EGCG (1), compared with (−)-EGCG, associated with increased proteasome inhibition and apoptosis induction in tumor tissues.” GISTはどうなるの?と。

Proteasome inhibitorであるbortezomibがGISTにアポトーシスを起こし、そしてKITもなくなったとの事です。もしかしたらPro-EGCGも?

だらだらと長くなりました。

[8894] ちょっと教えて下さい 通りがかりの生物学者 - 2017/06/16(金) 00:26 - MAIL

Sunny北加 様

たくさん勉強されているんですね。
私も時間を見つけて少しずつ勉強させてもらいたいと思います。

ところで、最後に”Proteasome inhibitorであるbortezomibがGISTにアポトーシスを起こし、そしてKITもなくなったとの事です。もしかしたらPro-EGCGも?
”とありますが、これは”A Novel Prodrug of the Green Tea Polyphenol (−)-Epigallocatechin-3-Gallate as a Potential Anticancer Agent”にこのような記載があったということでしょうか。論文を見たのですがキナーゼであるKITに関する記述は無かったように思うのですが。

[8895] ちょっとかまを掛けました。 Sunny北加 - 2017/06/16(金) 09:43 -

生物学者さん、

晩酌中のポストですので、ちょっと飛躍的になります。あしからず。

Bortezomibの効果はProteasome inhibitorにて GIST細胞を死に致すと読みました。

Kristin R.等の抄録には "…Pro-EGCG (1), (−)-EGCG was not only converted but also accumulated, accompanied by enhanced levels of proteasome inhibition, growth suppression, and apoptosis induction, compared with cells treated with natural (−)-EGCG."
と読みましたから、このリポートは乳がん細胞対象のものですが、同じproteasome inhibition機序がGISTにも当てはまるのではーと望み、かまを掛けました。

Proteasome inhibitionは細胞種類には無関係でしょう? そうだと思っています。
イマチニブなどのAnti-kinase剤はC-kitの更なる変異により3次元的な窪みの形、そして静電気分布が変わり、ATPが通常入るがん化したC-kitの窪みへの薬の合体効率が低くなり効かなくなると解釈しています。

[8926] proteasome inhibitor 通りがかりの生物学者 - 2017/07/04(火) 23:53 - MAIL

このところ仕事が忙しくて返信できませんで、失礼しました。

Bortezomibは多発性骨髄腫等に適用されるproteasome inhibitorの抗がん剤ですね。
(−)-EGCGの作用がproteasome inhibitorとされていることから、Bortezomibと同様に作用するのではという考え方ですね。
実際のところ、BortezomibのGISTへの作用はデータがないのでわからないですね。
proteasomeがおおむねどの細胞でも機能しているのは事実なのですが、Bortezomibの作用は、特定のアポトーシス促進因子の分解阻害によるもののようですので、さまざまなガンに共通して作用するかは疑問です。これまでのところ、Bortezomibの適用されるガン種はかなり限られているようですし(今後拡大されるかもしれませんが)。
また、グリベック以前は、GISTは通常の細胞障害性の抗がん剤が効かないことが多い厄介な腫瘍とされていたそうですし、多くの抗がん剤で耐性が問題とされるように、proteasome inhibitorであっても、どの細胞にも同様に効果を持つという事は期待できないと思います。

ところで、Kristin Rの論文を見たのですが、趣旨としては、お茶に含まれるEGCG は分解が早いので、分解されにくい誘導体にしたところ効果的であったという事のようですので、元々の、緑茶の効果ということについては、どちらかというとネガティブな内容と思われます。

[8956] お茶の効果について 通りがかりの生物学者 - 2017/08/03(木) 22:24 - MAIL

皆様

今更な内容になるかもしれませんが、最近ちょっと勉強した内容について述べさせていただきます。
先日、”「がん」になってからの食事と運動”米国対がん協会著という本を読みました。American cancer societyのNutrition and physical activity guidelines for cancer survivorsを翻訳したものだそうです。その中に、緑茶が有効であるとする唯一の論文として、卵巣がんの生存率が改善したという論文が紹介されていました。そこで元論文を見てみると、3年後の生存率が約50%から75%程度に改善していました。対象がGISTではありませんが、このような内容をみると、ちょっと飲んでおこうかなという気にもなります。
ただし、この本の中にもありましたが、この手の調査は非常に難しく、この報告一つでは決定的とは言えないようです。たとえばサプリメントの効果などでは、正反対の結論の論文が出ていたりするそうで、結論を出すにはいろいろな調査で確認される必要があるようです。
ご参考までに。

[8961] 緑茶などの抗癌効果が証明できるまで待てる? Sunny北加 - 2017/08/05(土) 09:34 -

生物学者さん、

ポストありがとうございます。
検索しましたが、下のサイトが情報源でしょうか?
Green tea consumption enhances survival of epithelial ovarian cancer.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15382073

中国の研究結果ですね。104人緑茶をのむ卵巣がん患者のうち81人が (77.9%)存命しているが、140人の緑茶を飲まない患者さんの67人(47.9%)が3年後に存命との事です。

There were 81 (77.9%) of 104 tea-drinkers who survived to the time of interview, compared to only 67 women (47.9%) still alive among the 140 non-drinkers.
Compared to non-drinkers, the adjusted hazard ratios were
0.55 (95% CI = 0.34-0.90) for tea-drinkers,
0.43 (95% CI = 0.20-0.92) for consuming at least 1 cup of green tea/day,
0.44 (95% CI = 0.22-0.90) for brewing 1 batch or more of green tea/day,
0.40 (95% CI = 0.18-0.90) for consuming more than 500 g of dried tea leaves/year, and 0.38 (95% CI = 0.15-0.97) for consuming at least 2 g of dried tea leaves/batch.

The corresponding dose-response relationships were significant (p < 0.05). We conclude that increasing the consumption of green tea post-diagnosis may enhance epithelial ovarian cancer survival.

このリポートによるハザード比を示す緑茶服用量の単位のチグハグ性はちょっと気になりますが、緑茶の効用を示すと楽観視して良いのでしょうか。

Tea and Cancer Prevention
https://www.cancer.gov/about-cancer/causes-prevention/risk/diet/tea-fact-sheet
に総合的な緑茶の効用が書かれていますが、これらから私の結論は「毒性は殆どないが、顕著な抗癌作用の証明も難しい」でしょうか。

私はこのような抗癌作用のある物質の試験管内のテストの欠点は発展した腫瘍細胞との数の戦いだと思っていますが。抗癌作用は濃度次第?。すなわち抗癌作用物質とガン細胞とのぶっつかりの可能性でしょう。グリベックなどの対キナセ剤は腫瘍増殖抑制ですが、緑茶の ”エピガロカテキン-3-ガレートはイマチニブ耐性を含むGISTをカスパーゼ依存性細胞死を引き起こす”の ”イマチニブ耐性を含むGIST細胞死引き起こす”に多いに惹かれます。GIST細胞が二次的変異を起こした時点でエピガロカテキンが殺してくれたら、GISTの悪性化から守られる? 少なくともそれを信じ、毎日妻に玉露いり緑茶2.8gほどを冷水でいれてもらい飲んでいます。

これら緑茶などの抗癌効果が証明できるまで待てるほど私の命は長くありません。証明はされていないが、効果がありそうと思えるもの、少なくとも毒性のないモノの摂取以外、私らの選択肢はないのでは。

ちなみに健康によい、抗癌作用があるとの情報にてアメリカでは緑茶のサプリが随分とでています。
https://www.google.com/search?q=green+tea+supplements&source=lnms&tbm=shop&sa=X&ved=0ahUKEwj8-snm4r7VAhXhxFQKHZFyDCsQ_AUICigB&biw=896&bih=409

[8971] 確かに、待っていられない 通りがかりの生物学者 - 2017/08/07(月) 23:32 - MAIL

Sunny北加 様

私が見た論文は、ご指摘のものです。
筆者らの結論は、効果ありというものです。以前も指摘したように、GISTでの効果はわかりませんし、科学的な結論を出すにはもっといろいろな研究が必要です。

ただ、証明されるのを待っていられないというのは、おっしゃる通りです。その点はお茶の効果も、治験中の新薬も全部待ち遠しいですよね。
Sunny北加さんは良く理解されておられるようですので、今更ですが、お茶などの効果は医薬品に比べるとそれほど大きくないため、グリベックなどの治療を怠らない事、完全には理解されていないという事は以前投稿しておられたスーテントの例のように思わぬ副作用の可能性が否定できない事などを理解された上で利用されるというのはありだと思います。

ところで、最近、偶然カテキンの効果に関する興味深い話を見つけました。
実験医学という雑誌の2016年10月号に掲載された、食品に秘められたサイエンスという連載の3回目として九州大学大学院農学研究院の立花宏文さんという方の報告がありました。緑茶カテキンの作用する受容体からその作用経路を明らかにしたというものなのですが、その抗がん作用をポリフェノールの一種のエリオジクチオールが増強するそうです。ネット上で検索したところ、この物質はレモンなどに含まれるそうです。もちろんGISTに対する効果は未知数ですし、元論文をまだ見ていないので、マウスでの実験をされているようですがその時の濃度などは分かりません。また余裕のあるときに論文を探したいと思いますが、とりあえず参考まで。

[8985] 【カテキン】抗がん作用についての研究 KUROM - 2017/08/11(金) 17:51 -

おそらくカテキンの中でも有望株なのが10年前の研究にありました。EGCG-C16ですね。薬としての実用化には至っていないようですが。
http://www.kyoto-u.ac.jp/static/ja/news_data/h/h1/news6/2008/081126_1.htm

[8986] 興味深く読ませてもらいました。 Sunny北加 - 2017/08/13(日) 09:39 -

KUROMさん、

参照されたサイト、ありがとうございます。興味深く読ませてもらいました。このリポートは
EGCGは体内で不安定だから脂肪酸誘導体に合成し、より良い抗癌効果を確認したーでしょうか。

これらリポートを読み、鵜呑みする前に濃度の単位を確かめました。
私の直感はこのリポートに報告されている10mg/kgまたは50mg/kgはどうも濃度が高すぎるーです。これを私が参照したリポートの40uMの血中濃度と比べました。私の体重64s、そして血液は体重の7%とのWikipediaの情報で単純な計算しました。そしたらこのリポートのネズミの10mg/kgまたは50mg/kg(体重)は40uMの血中濃度の7.8倍から39倍の濃度です。

最近、抗癌剤を目的腫瘍に搬送する”drug carrier capsules”なるものが多く開発されていますが、緑茶のエピガロカテキンをがん細胞に運ぶ研究は金にならないので、多分誰もしないでしょうね。

私のGISTは、幸いに転移がなく単体ですが(正確には単体でしたが、グリベック服用10年後に確認不可能になりました)腫瘍に針を刺し、腫瘍細胞摘出(endoscopic fine needle aspiration)が可能です。それを逆に使い、もしかしたらお茶のEGCGも含めた抗癌剤を腫瘍の中心に注入したら、抗癌効果は数十倍になり、副作用から解放されるのではと思っていますが。これを私はUCLAのSarcoma医に話したら、「それは私らはやらない」との答えでした。ガッツがある医師だったら下勉強するでしょうか? それとも抗癌剤を腫瘍注入は経口服用と同じなのでしょうか?

[9021] カテキンとエリオジクチオール 通りがかりの生物学者 - 2017/09/04(月) 00:48 - MAIL

ご無沙汰しております。
以前紹介したカテキンとエリオジクチオールの話の元論文ですが、
Scientific Reports誌の2015年の論文で、Metabolic profiling-based data-mining for an effective chemical combination to induce apoptosis of cancer cells.
というものです。この雑誌は誰でも全文をダウンロードできますので、関心のある方は是非どうぞ。
多発性骨髄腫を中心とした論文で、GISTで同じことが言えるかは不明ですが、示唆に富む内容です。
いろいろな銘柄の緑茶を比較したところ、腫瘍へのアポトーシス誘導効果に違いがあったそうで、たとえばべにふうきは効果が高いがやぶきた茶は効果が弱いとのこと。そこで、成分分析してEGCGの効果を促進する物質を探したそうです。その結果、エリオジクチオール 5micro M共存下ではEGCGが5micro Mで効果を示したそうです。となると今度はエリオジクチオールを摂取したとしてその体内での濃度が気になるところですね。まだちょっとその点の情報は持ち合わせて無いです。




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