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リハビリ

この頁はヤマシロのリハビリ用頁です。
思いついたままの小話を気儘に書いていきます。
下らなかったり意味のないSSSばかりになると思います。

BBF

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俺の名前は薫。

生後間もない頃に‘ヒト’に拾われあっさりと捨てられた黒猫。

それ以来‘ヒト’は俺の敵だ。

だが‘ヒト’にもいい奴と悪い奴がいると知ったのは最近。



「あ、薫ちゃ〜ん、弁当の残りあげるよーん」

俺がある日迷い込んでしまった‘ガッコウ’というところ。

そこで‘てにす’とかをする奴らに見つけられ、

いつしか‘ぶしつ’という所に顔を出すようになった。

そこには人間がたくさんいたがどいつもいい奴ばかりだった。

今目の前で食い物を差し出してくるのはキクマルという‘ヒト’だ。

差し出された真っ赤なウインナー。

美味くてつい喉がなってしまったのをキクマルは嬉しそうに見てる。

「美味しい?」

ああ、美味いな。なかなかだ。

返事はしなかったが夢中で食べてる姿を見て俺の気持ちを理解したのか

そっか、と言って頭を撫でてくる。

「ふしゃっ」

「おわっ」

だが触らせない。

「んもー薫ちゃんてば・・・まーだ撫でさせてくれない」

当たり前だ。そう簡単には‘ヒト’には気を許せねェ・・・

だが顔を合わせる度に威嚇しなくなっただけでもありがたく思え。

「お、薫、また来てたのか」

キクマルの後ろからひょこっと顔を出したのはオーイシとかいう奴だ。

こいつはキクマル程俺に触ってこようとしないのでなかなかにかしこい奴だと思う。

「あ、薫だ」

「来てたんだね」

「フム・・・最近は週に3日はきているな」

「薫、俺の弁当の残りもあげるよ」

あ、リョーマにフジにイヌイにタカサンだ。

タカサンが何かゴソゴソやっているのを素知らぬ振りをしてこっそり見る。

「はい」

差し出されたものは焼き魚の残りの皮。

・・・ゴロゴロ。

また勝手になってしまった喉に恥ずかしくなり一瞬そっぽを向くが

差し出された魚の皮と優しい微笑みに素直に頂く事にする。

ここに居る奴らは本当にいい奴らばかりだ。

「お前ら、さっさと支度をしろ」

凛とした声が部室に響く。

あ、ブチョーだ。

ブチョーはこの冷たそうな顔で最初は悪い奴かと思ったがどうやらそれが地らしい。

それに俺にだけはたまにフッと柔らかい顔を向けてくれる。

ほんの一瞬だがそれに気がついた時から俺はこいつもいい奴だと思うようになった。

「よし、着替えるか」

オーイシの言葉に全員が俺から離れ着替えを始める。

俺も腹が満たされ‘ブシツ’の隅にいき毛繕いを始める。

ん?そういやアイツが来てねェな・・・いつもうるせェ、ハリネズミみたいな頭の・・・

「だーっ!間に合った!!」

「あ、桃、オース!」

「チース英二先輩!」

「桃城、早く着替えろ」

「ウッス部長!」

・・・・現れやがった、うるさい奴め。

「いやー掃除がのびちまってやり直しさせられてたんスよー」

「どうせ適当にやっていたのがバレたんだろ」

「俺的には真面目にやってたつもりなんスけど」

アハハと笑いながら奴が俺の方へ近づいてくる。

奴の‘ろっかー’は端だ。

近づいてくるアイツを睨み付ける。

「・・・ん?」

目が合った。

「何だお前、来てたのかよ」

「ふしゃーーー!!」

「うわっ」

俺はコイツが嫌いだ。

・・・顔と髪型が前の飼い主に似てる。

「なんだよ相変わらず可愛くねぇ〜なぁ」

うるせェ。てめぇ気に入らねェんだよ・・・・

気分が悪くなりケッとその場を離れる。

俺は‘ブシツ’を後にした。




「桃、薫ちゃんに何かしたのー?」

「いや何もしてねェっスよ・・・」

「でも薫ちゃん、桃だけには冷たいよね〜」

「・・・別に、俺はあんな汚ェ黒猫なんかに好かれなくてもいいっス」

何でもない風に装うが桃城は実は面白くない。

他のメンバーにはそれなりに馴れてきているのにどうしても自分だけには警戒を解かない。

思えば初めてアイツを見たときからアイツは俺を見て怯えたような顔をしていた。

「チェッ・・・」

俺が何したってんだよ。

食べ残しのパンが入ったカバンをチラリと見ながら小さく溜息を吐いた。



忘れられると思っていた。

よく喋ってよく笑って。

コロコロと表情を変えた少年。

自分に優しい手を伸ばしてきて夜はいつも一緒に寝た。

凄く暖かかった。

それなのに、彼はあっさり自分を捨てた。

犬を飼いたいから、お前はもういらないとそう言ってあっさり自分を手放した。

捨てられた事がわからなくて一度少年の家に帰った時だった。

少年は小さな子犬を抱きあの笑顔を見せていた。

俺と目が合うと一瞬でその笑顔が凍りつけ冷たい冷たい顔になった。

思わずぞっとしてしまう程にそれは冷たくて・・・

「何しにきたんだよ」

それと同様冷たい声音でそう言われた。

自分の場所がもうないのだと、そこで初めて理解した。



「あークソッ、ムカつくぜあのアマ・・・」


突然‘ヒト’の声がしてビクリと全身を強張らせた。

いつの間にか目の前には数人の‘ヒト’がいたのだ。

「もう忘れろよ、あんな女」

「うるせー。絶対ェ許さねェぜ・・・二股なんてよぉ」

「ん?なんだこの猫。おい、この猫お前を笑ってんじゃねーの?」

一人の‘ヒト’が何やら俺を指差し笑ったと思ったら周りにいた奴らも笑い出した。

だが真中にいる奴だけぎりっと歯を鳴らし俺を睨んでくる。

それはどこかで見たことのあるような、冷たい瞳・・・・

「たかだか野良猫の分際で俺様を笑いものにするたぁ・・・いい度胸じゃねェか」

「フシャーッ!!」

(!!)

避ける間もなかった。

腹に強い衝撃があったと思ったと同時に俺の体は簡単に蹴っ飛ばされた。

ぐっと脚に力をいれ立とうとするが腹に入った一撃が深く、呼吸すら困難だ。

「くそっ、あの女め・・・」

「動物虐待はんたーい」

ギャハハハと笑い声が聞こえる。

その笑い声に俺を蹴飛ばした奴が更に俺の体を足で転がす。

まるでボールのように蹴り飛ばされながら俺の意識はだんだん薄くなっていった。


「お前ら!!!何やってんだよ!!!」


聞こえてきたのはいつもうるさいアイツの声。

「!!薫っ!!!」

そうっと触れてくる奴に俺はそっと瞳を開けてみた。

そこに映ったのは今にも泣き出しそうな悲しくて、そして

優しい瞳。

「・・・ッ・・・・・」

泣くなよ、と言いたくて声が出なかった。

「薫っ!!!」

うるせェ、耳元で馬鹿でかい声を出すな。

この優しい瞳をした馬鹿に怒ってやることも出来ず俺の瞼は抗えない力で閉じていった・・・・・




目が覚めたら見覚えのない光景が視界に入ってきた。

起き上がろうとして腹に痛みが走り、ニャゥ、と情けない声を出してしまった。

それと同時に薫っ、と何人もの声が耳に入る。

はっきりと目を開けるとそこには見慣れたメンバーが俺を心配そうに覗き込んでいた。

ん?と首を傾げると全員が全員安心したように息を吐く。

「よかったぁ〜目ぇ覚ましたぁ」

「このまま目を覚まさないんじゃないかって思ったよ」

「薫、ここは病院だよ?お前、骨が折れて大怪我したんだぞ?」

「?」

何かを言っているがもちろん俺には理解できない。

ただ目の前の奴らが俺を心配してくれてるのがわかる。

もう一度立とうと試みるがやはりそれは痛みに邪魔されて出来なかった。

おまけに腹には何か白いものがぐるぐる巻きにしてある。

邪魔くさいので爪でそれを引っ掛けてとろうとしたらブチョーが俺の手を掴んだ。

「取るな」

「・・・・」

相変わらずの燐とした声で何かを言われ俺はこれを取ってはいけないものなのだと何となくわかった。

「あ、薫ちゃんが手塚の言うこと聞いた!すげ〜!」

「はいはい、皆さん、そんな事より」

見た事のない白い服来た人間が突然やってきておれは眼を鋭くする。

それに対し向こうが苦笑を漏らす。

「どうやらこの子は野良のようだけど・・・

野良ならこちらで預かって怪我が治ったら・・・保健所に連絡することになるけど」

それでいいか、と医者はメンバーに問う。

メンバーは先ほどまでの嬉しそうな顔を消し困ったような顔をする。

「保健所・・って、薫ちゃん処分されちゃうの?」

「飼い主が見つからなければね」

「そんな・・・」

じっと悲しい瞳を全員が向けてくる。

俺はわけがわからなくてまた首を傾げる。

そこへ馬鹿でかい声が響いた。

「お、俺がっ・・・!!」

その声は俺の嫌いな・・・・嫌いだったモモシロの声だった。

「俺がこいつ、飼います!!」

「え、でも桃・・・ご家族の合意もなしに・・・」

「大丈夫っス!!納得させるっス!!」

何を叫んでいるんだ、この馬鹿は。

眉を顰めてそれを見ているとフジがふと俺に視線を合わせた。

「薫をね、助けたのは実は桃なんだよ?」

(ん?)

フジは桃を指差してニコリと笑う。

(ああ・・・・そういえば)

意識が途切れる寸前、自分は凄く暖かいものに包まれた気がした。

それは大きくて優しくて暖かい‘ヒト’の腕の中。

懐かしい、感触。

それはどうやらモモシロのものだったらしい。

薫、と優しく囁かれた声もアイツのものだった。

「薫、桃のところに行く?」

フジの問いに俺はモモシロをじっと見た。

モモシロがうっ、と俺から視線をそらす。

「桃、何目逸らしてんのさ。それで俺が飼う!なんてよく言えるにゃ」

「だ、だって、アイツ俺を嫌ってるんスよ?め、目なんて合わせたら・・・」

何だかウダウダ言っている奴に俺はこっちに来い、と鳴く。

「ニャァ・・・」

「桃、薫が呼んでるよ」

「不二先輩、言葉がわかるんスか」

「ん、なんとなく」

ゆっくり戸惑ったように近づいてくるモモシロを俺はじっと見上げる。

「か、薫・・・・」

怖々と伸ばされた手がゆっくりと俺の頭を撫でる。

暖かい、優しい手。

一瞬緊張の走った自分の体だったがみるみる間に柔らかくなっていく。

それがひどく気持ちよくて。

もっと、と言う様に目を細めて喉を鳴らせ顔を上げる。

手に擦り付ける。

「薫ちゃんが撫でさせた・・・!凄いじゃん桃!!」

「あ・・・俺もビックリっス」

瞳を開けると嬉しそうに笑うモモシロ。

やっぱりテメェにはその顔の方が似合ってんだよバカシロ。

「んじゃ、もう決まりだね」

「うん、桃、薫をよろしく」

「うっス!!!」



こうして俺は桃城家の一員となったのだった。

これは余談だが俺をこんなにした奴らはその時点で桃城にボコボコにされた後

彼らの今までの素行を誰かが教師に事細やかに密告し

停学処分を受けたらしいのだが俺は知る由もなかった。


「全く・・・停学だなんてなまぬるい事しないで退学にでもすればいいのに」

「ん?不二なんか言った?」

「クス、なんでもないよ」







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