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[ No.724 ] 『神崎与五郎 東下り』、観ました。 投稿者: 2010年06月05日 (土) 12時03分
とっても久しぶりの書き込みです。

2010年5月14日、『神崎与五郎 東下り』を観ました。
講談ではありません。
横内謙介さん率いる劇団扉座の初日です。

今回はスーパー歌舞伎の女形でお馴染み、市川笑也さんが客演です。
それから、ずっとテレビドラマ(「電車男」「相棒」など)で忙しかった六角精児さんの久しぶりの舞台です。

ある晩、旅役者の高塚旭(笑也)が、場末の居酒屋“一力”にやって来る。
そこには、毎晩のように泥酔しては揉め事を起こすタクシードライバー宇佐見(六角)がいる。
高塚は、駆け出しの自分が目標にした花房兎こと宇佐見を、もう一度芝居をしようと誘う。
かつて宇佐見を破門し零落の一途だった一座は、今や高塚の♪おやまルンバ♪が売れて、すっかり息を吹き返していた。
亡き先代座長の追悼と銘打った公演、忠臣蔵の外伝ともいえる『神崎与五郎 東下り』で、宇佐見は暴れ者の雲助、丑五郎を演じることになるが…。

まず、断トツで笑也さんがいい!

立ち姿のきれいなこと!
声のよく通ること!
裾さばきの格好いいこと!
泣く肩の震えの切ないこと!

ジーンズにサマーセーターの笑也さんなんて、プライベートを目撃したようでドギマギしちゃうのに、そのままの格好で劇中劇のセリフをひとこと口に出したとき、もう歌舞伎になっている…!

また六角さんの徹底したやさぐれぶりもよかった。

ラストシーン。
宇佐見が念願の舞台から身を引いた後、ほんとうは自分が演じるはずだった丑五郎と講釈師の掛け合いを、閉店後の居酒屋のフロアで、かつての一座仲間を相手に迫真の演技で観せる場面。

まるで、居酒屋のカウンターの中で観ている店の娘と同じ目線で、今まさに自分が居酒屋の隅っこで、一人の役者の最後の芝居を見届けているような錯覚に陥りました。

扉座の岡森諦さん、講談を猛特訓したのだろうな。
討ち入りのくだりの畳み掛ける口調の迫力に張り扇の音がスパンッと気持ちよかった。

今回、もうひとつ実感しました。
客席の反応のよさです。
これは地元の強みだなぁ。
前進座と吉祥寺。
青年座と代々木八幡。
扉座と厚木。

ホームグラウンドでの公演のあたたかさは、芝居がウケるのとも、ファンが熱狂するのとも別物です。

いいものを観たとしみじみ余韻に浸って、
股旅気分で夜道を歩いて帰りました。



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