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リハビリ

この頁はヤマシロのリハビリ用頁です。
思いついたままの小話を気儘に書いていきます。
下らなかったり意味のないSSSばかりになると思います。

BBF

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俺の名前は桃。

雑種のオスだ。

数日前、生まれたばかりの俺の兄妹達と飼い主の家族と一緒に‘シンセキ’って所へ行って

・・・はぐれた。

いやちょっと家の外が気になってよ。

玄関が開いてたもんだから出ちまったんだよ。

そしたらなんかヒラヒラと動くもんが見えて。

なんかでっけぇ動く箱の上にピョコンと乗ったらそれがいきなりブーンと動き出してよ。

後で知ったんだけどそれは車っつって俺が乗ったのは軽トラの荷台だったらしい。

おかげで兄弟達と飼い主とははぐれちまって数日前から野良生活。

でもいつかぜってぇ自分の力で家に帰ってみせるぜ。

とは意気込んでみたもののさすがに野良生活はキツイ。

それに俺まだピッチピチの生まれたてだしよ。

周りの野良犬になめられんだよな、悔しいけど。

おかげでごみ置き場とかで食料漁りもなかなか出来ない。

野良犬っつてもしっかりナワバリってのがあってだな。

ここのゴミを漁りたきゃ俺の組へ入れ!なんて事も言われた。

でも俺はそんな下らない事は嫌だからじゃあいらねぇってフラフラ歩き続けてるんだけど・・・

さすがに三日も何も食ってねェと・・・力が・・・・

その時突然ポツリと何かが鼻の頭にあたった。

ああサイアク。

雨が降り出してきちまった。

俺の自慢の鬣(たてがみ)が・・・!(※桃の頭の毛はチョコンと立っている

夏とはいえ突然の雨に俺の体温がどんどん奪われていく。

何も食ってないおかげでもう歩く力もねぇし・・・

ああ俺このまま死んじまうのかなぁと道の端っこでコテリと横たわった。

雨は殴りつけるように激しく、けれど既に感覚が麻痺しちまって何も感じねェ・・・

ああくそ・・・・腹減ったなぁ・・・・

そう思って目を瞑ろうとして、ん?ともう一度目をはっきり開ける。

だって雨が急に止んだからだ。

最後の力を振り絞るようにそろっと首を上に向けるとそこには青。

でも晴れの日の青じゃなくて濃い青。海の真ん中みたいな青。

そして、声。

「・・・どうした」

低いけど暖かい優しい声。

どうやら‘ニンゲン’が俺の体の上に‘カサ’ってのをさしているらしい。

ソイツに答えようと声を出そうとするけど出ない。

口だけ開いてハァハァと乱れる呼吸が漏れるだけだ。

ソイツは困ったように俺を見下ろしてそっと手を伸ばしてきた。

あったけぇ・・・・

うっとりと目を閉じるとソイツがはっとしたように手を離す。

なんだよあったけェのに・・・そう思って目を開けるとソイツは安心したように息を吐いた。

ああ、コイツ俺が死んだと思ったのか。

バーカ。俺がそんな簡単に死ぬかっつーの。

っつってもこのままじゃ本当にやべぇけどな。

もう一度目を閉じようとすると今度は体全体が暖かいものに包まれた。

どうやらこの‘ニンゲン’が抱き上げたらしい。

「今・・・家に連れてってやる」

そういってソイツは‘カサ’を放り出して全力で走り出した。

でも俺には振動が全く伝わってこない。

器用な走り方をするもんだと思いながら眠たくなってきて今度こそ本当に目を閉じた。






「コラッ・・・馬鹿桃!飛び跳ねるな!」

「ワンッ」

あの後俺はコイツ(海堂薫って言うんだけど)の家に連れて行ってもらって

丁度夕飯の準備をしていたのかすんげぇいい匂いで目が覚めて

ドロだらけだったけどその匂いに誘われるまま海堂の腕から飛び出して

ご飯を作っていたオフクロさんに飛びついちまった。

「キャッ・・・!」

「お前・・・!?」

死にそうになってたんじゃねェのか!?

という顔をしている海堂。

俺は構わず尻尾をブンブン振りながらオフクロさんの足に纏わりついた。

腹減った!腹減った!腹減ったぜーー!!

「か、薫・・・・?この子は・・・」

「チッ」

ズカズカと海堂がなぜか怒ったようにやってきて俺の首根っこを掴んで持ち上げた。

おいおい俺は猫じゃねーぞ。

「テメェ・・・腹減ってただけかよ」

「?」

コクリと首を傾げると海堂の頬に朱が走ったように見えた。

「っ母さん・・・コイツに食えるようなもん・・・なんかねェか・・?」

「まぁ薫。拾ってきたのね・・・もう」

そう言いつつも海堂のオフクロさんは小皿に何かを取り分けていた。

「今日のおかずよ・・・熱いから気をつけてね」

煮物の中に入っていた鶏肉。

俺は目を輝かせてそれに食らいついた。

うんめぇ〜〜〜!!

「ワンッ!」

「美味しい?」

クスクス笑うオフクロさんに海堂の溜息が聞こえてきた。

ご飯を腹いっぱい食った後、海堂に無理やり風呂に入れられ

さっぱりした俺は今海堂の部屋にいる。

俺の大好きな畳の匂いがして(前の家は和風の造りだった)

海堂の寝室らしきところに敷いてある布団の上でピョンピョン飛び跳ねた。

海堂は飛び跳ねるな!と俺の首根っこをまた掴む。

だから俺は猫じゃねぇっての!

「そういや・・・てめぇ首輪してんだな。名前・・・書いてあるじゃねぇか」

そう言って俺についてる首輪をそっとはずす。

「桃?・・・お前桃ってのか?」

「ワンッ!」

名前を呼ばれ素直に返事する。

「住所とかは・・・書いてねぇな。テメェ迷子か?」

「?」

当然だけど俺に人間語がわかるはずもなく首を傾げる。

すると海堂は悲しそうな顔して捨てられたわけじゃねーよな、と呟いた。

もちろん俺には何言ってるのかわからなかったが悲しそうな目をしている海堂を見たくなくて

首根っこを掴まれ海堂の顔の近くにいた俺は海堂の頬をチロチロと舐めた。

擽ったそうに海堂が笑う。

ああ、良かった。やっぱ悲しい顔よりもこーゆう顔のがいいよな!

そう思いもっと頬をペロペロ舐め上げる。

「ばっ・・・やめろって・・・」

言葉とは逆に楽しそうに笑う海堂に俺は思わず胸が高鳴った。

ん!?なんだこれ・・・すっげードキドキする・・・

「お前の飼い主・・・・絶対見つけてやっからな。それまでここにいろ」

優しく布団の上に戻されて海堂が俺の頭を撫でる。

なんだか眠くなってきてそのまま寝る姿勢に入った俺に海堂はずっと毛を撫でていてくれた。






兄弟達にも飼い主にもすんげー会いたいけど・・・・

海堂と離れるのは絶対に嫌だと思うようになるのに時間はかからなかった。

あれから数日、まだ俺は海堂の家にいる。

飯もうまいし皆優しいし何より俺は海堂が大好きだ。

だから俺はいつか絶対


海堂を俺の嫁さんにするぜ!



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